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研究開発項目① 生活支援ロボットの安全性検証手法の研究開発 1) 成果の実用化可能性

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1. 研究開発項目① 生活支援ロボットの安全性検証手法の研究開発 1) 成果の実用化可能性

① リスクアセスメント手法

リスクアセスメント手法は機械の様々な分野で用いられており、多くの手法が提案されている が、ロボットに特化した手法は決まっていない。また、産業用ロボットの設計時にもリスクアセ スメントは必須であり、安全規格でポイントが述べられているが、その事例をそのまま生活支援 ロボットに適用することは難しい。産業用ロボッットとは、ロボット使用環境や求めるタスク、

関与する人の属性などが異なるからである。しかし、生活支援ロボットのリスクアセスメントが、

機械安全原則から全く外れた方法や手順で実施することはできない。

そこで、機械安全原則を踏襲しつつ、リスク要素の見積もり評価や総合的なリスク低減判定の 際に参照できる標準的な判断基準を提供すれば、多くの生活支援ロボットの安全設計を促進し、

これらロボットの安全水準を高めることができる。本研究開発で作成したリスク要素の評価基準 やリスクアセスメントシート事例などは、ロボット開発者からのフィードバックを得ることによ り、より洗練され使いやすいひな形として活用が期待される。また、標準的な指標は国際基準や 認証スキームにおける先駆的情報となり、我が国のアドバンテージとなり得る。

一方、リスク低減手法の選択手法や分類表は、データベース化等と組み合わせることにより、

認証やコンサルタントの際に強力なツールとなり得る。

② 機械・電気安全、機能安全等ロボットの安全性試験評価方法 (a) 国際的に通用する検証の事業化を目指す。

生活支援ロボットメーカは国際市場を見据えた事業を計画しており、これに応えるために、本 プロジェクトでは、国際的に通用する検証の事業化を目指している。これまで、試験法・評価基 準 を開発し際 して、国際 標準化の国 内委員会と 連携してき た。今後、 同委員会を 通じて 、

ISO13482の試験法・要求事項具体化に開発成果を反映する。

また、検証の事業化においては、合理的コストでの安全確保を可能にすることを目指す。この ために、ISO13482の試験法・要求事項具体化が実用的なものになるよう、同委員会を通じて提案 していく。

(b) 安全検証のワンストップサービスの実現を目指す。

国際規格ベースの安全検証のための設備を導入し、ワンストップサービスを可能にすることで、

個別メーカでの安全検証実施に比べて、低コストで効率的なサービスを提供することを目指す。

本プロジェクトでは、試験法の検討に基づいて試験装置を開発し、産業技術総合研究所の生活支 援ロボット安全検証センターに集約、導入してきた。今後、設備の改良と総合的な手順確立によ り事業化を目指す。

図Ⅳ.1-1 生活支援ロボット安全検証センター

Ⅳ-2 (c) 第3者認証のための試験機関の設立を目指す。

第 3 者認証のためには客観的データを得る必要がある。このため、認証スキームの検討の中で、

ロボットメーカから独立した試験機関の設立を目指す必要があるとこを明らかにしてきた。今後、

その体制について明確にしていく。最終的には、客観的な評価により、消費者にとって安全なロ ボットの普及を促進する。

③ 生活支援ロボットの安全性基準に関する適合性評価手法

WTO/TBT 協定を契機に、適合性評価手続構築の際に、国際規格およびガイドへの整合化を

図っていくことが国際的な潮流となっており、本プロジェクト終了後においても、国際的な評価 が得られる“安全認証拠点”の形成を目指している。

国内外で運営されている製品認証スキームの多くは、国際ガイド ISO/IEC Guide671の要素を 取り入れ構築されており、生活支援ロボットにおいても、同ガイドの認証システムの一つを採用 し、マネジメントシステム評価や国際規格ISO/IEC 170252)に適合した試験機関における製品試験 など一連の適合性評価手続のスキーム(認証スキーム)の研究開発を行っている。

同 時 に 、 生活 支 援 ロ ボッ ト に 対 する 製 品 要 求事 項 は 、国際 規 格 として 検 討 が進ん で い る

ISO/DIS 134823をベースに、ロボットのタイプ別(移動作業型(操縦中心)、移動作業型(自律

中心)、人間装着(密着)型、搭乗型)の安全性基準に関する適合性評価手法(認証モジュール)

の研究開発を行っている。

一方、生活支援ロボットの認証スキームを、一貫した信頼できる方法で第三者が認証すること により、ユーザーに対して安全・安心を与え、またその他ステークホルダーにも信頼を得る“認 証”を運営していくため、認証機関の能力基準を定めた国際ガイド ISO/IEC Guide654に適合す る体制整備を進めている。

本プロジェクトの成果として開発される認証スキームの実用化について、任意の第三者認証制 度として運用することについては、技術的には特段の問題はない。また、将来的に同様な制度や 基準を有した国と二国間もしくは国際認証制度において、試験結果や認証行為を活用することが できるような相互承認を目指した場合、前述のように国際整合化した第三者認証制度を構築して いれば、必要な場合には製品要求事項の見直しや認証機関の体制のアレンジなど比較的容易に対 応可能と考える。

なお、生活支援ロボットを対象とした何らかの法的規制が後追いで制定された場合は、追加の 対応が考えられるので、前広な検討が必要である。

1ISO/IEC Guide67(JIS Q0067)「適合性評価-製品認証の基礎」

2ISO/IEC 17025(JIS Q17025)「試験所及び構成機関の能力に関する一般要求事項」

3ISO/DIS 13482(Robot and robotic devices – Safety requirements – Non-medical personal care robot)

4ISO/IEC Guide65(JIS Q0065)「製品認証機関に関する一般要求事項」

* ISO(International Organization for Standardization)国際標準化機構

* IEC(International Electrotechnical Commission)国際電気標準会議

④ 生活支援ロボットの安全性に関する情報の蓄積・提供手法 (a) 技術的位置づけ

本プロジェクトで開発するデータシステムは、ネットワーク上からアクセスできる一般的なコ ンテンツ管理システムを基礎としており、具体的なユーザタイプに合わせてインタフェースデザ インを変更すれば十分実用可能である。

(b) 実用化へのシナリオ

本データシステムでは、安全性に関する広範囲のデータを対象としているが、恒常的運用時に はデータ種別によって、公益機関・団体による情報提供サービス、試験・研究機関内業務支援な ど、種々の利用法への分化が予想される。なお、企業秘密に該当するデータについては、利用は

Ⅳ-3

プロジェクト期間内に限定されるため、一般的な意味での実用化にはなじまない。

生活支援ロボットの事例はまだ少ないが、インシデント・事故情報データベースへの潜在的要 求は極めて高い。しかし、企業秘密、個人情報保護等の理由から、制度的強制やなんらかのイン センティブがないとデータ収集は困難とされる。また、データ収集を行う場合、既存の事故報告 制度(交通、労災、消費者事故等)との住み分け・調整も必要となろう。

(c) 展望と課題

本データシステムは、安全性に関する情報の発信・利用のためのデータシステムのひな型とし て有効と考える。しかし、公共財として運用する場合には費用負担の問題があり、また②で述べ たような課題もあるため、実際の運用にあたっては一機関や団体を超えた社会的議論と支援が必 要と考えられる。

⑤ 国際標準化に向けた見通し

国 際 標 準 機 関 (ISO) で 策 定 中 の ISO13482(Robots and robotic devices – Safety

requirements)については、プロジェクト終了前に FDIS が発行される。従ってプロジェクト成果

である安全基準や評価基準の反映については、ISO13482の次回改訂時に盛り込むことを目標に活動 を推進していく。

2) 事業化までのシナリオ

2030 年以降労働人口は、それ以前と比べると急激な減少となることが予想され、様々な場面で生 活支援ロボットの活用のニーズは高まっている。一方で、生活支援ロボットは、産業用ロボットとは 異なり人との接触度が高いため、利用者に加えて周囲の一般人への一層の安全確保が必要となる。

さらに、生活支援ロボットの安全性基準となる国際規格の制定が本格的になっているなかで、本プ ロジェクトにおいても開始 5 年後(平成 25年度末)には対人安全性検証のための手法が整う予定で あり、その手法を用いて実際に様々な試験を一カ所(ワンストップ)で行う体制“生活支援ロボット 安全検証センター”が設置されたところである。

他方、ロボットメーカにとって、開発されたばかりのロボットの安全性や信頼性をメーカ自身が一 般利用者に向けて理解を求めていくことは困難な場合もある。また現時点では法令等の安全規制によ 強制認証の対象となることは見込めない。このような状況から、一般利用者にロボットの安全・安心 を発信するツールとして第三者の“認証”を活用することがベストと考えられる。

生活支援ロボットに代表される日本独自の新規技術分野において認証・評価サービスを外国認証機 関に依存することは、最新技術のデータが外国の競合他社に流出するリスクが高まるとともに、当該 外国認証機関がそうして得た技術データを持って国際標準化の交渉を当該国にとって有利に展開しう ることとなるなど、産業政策上の問題も指摘されている。

こうした問題を解消し、生活支援ロボットの海外を含めた市場展開を後押しするためには、我が国 認証機関による認証スキームを早急に立ち上げる必要がある。

また、「標準を制するものが市場を制する」と言われているように、国際規格 ISO13482 の安全基 準に向け、安全研究拠点“生活支援ロボット安全検証センター”には、生活支援ロボットの対人安全 性確保のための人・技術・情報が集約されることから、新しいタイプの認証評価手法の R&D(評価 基準の規程化)がタイムリーに行える体制であり、本プロジェクトの開発した試験装置でなければ検 証できないような数値を盛り込むことなどで、国際標準化の舞台で先駆的な具体事案をもとに我が国 が国際的に優位性を保てるようにするなど国際標準化戦略の重要な役割を担うとともに今後の、国際 標準化政策に大いに有効である。

認証スキームは、認証機関単独での運営も可能ではあるが、生活支援ロボットのような開発途上に あって今後の市場ニーズが期待されるとともに、我が国の産業政策に少なからず影響を与えるような 分野であることから、学識経験者、病院・介護施設運営者などの利用者、一般ユーザーなど多方面の 専門家で構成した協議会を認証機関自らが設置し、認証機関が運営する認証スキーム全体を議論する 場(役割)が必要ではないかと考える。

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