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第 6 章 結論

6.1 研究結果のまとめ

本 研 究 は , 鉄 塔-電 線 連 成 系 の 吹 上 風 に 対 す る 動 的 応 答 に 着 目 し て , 吹 上 角 を 持 つ 吹 上 風 が 鉄 塔-電 線 連 成 系 の 風 応 答 特 性 に 与 え る 影 響 に つ い て 検 討 し た も の で あ る . 研 究 の 目 的 は 次 の 通 り で あ る .

I. 懸 垂 鉄 塔 お よ び 耐 張 鉄 塔 で 支 持 さ れ た 送 電 線 連 成 系 の 吹 上 風 に 対 す る 動 的 応 答 に 着 目 し て , 碍 子 と 電 線 と の 接 合 部 変 位 や 鉄 塔-電 線 連 成 系 の 動 特 性 に 与 え る 影 響 を 明 ら か に す る .

II. 両 径 間 長 が 等 し く な い 場 合 , ま た , 高 低 差 が あ る 場 合 の 鉄 塔 に 作 用 す る 吹 上 風 の 分 布 特 性 に 応 じ て 鉄 塔 に 作 用 す る 送 電 線 不 平 均 張 力 が 鉄 塔 の 変 形 挙 動 に 及 ぼ す 影 響 を 明 ら か に す る .

III. 実 地 形 の 数 値 流 体 計 算 に よ る 吹 上 風 を 分 析 し , そ の 吹 上 風 を 実 機 連 成 系

モ デ ル に 作 用 し て ,送 電 鉄 塔 の 電 線 不 平 均 張 力 荷 重 の 影 響 を 総 体 的 に 明 ら か に す る .

こ れ ら の 所 見 は 前 章 ま で に お い て 詳 し く 紹 介 し た が ,本 章 で は 改 め て こ れ ら を 整 理 し て , 本 論 文 の 結 論 と し て 以 下 に 述 べ る .

第 2 章 で は ,懸 垂 鉄 塔 お よ び 耐 張 鉄 塔 で 支 持 さ れ た 送 電 線 連 成 系 の 吹 上 風 に 対 す る 変 形 挙 動 に 着 目 し て ,0º~30º ま で の 吹 上 角 を 持 つ 吹 上 風 が 電 線 張 力 と 碍 子 の 接 合 部 変 位 に 与 え る 影 響 を 検 討 し た 結 果 , 以 下 の 所 見 が 得 ら れ た .

(1) 懸 垂 型 お よ び 耐 張 型 ど ち ら に お い て も , 鉄 塔 頂 部 線 路 直 角 方 向 変 位 の 平 均 値 ,最 大 値 及 び 標 準 偏 差 は ,吹 上 角 の 増 加 に 対 し て ほ と ん ど 変 化 し な い .こ れ は , 今 回 の 検 討 で は す べ て の 吹 上 角 に お い て 水 平 方 向 の 風 速 を 一 定 ( 高 度 10m で 平 均 風 速 40m/s)に 設 定 し て い る た め ,鉄 塔 部 に 作 用 す る 水 平 方 向 の 風 力 が 吹 上 角 に よ っ て 変 化 し な い た め で あ る .ま た ,鉄 塔 頂 部 線 路 方 向 で も 同 様 に 吹 上 角 の 増 加 に 対 し て 変 位 の 最 大 値 お よ び 標 準 偏 差 は ほ と ん ど 変 化 し な い .こ れ は ,今 回 の 吹 上 風 の 設 定 条 件 に は ,両 側 径 間 で 同 じ 吹 上 角 を 設 定 し て い る た め ,両 側 の

(2) 鉄 塔 頂 部 の 線 路 直 角 方 向 の 加 速 度 の 最 大 値 と 標 準 偏 差 は 吹 上 角 の 増 加 に 伴 い 減 少 し , 特 に 耐 張 型 鉄 塔 の 線 路 直 角 方 向 加 速 度 の 減 少 が 顕 著 で あ る . 一 方 , 線 路 方 向 で は ,吹 上 角 が 大 き い 場 合 ,加 速 度 の 最 大 値 と 標 準 偏 差 が 吹 上 角 の 増 大 に 対 し て ほ と ん ど 変 化 し な い .

(3) 吹 上 角 の 増 大 に 伴 い ,懸 垂 型 お よ び 耐 張 型 の 電 力 線 端 部 の 張 力 が 減 少 し , 電 線 部 の 剛 性 が 低 下 す る .

(4) 線 路 方 向 と 線 路 直 角 方 向 の ど ち ら の 方 向 に お い て も , 吹 上 角 の 増 加 に 伴 い , 懸 垂 碍 子 と 電 力 線 の 接 合 部 変 位 の 平 均 値 と 最 大 値 お よ び 標 準 偏 差 は 増 大 し , 特 に 鉛 直 方 向 変 位 の 変 化 が 顕 著 で あ る . ま た , 吹 上 角 の 増 加 に 対 し て 腕 金 主 材 と 懸 垂 碍 子 連 と の 「 挟 角 」 が 減 少 し , 碍 子 が 腕 金 底 部 部 材 に よ り 接 近 す る .

第 3 章 で は ,送 電 鉄 塔 間 の 水 平 角 度 と 高 低 差 が 無 く ,径 間 差 が あ る 場 合 の 電 線 不 平 均 張 力 に 及 ぼ す 吹 上 風 の 影 響 を 3 基 2 径 間 の 単 純 モ デ ル で 検 討 し た 結 果 , 以 下 の 所 見 を 得 た .

(1) 吹 上 角 の 増 加 に 伴 っ て , 送 電 線 中 央 点 の 横 振 れ 角 が 増 大 す る .

(2) 吹 上 風 が 両 側 径 間 に 作 用 す る 場 合 , 吹 上 角 の 大 小 に か か わ ら ず , 不 平 均 張 力 へ の 影 響 は 小 さ い .

(3) 両 側 径 間 に 同 じ 静 的 水 平 風 を 作 用 さ せ た 状 態 で , 吹 上 風 を 片 側 径 間 に 作 用 さ せ る と ,径 間 長 差 に か か わ ら ず ,吹 上 角 の 増 加 に 伴 う 不 平 均 張 力 荷 重 は 顕 著 に 増 大 す る .

(4) 風 速 変 動 を 考 慮 す る と , 不 平 均 張 力 の 最 大 値 は 静 的 解 析 値 よ り 極 め て 大 き く な り , 風 速 増 加 と と も に 吹 上 風 の 影 響 は 小 さ く な る .

第 4 章 で は ,送 電 鉄 塔 間 の 水 平 角 度 と 径 間 差 が 無 く ,支 持 点 高 低 差 が あ る 場 合 の 電 線 不 平 均 張 力 に 及 ぼ す 吹 上 風 の 影 響 を3基2径 間 の 単 純 モ デ ル で 検 討 し た 結 果 , 以 下 の 所 見 を 得 た .

(1) 静 的 風 力 を 作 用 さ せ た 状 態 で , 片 側 径 間 に の み 吹 き 上 げ 風 が 作 用 す る 場

合 は , 吹 上 角 の 増 加 に 伴 っ て , 不 平 均 張 力 の 値 が 急 激 に 増 大 す る こ と が 分 か る . (2) 風 速 変 動 を 考 慮 す る と , 不 平 均 張 力 の 最 大 値 は 静 的 解 析 値 よ り 極 め て 大 き く な り , 風 速 増 加 と と も に 吹 上 風 の 影 響 は 小 さ く な る .

(3) 変 動 風 力 を 作 用 す る と , 高 低 差 あ る の 場 合 , 吹 上 風 が 高 低 差 な し の 径 間 の み に 作 用 す る 時 に 不 平 均 張 力 が 著 し く 増 大 と な り ,吹 上 風 が 高 低 差 あ り の 径 間 の み に 作 用 す る 時 に 不 平 均 張 力 が 小 さ く な る こ と が わ か る .

第 5 章 で は , 台 風 9918 号 接 近 時 の 観 測 デ ー タ を も と に 気 流 解 析 に よ る 実 地 形 で の 吹 上 風 分 布 を 大 気 の 安 定 状 態 を 含 め て 吹 上 風 の 発 生 状 況 を 検 証 し ,実 機 鉄 塔 -電 線 連 成 系 の 動 的 風 応 答 解 析 か ら 送 電 線 不 平 均 張 力 や 鉄 塔 の 応 答 変 位 に 及 ぼ す 影 響 を 検 討 し た 結 果 , 以 下 の 所 見 を 得 た .

(1) 鉄 塔 周 辺 の 地 形 状 況 に よ っ て 鉄 塔 両 側 径 間 の 吹 上 角 度 が 大 き く 異 な る こ と が あ る .

(2) 鉄 塔 周 辺 の 平 均 風 速 と 最 大 風 速 及 び 乱 れ の 強 さ が 大 き く な る に 連 れ て , 不 平 均 張 力 の 平 均 値 と 最 大 値 も 相 応 に 大 き く な る .

(3) 乱 れ の 強 さ が 大 き い 風 を 受 け る 径 間 を 有 す る 方 が 不 平 均 張 力 が 大 き く な る .

(4) 吹 上 風 の 有 無 で 不 平 均 張 力 を 比 較 す る と , 吹 上 風 が あ る 方 が , 必 ず し も 不 平 均 張 力 が 大 き く な る わ け で は な い が , 鉄 塔 前 後 径 間 の 状 況 に よ っ て 不 平 均 張 力 の 平 均 値 と 最 大 値 が と も に 大 き く な る 場 合 が あ る . す な わ ち , 吹 上 風 の 存 在 が 鉄 塔 の 耐 風 安 全 性 を 脅 か す 場 合 が あ る .

(5) 本 章 で 取 り 扱 っ た 実 機 鉄 塔-送 電 線 連 成 系 モ デ ル で は ,鉄 塔 頂 部 変 形 に は 吹 上 風 の 影 響 は 顕 著 に は 見 ら れ な か っ た .