教 授:渡辺 彰 准教授:藤村 茂
当寄附研究部門は平成19年4月に設置され,昨年3月で第1期(3年)が終了し,同年4月より,
I
第2期日(4年)がスタートした.第1期の主な活動は,新規抗インフルエンザ薬やPK‑PD理論
に準じた各種高用量抗菌薬の開発などであるが特に2009年は,世界中で新型インフルエンザ
(InHuenzaAvimSHIN1‑2009)が流行し,抗インフルエンザ薬の不足および耐性ウイ)レスの出現などの問題が注目され,新薬の早期臨床使用に向けた当部門の役割は大きい.この他,我が国では多 剤耐性グラム陰性梓菌による院内感染死亡例が社会問題になり,こうした菌に対する化学療法およ び感染制御対策について検討し,成績を公表した.
当寄附部門は,インフルエンザと多剤耐性菌をキーワードに,新規化学療法の開発と研究を進
めている.主な研究内容
当寄附部門の主な研究テーマは以下に示す5項目である.
1)医学・薬学における先端的創薬と開発
2)新規抗感染症薬の臨床試験並びに市販後臨床試験の適正化と国際標準化の推進 3)薬剤の特性に基づいた抗感染症薬の適正使用法の確立と臨床的研究の推進 4)院内感染の予防と薬剤耐性菌抑制の研究の推進並びにその成果の普及推進
5) インフルエンザウイルス薬開発・実用化の推進である.1)の先端的創薬と開発は,製薬企業の研究・開発部門と共同で取り組み, Pharmacokineti。S‑
Pha‑acodynamics (PK‑PD)理論を導入し%Time above MICを高めたβ‑ラクタマ‑ゼ阻害薬配合
ペニシリン系薬剤およびAUC/MICを最大限に上げた経口マクロライド系楽の開発・実用化に寄与
した.また, Cmax/MICおよびAUC/MICを考慮することにより臨床的有効性を高めたレスビラトリーキノロン系薬の臨床使用に向けて活動した.
169
170 抗感染楽開発寄附研究部門
2)の新規抗感染症薬の臨床試験並びに市販後臨床試験の適正化と国際標準化の推進に関しては, 製薬企業の研究・開発部門と共同で取り組んでいる各種新規抗菌薬の開発臨床試験並びに市販後臨 床試験を推進する中であるべき姿を提案・実践すると共に,海外の臨床試験を広く参考にしながら
これをさらにレベルアップする努力を行っている.
3)薬剤の特性に基づく抗感染症薬の適正使用法の確立と推進は,当部門が最もウェ‑トを置い
/′
ている部分であり,各種講演会や著書等にて臨床医ならびに薬剤師の先生方に耐性菌制御かつ抗菌 薬の特性を最大限に発揮させる抗菌薬適正使用についでI詐取提供を行った
4)病院内感染の予防と薬剤耐性菌抑制の研究の推進として, NHCAP (医療・介護関連肺炎)
のリスクファクターを調査・解析し,多剤耐性paeruginosaの病院と各種老健施設間の伝播状況を 検討した.また欧米で問題となっているAcinetobacterの薬剤耐性に関する調査や耐性遺伝子の研究を行った ノ
5)抗インフルエンザウイルス薬開発・実用化の推進としては,抗インフ'レエンザ薬のオセ)㍗
ミビルやザナミビルの服用と異常行動やオセ)レタミビ)レ耐性のインフルエンザの出現等がマスコミ
で報道され,新型インフルエンザウイ)レス感染症の対策が国民レベルで不安視されている.当部門 は現在緊急に開発されている新規抗インフルエンザ治療薬2割の臨床試験に関して,早期の臨床使
用に向けて活動している.なお, 2009年春からの新型インフルエンザの流行に際しては言度辺が日本感染症学会の新型インフルエンザ対策ワーキンググループの座長を務めて「緊急提言」をまと め,これが国会の予算委員会新型インフルエンザ対策集中審議で引用されるなど‑,国をリードする
活動を行っている.2.研究報告
1)著書・総説等
1.渡辺 彰‥ Q熱.今日の治療指針2009年版vol.51 (山口 徹・北原光夫・福井次矢総編集), 医学書院,東京, 2009年1月1日発行, pp.143‑144.
2.渡辺 彰:肺結核症.新臨床内科学(第9版,高久史暦・尾形悦郎・黒川 清・矢崎義雄
監修,貰和敏博・堀 正二ら編集),医学書院,東京, 2009年1月1日発行, pp.16‑22.3.渡辺 彰:肺非結核性抗酸菌症(NTM症,非定型抗酸菌症).新臨床内科学(第9版,高 久史麿・尾形悦郎・黒川 清・矢崎義雄監修,貰和敏博・堀 正二ら編集),医学書院,東
京, 2009年1月1日発行, pp.22‑24.
4.渡辺 彰: 9.胸部X線写真で異常陰影を認めた場合の深在性真菌症と治療.抗真薗薬使用
ガイドライン(日本化学療法学会・一般医療従事者のための深在性其菌症に対する抗真菌
薬使用ガイドライン作成委員会編),日本化学療法学会,東京, 2009年1月10日発行,pp.36‑40.
5.渡辺 彰:第1章 レスビラトリーキノロン系薬開発の経緯.レスビラトリーキノロン系 薬最前線, (秩)ユニオンエース,東京, 2009年1月23日発行, pp.6‑14.
6.藤村 茂,渡辺 彰:第5章 レスビラトリーキノロン系薬の特性比較.レスビラトリー キノロン系薬最前線, (樵)ユニオンエース,東京, 2009年1月23日発行, pp.46‑56.
7.藤村 蔑:第5章 レスビラトリーキノロン系薬の特性比較.付録レスビラトリーキノロ
ニコ
ン系薬の特性比較一覧:レスビラトリーキノロン系薬最前線, (蛛)ユニオンエース, 2009
年1月23日発行, pp.46‑57,pp.108‑111.
8.渡辺 彰:第6章 レスビラトリーキノロン系薬の治療薬としての位置づげ レスビラト リーキノロン系薬最前線, (樵)ユニオンエース,東京, 2009年1月23日発行, pp.58‑63.
9.渡辺 彰:第8章 レスビラトリーキノロン系薬の今後の展望.レスビラトリーキノロン 系薬最前線, (秩)ユニオンエース,東京, 2009年1月23日発行, pp.100‑107.
10.三木 誠,渡辺 彰: cASEO4.両下肢に浮腫が発現し食思不振を訴える85歳男性.呼吸 器疾患RESPIR∬ORYDISEASES (永井厚志編・ Mew専門隆を目指すケース・メ、イッド・
アプローチ8),日本医事新報社,東京, 2009年6月20日発行, pp.32‑4L
ll.高橋 洋,渡辺 彰: II.呼吸器感染症治療の実践一教科書に書いていない治療のコツ, B.
呼吸器感染症の治療一私の治療のコツ,9,Q熱.呼吸器感染症のすべて一私の治療のコツ(蘇
田次郎・門田淳一編),南江堂,東京, 2009年6月25日発行, pp.160‑162.
12.三木 誠,渡辺 彰:IV.抗菌薬の使い方のポイント, C.レスビラトリーキノロンの使い
分け.呼吸器感染症のすべて〜私の治療のコツ(藤田次郎・門田淳一編),南江堂,東京,
2009年6月25日発行, pp.268‑276.
13.渡辺 彰:抗菌薬各論, 1.抗菌薬はどのように分類するとわかりやすいか?最新抗菌楽
療法マニュアル第1版, (樵)新興匪学出版社,東京, 2009年9月18日発行, pp.3‑6.14.渡辺 彰:感染症治療の最前線を支えるエビデンス②;「市中肺炎,医療ケア関連肺炎およ
び院内肺炎による入院患者の転帰」. Mebio26(10), 2009年10月10日発行, pp.6‑7.
15.渡辺 彰:肺炎ガイドラインを使いこなすポイント,海外のガイドラインはなぜ使わない の?肺炎ガイドラインを使いこなすための抗蘭薬のかしこい使い方第一版, (蛛)南江堂,
東京, 2009年10月15日発行, pp.123‑125.
16.渡辺 彰:肺炎ガイドラインを使いこなすポイント,肺炎ガイドラインはどのように検証・
改訂しているの?肺炎ガイドラインを使いこなすための抗蘭楽のかしこい使い方第一版,
(蛛)南江堂,東京, 2009年10月15日発行, pp.251‑254.
17.渡辺 彰:新型インフルエンザ‑実地医家に託す使命.実地医家・診療所のための新型イ
ンフルエンザ診療のキーポイント第一版, (樵)ヴァンメディカル,東京, 2009年11月1 日発行, pp.7‑13.18.渡辺 彰:新型インフルエンザ外来診療体制と臨床の基本.実地医家・診療所のための新
型インフルエンザ診療のキーポイント第一版, (株)ヴァンメディカル,東京, 2009年11 月1日発行, pp.29‑45.19.三木 誠,渡辺 彰:第2部 インフ)レエンザ治療の実際, 2.かぜとインフルエンザの見
172 抗感染薬開発寄附研究部門
分け方:外来診療で見落としてはならない所見.インフルエンザ診療ハンドブック(改訂2
版,富野康自己・永井厚志編),中外医学社,東京, 2009年11月16日発行, pp.166‑174.20. ̲藤村 茂,渡辺 彰:抗菌薬:頻用薬・常用薬上手に使っていますか? 日常診療でよく 使う薬の使い方とそのポイント,日本医事新報社, 2009年, pp.218‑239.
21.藤村 茂:各職種のキャリアアップ‑IC資格はどう取得するか‑,ファーマインターナ
ショナル, 2009年, pp.3‑4.
一′
22.藤村 茂,渡辺 彰:日常診療に役立つ〈すりの選び方・使い方,抗菌薬の使い分け一七フェ ム系薬剤‑.臨床と研究, vol.86 No.5,大道学館出版部, 2009年, pp.5‑9.
23.渡辺 彰,藤村 茂:抗菌薬の服薬コンプライアンスは治療効果向上と耐性菌抑制のカギ
である.感染と抗菌薬, Ⅶ1.12 No.2,ヴァンメディカル, 2009年, pp.183‑191.
24.藤村 茂,渡辺 彰:各種感染症における抗菌薬の使い方,呼吸器感染症.臨床と研究,
Wl.86 No.10,大道学館出版部, 2009年, pp.46‑50.
25.藤村 茂,渡辺 彰:抗菌薬の分類と作用機序・臨床使用される主な抗菌薬一覧.肺炎ガ
イドライン活用のための抗菌薬のかしこい使い方・南江堂, 2009年・ pp・256‑261・pp・332‑347.
26.藤村 茂,渡辺 彰:MDRPにどう対処するか.最新抗菌薬療法マニュアル,新興医学出
版社, pp. 115‑117,2009
27.藤村 茂,渡辺 彰:新しい抗菌薬の使用法と注意点‑クラバモックス,ゾシン,ザイボッ
クス,ジスロマックSR.総合臨床, Ⅶ1.58 No.6,永井書店, pp.1359‑1364,2009 28.藤村 茂,渡辺 彰: pK‑PD.今,再びペニシリン系抗菌薬を見直す‑TAZ/PIPCをめぐっ
て.臨床と微生物, Ⅶ1.36 No.6,近代出版, pp.671‑676,2009.
29.藤村 茂,渡辺 彰:現在の抗インフルエンザ薬と耐性状況.最新医学,最新匪学社, Vol. 65, pp. 67‑73, 2010.
30.渡辺 彰:耐性菌を誘発しにくい抗蘭薬療法とは?.分子呼吸器病13(1) : pp.19‑24,2009.
31.渡辺 彰,小林 治,舘田一博,内田義之,中谷龍王,徳江 豊:ウイ)レス感染に伴う急
性肺障害とその制御,討論. progressinMedicine29(2) : pp. 572‑574,2009.
32.渡辺 彰:成人院内肺炎診療ガイドライン改訂のポイント.感染と抗菌薬12(1): pp.9‑14,
2009.
33.渡辺 彰:成人院内肺炎診療ガイドラインのエッセンス‑何を根拠にどのように改訂され
たか?‑.呼吸器科15(3) : pp. 164‑169,2009.
34.藤村 茂,渡辺 彰:セフェム系薬剤.臨林と研究86(5):pp.547‑551,2009.
35.三木 誠,渡辺 彰:成人院内肺炎の診療〜ガイドラインを中心に一. MEDICAMENT NEWSNo. 1980: 1‑4, 2009.
36.渡辺 彰:抗菌薬の服薬コンプライアンスは治療効果向上と耐性菌抑制のカギである‑わ が国のアンケート調査から見えてきた服薬遵守に関する患者の意識動向‑.感染と抗菌薬
12(2) : pp. 183‑191,2009.
37.渡辺 彰:誰が耐性菌を作ったのか?化学療法の領域25(7) : pp.1447,2009.