3.2 知能流システム研究部門
3.2.5 知能流体物性研究分野
(研究目的)
配管減肉は、原子力/火力発電や化学プラントなどの流体が流れるプラント配管に見ら れ、多数の管理箇所に対して配管損傷しないように管理する必要がある保全管理上・安全 上の重要課題である。このため日本機械学会では、2006 年中に配管減肉管理のための肉厚 測定に基づく規格を策定した。本規格は、管理対象となる配管系、測定時期・方法、余寿 命評価、取替・補修など配管減肉管理全体を規定している。本研究ではこの規格を改訂・
充実化して、より高度な減肉管理につなげるため、現象の素過程と支配パラメータを整理 して課題を抽出するとともに、特に重要な偏流部の物質移動モデルについて検討を行う。
(研究課題)
(1) 配管減肉管理改善に向けた減肉予測モデルの研究
(構成員)
客員教授1 名(稲田文夫)
(研究の概要と成果)
(1) 配管減肉管理改善に向けた減肉予測モデルの研究
配管減肉の主要現象は、流れ加速型腐食(FAC)と液滴衝撃エロージョン(LDI)である。FAC は、炭素鋼配管でオリフィス下流やエルボ、T管などの偏流部において、腐食現象が流れの 乱れによる物質移動の増大により顕著に進む現象である。一方 LDI は、湿り蒸気が流れる 配管の絞り要素直後で100m/sをこえる高速流が発生し、液滴も加速されてエルボや絞り要 素直後で配管壁面に衝突することにより、壁面が機械的に減肉していく現象である。
本研究では主として原子力配管を対象として、両現象の素過程のモデリングと支配パラ メータについて、エネルギークラスタセミナー(東北大学流体科学研究所と、原子力安全・
保安院高経年化対策強化基盤整備事業の東北クラスター配管減肉グループ・保全技術グル ープとの共催)を3回開催し、日本機械学会でとりまとめた従来の技術的知見や、流体力学 因子と電気化学因子の両面からの最新の研究成果を紹介するとともに、東北クラスターに おける成果の紹介を受け、議論を行った。
FACについては、pH、溶存酸素、流速の複合因子に対するパラメータ影響の検討が不足し ていること,全体モデリングについては鉄の酸化、酸化物内の拡散、酸化物表面から流体 中への物質移動からなる Sanchez-Caldera のモデルが提案されているが、偏流部における 物質移動のモデリングなどに課題があることを示した。また物質移動モデルでは乱流伝熱 とのアナロジにより予測可能性があり、現象としては乱流境界層内の粘性底層内の挙動が 重要であることを示した。また LDI については、液滴によって生じる作用力や、破損に対 する酸化膜の効果などの課題があることを示した。
(主要論文リスト)
N. Sekimura, H. Miyano, I. Nishiguchi, S. Hamada, O. Watanabe, T. Nakamura, J. Hakii, H.
Miyaguchi, F. Inada
JSME Activities to Establish a Standard for Pipe Wall Thinning Management of Power Plants in Japan,
April, 2007, JSME- ICONE15-10722.
稲田文夫、安尾明、真田高宥、森田良、吉川和宏
「BWRプラントのアップレート時における流れ加速腐食の傾向に関する検討」
日本原子力学会2007年秋の大会講演論文集C12.
F. Inada
Present Status of R&D for Improving Management of LWR Pipe Wall Thinning, Proceedings of the 29th Jaif-Kaif Seminar on Nuclear Industry, Oct.29,30, 2007.