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第 5 章 まとめ:具体的対策への応用に向けて

5.1 具体的対策を実施する際に確認すべきこと

行動科学を対策に組み込む場合、まず、アプローチの手法がしっかりとエビデンスに基づ いているかを確認する必要がある。地域や文化の違いにより、海外で成功している事例をエ ビデンスとして手法を選択しても、効果が発揮されない可能性があるため、できるだけ信頼 性の高い資料や事例を収集する必要がある。

次に、設計の仕方に注意が必要である。特に、ナッジ的手法を活用する場合には、基本的 に、消費者への選択肢の提示の方法やメッセージを変えて、消費者の行動を変えることが期 待されているが、ナッジは、選択を禁止したり、経済的なインセンティブを大きく変えるも のではない52。そのため、どのような行動をとるのかの最終的な選択肢を、消費者側に残すこ とに施策立案者は留意する必要がある。また、役立つ可能性が最も高く、害を加える可能性 が最も低い手法を採るようにすることも設計の際には注意する必要がある53

そして、具体的に実施する際には、消費者保護の観点などから適正な情報提供であること への配慮が欠かせない。対策を実施する際にはその正当性が公然と主張できるかどうかを確 認し、対策の意図を明示する必要がある54。また、現行の法制度に従ったり、社会倫理等に配 慮する必要がある。例えば家電製品販売時の価格等の表示事項について、ナッジを用いるた め表示方法を変えたいと考えるかもしれないが、家電販売事業者は景品表示法を順守する必 要がある。広く消費者に呼びかけるため広告等の情報的手段を用いる際には、実施主体にか かわらず、各媒体の利用規約や業界団体等が提示しているガイドライン等に従い実施すべき である。

52 リチャード・セイラー, キャス・サンスティーン(2009)前掲書.

53 詳しくは、環境省第1回日本版ナッジ・ユニット連絡会議、資料2「行動科学の活用を通 じた行動変容の促進に係る環境省の取組」を参照。

54 リチャード・セイラー, キャス・サンスティーン(2009)前掲書.

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図 25 行動科学を政策に活用するにあたっての留意点55

図 26 ナッジを設計する際の注意点①56

55 環境省 第1回日本版ナッジ・ユニット連絡会議、資料2「行動科学の活用を通じた行動 変容の促進に係る環境省の取組」.

56 同上.

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図 27 ナッジを設計する際の注意点②57

57 同上.

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