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9 ディスターバンスアナライザ

9.3 ディスターバンスアナライザの性能確認試験法

39 表17 (続き)

40

う に 調 節 す る 。 こ の と き の 受 信 機 の 中 間 周 波 出 力 に 現 れ る 正 弦 波 信 号 レ ベ ル が 中 間 周 波 基 準レベルとなる。

b) パルス変調正弦波信号を測定用受信機の入力端子から入力する。試験 No.2 及び 3では、

パルス変調正弦波信号と CISPR パルス発生器からの信号を同時に加える。信号のパラメー タを表 17 に示す。表 17 の 1 列目に示したパルスの振幅は、中間周波段のしきい値として 使 わ れ た 連 続 妨 害 波 の 許 容 値 に 対 応 す る レ ベ ル に 対 し て 独 立 に 調 整 で き る こ と 。 そ の レ ベ ル は 、 前 の パ ラ グ ラ フ で 決 定 し た 高 周 波 及 び 中 間 周 波 段 の 基 準 レ ベ ル に 対 応 す る 値 と の 相 対値でなければならない。

9.3.2 追加の要求事項

試験方法は 9.3.1項の a)で述べた方法と同一である。信号のパラメータを表 F.1に示す。

41 付則A

(規定)

準尖頭値及び実効値-平均値測定用受信機の繰り返しパルス応答の決定

(3.6 節、4.4.2項、7.3.2項、7.5.1項) A.1 概要

こ の 付 則 で は 、 繰 り 返 し パ ル ス に 対 す る 応 答 曲 線 を 求 め る 際 、 数 値 計 算 に 用 い る デ ー タ 及 び 計 算 方法 につ い て述べ る 。 この 方法 固 有の仮 定 も 述べ る。 計 算は連 続 する 3 段階 に分 かれ ている。

注) この付則中の実効値検波器に関する記述は、実効値測定用受信機の理論について扱って お り 、7 章 で 定 義 す る コ ー ナ ー 周 波 数 以 上 に お け る 実 効 値-平 均 値 測 定 用 受 信 機 に 適 用 す る。

A.2 検波器前段での応答

これらの段のパルス応答は、一般的に、受信機の総合選択度を決定する中間周波段のみに よって決定される。

この選択度は、縦続接続された 2つの臨界結合同調型変成器の組み合わせを用い、-6 dB点 に お け る 通 過 帯 域 幅 を 所 要 の 値 に 設 定 す る こ と に よ っ て 得 ら れ る と 一 般 的 に 考 え ら れ る 。 他 の 等 価 的 な 構 成 も 、 計 算 上 は 、 上 記 の よ う に 変 形 す る こ と が で き る 。 こ の 通 過 帯 域 幅 は 実 際 に対称なので、パルス応答の包絡線は等価 LPF を用いて計算することができる。この近似か ら生じる誤差は、無視することができる。

パルス応答の包絡線は次式で表される。

𝐴𝐴(𝑡𝑡) = 4𝜔𝜔0𝐺𝐺𝑒𝑒−𝜔𝜔0𝑡𝑡(sin𝜔𝜔0𝑡𝑡 − 𝜔𝜔0𝑡𝑡cos𝜔𝜔0𝑡𝑡) (A.1a) ここで、

G は同調周波数における総合利得、

ω0は各周波数で、その値は�𝜋𝜋⁄ �√2 𝐵𝐵6である。

インパルスエリア υτ のインパルスに対する二段臨界結合同調型変成器の応答の包絡線は、

上式より以下となる。

𝐴𝐴(𝑡𝑡) = (𝑣𝑣𝑣𝑣)4𝜔𝜔0𝐺𝐺𝑒𝑒−𝜔𝜔0𝑡𝑡(sin𝜔𝜔0𝑡𝑡 − 𝜔𝜔0𝑡𝑡cos𝜔𝜔0𝑡𝑡) (A.1b) これに対応する等価LPFの選択度曲線は、τ≪1/ω0として、以下のとおりである。

𝐹𝐹(𝑓𝑓) =𝐺𝐺×�(𝜔𝜔 2𝜔𝜔0 2

0+𝑗𝑗𝜔𝜔)2+𝜔𝜔0 22 (A.2) ここで、ω = 2πfである。

帯域幅 B3及び B6は下記のとおりである。

42 𝐵𝐵3=�√2×��√2−1�

4 �𝜔𝜔0

𝜋𝜋 = 0.361𝜔𝜔0 (A.3a)

𝐵𝐵6=√2×𝜔𝜔𝜋𝜋 0= 0.450𝜔𝜔0 (A.3b)

実際の装置と実効値応答が一致する理想的な方形フィルタで構成された受信機の等価帯域幅 は、次に定義する電力帯域幅 Δf に等しい。

∆𝑓𝑓=�𝐹𝐹1

0 2� ∫ 𝐹𝐹−∞+∞ 2(𝑓𝑓)𝑑𝑑𝑓𝑓 (A.4) ここで、

F(f)は選択度曲線、

F0F(f)の最大値である(ただし、単峰選択度曲線と仮定する)。

したがって、電力帯域幅は F0 = 1のとき、

∆𝑓𝑓=∫ 𝐹𝐹−∞+∞ 2(𝑓𝑓)𝑑𝑑𝑓𝑓 (A.5) 式(A.2)の F(f)を用い、G = 1と置くと次式が得られる。

∆𝑓𝑓=∫ 2��(𝜔𝜔 2𝜔𝜔0 2

0+𝑗𝑗𝜔𝜔)2+𝜔𝜔0 24

+∞

0 𝑑𝑑𝑓𝑓 (A.6)

これより、

∆𝑓𝑓= 0.265√2 ×𝜔𝜔0= 0.375𝜔𝜔0 (A.7) したがって、

𝐵𝐵3= 0.963∆𝑓𝑓 (A.8) A.3 前段の出力に対する準尖頭値電圧検波器の応答

A.3.1 概要

計 算 は 、 検 波 回 路 を 中 間 周 波 最 終 段 の 出 力 に 接 続 し て も 、 そ れ か ら の 信 号 振 幅 又 は 波 形 の い ず れ に も 何 ら 影 響 も 与 え な い と の 仮 定 に 基 づ い て 行 わ れ る 。 す な わ ち 、 中 間 周 波 最 終 段 の 出 力 イ ン ピ ー ダ ン ス は 、 検 波 器 の 入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス と 比 べ て 無 視 で き る ほ ど 小 さ い と み な す。

いかなる検波器も、あ る抵抗値(全順方向抵 抗 S)を持つ非線形素子(例えばダイオード)の 後 に、放電抵抗 Rと容量 Cの並列回路を接続した形に(実際に又は等価的に)変形できる。

充電時定数TCは積 S × C と関連があり、一方、放電時定数TDは積 R × C で与えられる。

43

TCと積 S × C の関係は、一定振幅の高周波信号を突然加えた後、t = TC経過したときに、

指示電圧が最終定常値の 0.63倍に達することにより定められる。

コンデンサの両端の電圧 U と検波器に加えられる高周波信号の振幅 A との関係は、次式と なる。

𝑑𝑑𝑑𝑑

𝑑𝑑𝑡𝑡+𝑈𝑈𝑈𝑈(𝑅𝑅𝑅𝑅) =𝐴𝐴(sin 𝜃𝜃−𝜃𝜃 cos 𝜃𝜃)

𝜋𝜋×𝑆𝑆×𝐶𝐶 (A.9) ここで、θ = 導通角(U = Acosθ)である。

こ の 式 は 直 接 積 分 す る こ と は で き な い 。 指 定 の 時 定 数 に 関 し て 上 記 の 条 件 を 満 足 す る 積 S

× Cは、近似法により求められる。例を以下に示す。

バンド A: 𝑇𝑇C= 45 ms 𝑇𝑇D= 500 ms 2.81 𝑆𝑆×𝑅𝑅= 1 ms バンド B: 𝑇𝑇C= 1 ms

𝑇𝑇D= 160 ms 3.95 𝑆𝑆×𝑅𝑅= 1 ms バンド C及び D: 𝑇𝑇C= 1 ms

𝑇𝑇D= 550 ms 4.07 𝑆𝑆×𝑅𝑅= 1 ms

このようにして得られた値を式(A.9)に代入し、一定振幅 A の代わりに式(A.1)の関数 A(t)を 用 いれば、 この式は 、孤 立パルス 又は繰り 返し パルスに 対して(再び近 似法を用 いて)解くこと ができる。

繰 り 返 し パ ル ス の 場 合 、 以 下 の よ う に し て 実 用 的 に 解 く こ と が で き る 。 ま ず 、 各 パ ル ス の 立 ち 上 が り 時 に お け る 検 波 器 出 力 電 圧 の レ ベ ル を 任 意 に 仮 定 し 、 次 に 、 パ ル ス に よ っ て 生 じ るこの電圧の増加分 ΔU を求め、さらに、仮定した初期条件が繰り返されるようにするために 連続する2つのパルスの間に存在しなければならない間隔を見つける。

A.3.2 検波器からの信号に対する指示計器の応答

解 析 を 単 純 化 す る た め の 、 か つ 、 全 く 合 理 的 な 唯 一 の 仮 定 と し て 、 検 波 器 出 力 電 圧 の 立 ち 上がりが瞬間的であるとする。

このとき、以下の特性方程式を解かなければならない。

𝑑𝑑2𝛼𝛼 𝑑𝑑𝑡𝑡2 +�𝑇𝑇2

M 𝑑𝑑𝛼𝛼 𝑑𝑑𝑡𝑡�+𝑇𝑇1

M 2𝛼𝛼= �𝑇𝑇1

M 2−𝑡𝑡 𝑇𝑇 D (A.10) ここで、

44

α(t)は指示計の振れ、

TDは準尖頭値電圧計の放電時定数、

TMは臨界制動型指示計器の機械的時定数である。

こ の 式 の 解 は 、 応 答 曲 線 の 両 極 端 に お い て は 簡 単 で あ る 。 一 方 は パ ル ス 間 隔 が 十 分 に 離 れ て い る た め 初 期 値 が ゼ ロ で 既 知 の 場 合 に つ い て 、 他 方 は 繰 り 返 し 周 波 数 が 十 分 大 き く 計 器 の 慣 性 の た め に 変 動 に 対 し て 忠 実 に 追 随 で き な い よ う な 場 合 に つ い て で あ る 。 こ れ ら の 中 間 の 場 合 に は 、 計 算 は さ ら に 複 雑 な も の と な る 。 各 パ ル ス の 立 ち 上 が り 点 で は 、 機 器 の 指 示 値 が 変化しているため、初期の位置と速度を考慮して解を求める必要がある。

A.4 前段の出力電圧に対する実効値型検波器の応答

A.4.1 出力電圧と振幅の関係

定義から、実効値型検波器の出力電圧は次式によって与えられる。

𝑈𝑈rms=�𝑛𝑛 ∫0+∞𝐴𝐴22(𝑡𝑡)𝑑𝑑𝑡𝑡�1 2 (A.11)

ここで nはパルス繰り返し周波数(Hz)である。

出力は、周波数応答曲線から次のように導くことができる。

𝑈𝑈rms=�𝑛𝑛 ∫−∞+∞2𝑣𝑣𝑣𝑣×𝐹𝐹22(𝑓𝑓)𝑑𝑑𝑓𝑓�1 2 (A.12)

ここで υτは一様な周波数スペクトルを持つパルスの面積である。

これは以下のとおりとなる。

𝑈𝑈rms=√2 ×𝑣𝑣𝑣𝑣×√𝑛𝑛�∫ 𝐹𝐹−∞+∞ 2(𝑓𝑓)𝑑𝑑𝑓𝑓�1 2 (A.13)

したがって、式(A.5)から、次式が得られる。

𝑈𝑈rms=√2 ×𝑣𝑣𝑣𝑣×√𝑛𝑛×�∆𝑓𝑓 (A.14) 式(A.14)から、振幅の関係は、Urms = 2 mV、n = 100 Hzと置くと、

𝑣𝑣𝑣𝑣=100√2�∆𝑓𝑓 µVs (A.15)

となる。

又は、式(A.8)から、

𝑣𝑣𝑣𝑣=�𝐵𝐵139

3 (µVs ) (A.16) となる。

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A.4.2 過負荷係数の計算

n Hzのパルス繰り返し周波数に対応する過負荷係数は、以下のとおり求められる。

式(A.14)より

𝑈𝑈rms= (𝑣𝑣𝑣𝑣) × (2𝑛𝑛∆𝑓𝑓)1 2 式(A.1)から、G = 1の場合、次式となる。

𝐴𝐴(𝑡𝑡)peak= 0.944 ×𝑣𝑣𝑣𝑣×𝜔𝜔0 したがって、過負荷係数は次式で与えられる。

𝐴𝐴(𝑡𝑡)peak

√2×𝑑𝑑rms= 1.28�𝐵𝐵𝑛𝑛31 2 (A.17)

A.5 実効値型計器の指示値と準尖頭値型計器の指示値との関係

実 効 値 型 計 器の 場 合 の振 幅 関 係 、 すな わ ち 、2 mVの 正 弦 波信 号 と 等価 な 指 示 値 を与 え る繰 り返し周波数100 Hzのパルスの値(υτ)rmsは、式(A.16)から以下となる。

(𝜐𝜐𝑣𝑣)rms =139�𝐵𝐵

3 (μVs)

式(A.2)に示されている選択度特性については、6 dB帯域幅を基準にとると、次式となる。

(𝜐𝜐𝑣𝑣)rms=�𝐵𝐵155

6 (μVs)

準尖頭値測定用受信機の場合、2 mVの正弦波信号と等価なパルスの値(υτ)qpは次のようにな る。

0.15 MHzから30 MHzまでの周波数範囲では、

(υτ)qp = 0.316 μVs

30 MHzから1000 MHzまでの周波数範囲では、

(υτ)qp = 0.044 μVs

し た が っ て 、 式(A.2)に 一 致 す る 帯 域 通 過 特 性 と 、4章 、5章 、6章 及 び7章 に 定 め ら れ た 公 称 帯域幅に等しい6 dB帯域幅を持つ測定器の場合、(υτ)rms/(υτ)qpの関係は以下のようになる。

0.15 MHzから30 MHzまでの周波数範囲では、

(𝜐𝜐𝑣𝑣)rms

(𝜐𝜐𝑣𝑣)qp = 14.3dB 30 MHzから1000 MHzまでの周波数範囲では、

(𝜐𝜐𝑣𝑣)rms

(𝜐𝜐𝑣𝑣)qp = 20.1dB

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こ れ ら の 関 係 は 、100 Hzの パ ル ス 繰 り 返 し 周 波 数 に 対 し て 成 立 す る 。 他 の 繰 り 返 し 周 波 数 では、それと対応するパルス応答曲線を使用する必要がある。

47 付則B

(規定)

パルス発生器スペクトルの決定

(4.4節、5.5節、6.5節及び7.5節) B.1 パルス発生器

B.1.1 概要

本規格の要求事項への適合性の確認のためには、パルス発生器が必要である。

4.4 節、4.6 節、5.5 節、6.5 節及び 7.5 節の要求事項への適合性は、パルス発生器を用いた 方法で試験できる。

使 用 さ れ る 発 生器 は 、供 試 測 定 用 受 信機 の 周波 数 範 囲 に 対 して 、 表B.1に 示 す イ ンパ ル ス エ リ ア を 持 ち 、 か つ 、 同 表 に 示 す 繰 り 返 し 周 波 数 範 囲 の パ ル ス を 発 生 さ せ る こ と が で き な け れ ば な ら ない 。 イン パ ルス エ リ アは±0.5 dB以内 、 繰 り返 し 周波 数は約1 %以内 で 既知 で ある こ と。

表B.1 パルス発生器の特性

供試測定用受信機の 周波数範囲

インパルスエリア μVS

繰り返し周波数 Hz

9 kHzから150 kHzまで 13.5 1,2,5,10,25,60,100

150 kHzから30 MHzまで 0.316 1,2,10,20,100,1000

30 MHzから300 MHzまで 0.044 1,2,10,20,100,1000

300 MHzから1000 MHzまで (注) 1,2,10,20,100,1000

注) 発生器は、できる限り1000 MHzまで均一なスペクトルを持つ適切なインパルスエリ アのパルスの発生が可能であること。

B.1.2 発生されたパルスのスペクトル

ス ペ ク ト ル は 、 パ ル ス を 一 定 の 帯 域 幅 を 持 つ 供 試 測 定 用 受 信 機 に 加 え た と き 、 指 示 値 が 等 しくなる等価正弦波入力電圧の同調周波数に対する変化を表す曲線として示される。

ス ペ ク ト ル は 、 供 試 測 定 用 受 信 機 の 周 波 数 範 囲 の 上 限 周 波 数 ま で 十 分 に 一 定 で な け れ ば な ら な い 。 対 象 周 波 数 範 囲 内 で の ス ペ ク ト ル 振 幅 の 変 動 が 、 そ の 周 波 数 範 囲 内 の 低 周 波 に お け る 振 幅 に 対 し て2 dBを 超 え る こ と が な け れ ば 、 そ の ス ペ ク ト ル は 周 波 数 範 囲 内 で 十 分 均 一 で あ ると みな してよ い。測 定周 波数 におけ るイン パル スエ リアは 、±0.5 dB以内 で既知 でな けれ ばならない。

4.6節 の 要 求 事 項 を 満 た し て い る か を 確 か め る に は 、 周 波 数 範 囲 の 上 限 以 上 の ス ペ ク ト ル は 制限されなければならない(周波数上限の2倍の周波数で10 dB低下すること)。このことは試験 の 厳 し さ の 程 度 を 標 準 化 す る た め に 必 要 と な る 。 な ぜ な ら 、 ス ペ ク ト ル の 全 て の 成 分 の 相 互 変調積が応答に影響を与えるからである。

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