本剤は P-糖蛋白の基質である。
(解説)
P-糖蛋白は,P-糖蛋白の基質となる薬物を腸管内腔に排出することにより吸収を抑制する。その ため P-糖蛋白の基質となる薬物は,P-糖蛋白阻害剤との併用により血中濃度が上昇し,P-糖蛋 白誘導剤との併用により血中濃度が低下することがある。
In vitro試験で本剤は薬物代謝酵素P-450によって代謝されず22),また,薬物代謝酵素P-450を
阻害及び誘導しないことが示されている23, 24)。臨床試験ではアトルバスタチン25),ジクロフェ ナクナトリウム26) 及びジゴキシン27) との経口投与での相互作用を検討したところ,本剤の薬 物動態又は薬力学的作用に影響を及ぼさず,また逆に本剤がこれら薬剤に問題となる影響を与 えることもなかった。
Ⅷ.安全性(使用上の注意)に関する項目
(1) 併用禁忌とその理由
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 P-糖蛋白阻害剤(経口剤)
イトラコナゾール(経口剤)
[2.6参照]
併用によりダビガトランの血 中濃度が上昇し、出血の危険 性 が 増 大 する こ と が ある の で、併用しないこと。
本剤による抗凝固作用が増強 することがある。
(解説)
「2.禁忌内容とその理由」を参照すること。
(2) 併用注意とその理由
10.2 併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 血小板凝集抑制作用を有する薬剤
アスピリン、ジピリダモール、
チクロピジン塩酸塩、クロピド グレル硫酸塩等
これらの薬剤との併用により、
ヘモグロビン2g/dL以上の減少 を示すような大出血の危険性が 増大することがあるので注意す ること。やむを得ず併用する場 合には治療上の有益性と危険性 を十分に考慮し、本剤の投与が 適切と判断される患者にのみ併 用投与すること。
本 剤 は 抗 凝 固 作 用 を 有するため、これら薬 剤 と 併 用 す る と 出 血 を 助 長 す る お そ れ が ある。
抗凝固剤
ワルファリンカリウム、未分画 ヘパリン、ヘパリン誘導体、低 分子ヘパリン、フォンダパリヌ クスナトリウム等
血栓溶解剤
ウロキナーゼ、t-PA製剤等 非ステロイド性消炎鎮痛剤
ジクロフェナクナトリウム等
これらの薬剤との併用により、
出血の危険性が増大する可能性 がある。
本 剤 は 抗 凝 固 作 用 を 有するため、これら薬 剤 と 併 用 す る と 出 血 を 助 長 す る お そ れ が ある。
Ⅷ.安全性(使用上の注意)に関する項目
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
P-糖蛋白阻害剤(経口剤)
ベラパミル塩酸塩
[7.1、16.7.5参照]
併用によりダビガトランの血中 濃度が上昇することがあるた め、本剤1回110mg1日2回投 与を考慮すること。また、本剤 と同時にベラパミル塩酸塩の併 用を開始、もしくは本剤服用中 に新たにベラパミル塩酸塩の併 用を開始する場合は、併用開始 から3日間はベラパミル塩酸塩 服用の2時間以上前に本剤を服 用させること。
本 剤 に よ る 抗 凝 固 作 用 が 増 強 す る こ と が ある。
P-糖蛋白阻害剤(経口剤)
アミオダロン塩酸塩、キニジン 硫酸塩水和物、タクロリムス、
シクロスポリン、リトナビル、
ネルフィナビル、サキナビル、
グレカプレビル水和物・ピブレ ンタスビル配合剤等
[7.1参照]
これらの薬剤との併用により、
ダビガトランの血中濃度が上 昇することがあるため、本剤1
回110mg1日2回投与を考慮す
ること。
本 剤 に よ る 抗 凝 固 作 用 が 増 強 す る こ と が ある。
P-糖蛋白阻害剤(経口剤)
クラリスロマイシン
上記のP-糖蛋白阻害剤のような 顕著な影響は受けないが、併用 によりダビガトランの血中濃度 が上昇することがある。
本 剤 に よ る 抗 凝 固 作 用 が 増 強 す る こ と が ある。
P-糖蛋白誘導剤
リファンピシン、カルバマゼピ ン、セイヨウオトギリソウ(St.
John’s Wort、セント・ジョーン ズ・ワート)含有食品等
これらの薬剤との併用により、
ダビガトランの血中濃度が低下 することがある。
本 剤 に よ る 抗 凝 固 作 用 が 減 弱 す る こ と が ある。
選択的セロトニン再取り込み阻害 剤(SSRI)
セロトニン・ノルアドレナリン再 取り込み阻害剤(SNRI)
これらの薬剤との併用により、
出血の危険性が増大したとの報 告がある。
機序は不明である。
(解説)
■血小板凝集抑制作用を有する薬剤
第Ⅲ相国際共同試験1, 2) で収集されたデータによれば,アスピリン 又はクロピドグレルの本剤
110 mg 又は150 mg 1日2回投与との併用により,大出血の危険性が増大する可能性がある。
アスピリン併用時にはいずれの投与群ともに大出血発現率が約2倍になった。
Ⅷ.安全性(使用上の注意)に関する項目 AUC 及びCmax は,それぞれ約30%及び40%上昇したが,クロピドグレルを反復併用投与した 場合,本剤及びクロピドグレルとも併用によって曝露量は基本的に変化しなかった。
本剤とクロピドグレルの併用投与で,クロピドグレル単独投与と比較して,毛細血管出血時間
(CBT)の延長はみられなかった。また,本剤の作用を測定する凝固検査(aPTT,ECT,TT) やクロピドグレルの作用を測定する血小板凝集阻害(IPA)について併用投与と各単独投与を比 較した場合,相乗的な作用を示唆する凝固パラメータの延長あるいは血小板凝集阻害の増強は みられなかった45)。
■抗凝固剤
本剤は抗凝固薬であるため,同様な作用を有する薬剤との併用により出血リスクが増大する可 能性がある。
■P-糖蛋白阻害剤
ベラパミル29) を本剤投与の1時間前に単回経口投与した場合,総ダビガトランのAUC0-∞ 及び Cmaxの幾何平均値はそれぞれ2.43倍及び2.79倍に増加したが,ベラパミルの反復経口投与にお いて,本剤をベラパミルの 2時間前に投与した場合,臨床的に問題となる相互作用は認められ なかった(AUC0-∞は1.18倍,Cmaxは1.12倍に増加)。アミオダロン28) と本剤を経口投与で併用 した場合,総ダビガトランのAUCτ,ss及びCmax,ssの幾何平均値はそれぞれ1.58倍及び1.50倍に 増加した。キニジン31) の経口投与との併用では1.53~1.56倍に増加した。これらの相互作用は P-糖蛋白の阻害によるものと考えられる。
クラリスロマイシン 33) の経口投与との併用では総ダビガトランの曝露量は顕著な影響を受け なかった。
■P-糖蛋白誘導剤
リファンピシン32) との併用では,本剤の曝露量が約1/3に低下した。
リファンピシンを600 mg 1日1回7日間前投与したところ,本剤のCmax及びAUCが,それぞ れ66%及び67%低下した。リファンピシン投与中止後第7日までにダビガトラン曝露量は非併 用時の曝露量までほぼ回復した。その後の 7日間,さらなるバイオアベイラビリティの上昇は 認められなかった。
■選択的セロトニン再取り込み阻害剤,セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)及びセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻 害剤(SNRI)との併用患者において,出血イベントの増加が認められた。
8.副 作 用