VIII. 安全性(使用上の注意等)に関する項目
7. 相互作用
3. 効能・効果に関連する使用上の注意とその理由
1. 適用の前に十分な検査を実施し、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症であ ることを確認した上で本剤の適用を考慮すること。
(解 説)
高コレステロール血症治療剤にほぼ共通する注意事項。本剤の効能・効果は「高コレステロール血症」、
「家族性高コレステロール血症」であるが、ほかの疾患や薬剤により二次的にコレステロールが上昇 する場合があり、このような場合には原因疾患の治療を優先する必要がある。従って、十分な検査を 実施後、「高コレステロール血症」、「家族性高コレステロール血症」であることを確認すること。
2. 家族性高コレステロール血症ホモ接合体については、LDL-アフェレーシス等の非薬物療法 の補助として、あるいはそれらの治療法が実施不能な場合に本剤の適用を考慮すること。
(解 説)
高コレステロール血症治療剤にほぼ共通する注意事項。家族性高コレステロール血症のうち、ホモ 接合体の患者ではLDL-コレステロールの代謝に必要なLDL受容体の活性がほとんどないか、あっ てもごくわずかである。本剤の主な作用は、LDL受容体を誘導し、肝臓へのコレステロールの取り 込みを増加させることであり、ホモ接合体の患者では十分な効果が得られにくいものと考えられる ことから、治療上やむを得ないと判断される場合に限って、LDL-アフェレーシス等の非薬物療法の 補助的手段として、本剤を使用すること。
4. 用法・用量に関連する使用上の注意とその理由
1. クレアチニンクリアランスが30mL/min/1.73m2未満の患者に投与する場合には、2.5 mgよ り投与を開始し、1日最大投与量は5mgとする。(「慎重投与」及び「薬物動態」の項参 照)
(解 説)
重度(クレアチニンクリアランス<30mL/min/1.73m2)の腎障害のある患者では、健康成人に比べて 血中濃度が約3倍に上昇する[43]ことから、開始用量を2.5mg、1日最大投与量を5mgに限定した。
(「Ⅷ. 5. 慎重投与 (1) 腎障害又はその既往歴のある患者」及び「Ⅶ. 薬物動態1. (3) 9) 腎障害の 影響」の項参照)
2. 特に20mg投与時においては腎機能に影響があらわれるおそれがある。20mg投与時には、
投与開始後12週までの間は原則、月に1回、それ以降は定期的(半年に1回等)に腎機能 検査を行うなど、観察を十分に行うこと。
(解 説)
承認時までの臨床試験(外国人データ)において、本剤 40mg(承認外用量)以上の投与例では蛋 白尿の発現頻度の上昇が認められ、80mg(承認外用量)投与例では血尿の発現頻度の上昇や重篤 な腎機能障害の報告が認められている。また、現時点では日本人における本剤20mg投与時の安全 性のデータは限られていること、同じ投与量であっても日本人における本剤の曝露量は白人の約 2 倍に相当[10][36]することを考慮し、本剤の国内最高用量である20mg投与時においては、他の要因 も含めて腎機能の悪化をきたしていないことを確認し、重篤な腎機能障害への進展を未然に防ぐた めに、定期的な腎機能検査(血清クレアチニン、BUN等)の実施を本項にて注意喚起した。
3. (OD錠のみ)
OD錠は口腔内で崩壊するが、口腔粘膜からの吸収により効果発現を期待する製剤ではない ため、崩壊後は唾液又は水で飲み込むこと。(「適用上の注意」の項参照)
(解 説)
クレストール錠5mgとクレストールOD錠5mgは生物学的同等性試験において、同等性が確認さ
れている [35]。また、本剤は口腔内で崩壊するが、口腔粘膜からの吸収により効果発現を期待する
製剤ではないため、崩壊後は唾液又は水で飲むことを追加で設定した。
なお、クレストールOD錠2.5mgについては、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性ガイ ドライン(平成24年2月29日、薬食審査発0229第10号)」に基づき、クレストールOD錠5mg を標準製剤としたとき、溶出挙動が同等であり、生物学的に同等とみなされたため、クレストール OD錠5mgと同様に設定した。
5. 慎重投与内容とその理由
(1) 腎障害又はその既往歴のある患者[重度の腎障害のある患者では、本剤の血中濃度が高くな るおそれがある。一般に、HMG-CoA還元酵素阻害剤投与時にみられる横紋筋融解症の多く が腎機能障害を有する患者であり、また、横紋筋融解症に伴って急激な腎機能悪化があらわ れることがある。](「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「薬物動態」の項参照)
(解 説)
軽度から中等度の腎障害のある患者では、Cmax、AUC0-24hは健康成人の1.1~1.8倍であったが、重 度(クレアチニンクリアランス<30mL/min/1.73m2)の腎障害のある患者では、健康成人に比べて血 中濃度が約3倍に上昇した[43]。また、腎機能低下患者では、HMG-CoA還元酵素阻害剤投与時にみ られる横紋筋融解症の発現頻度が高くなるとの報告[67]がある。
欧州医薬品審査庁(The European Agency for the Evaluation of Medicinal Products:EMEA)医 薬品委員会(Committee for Proprietary Medicinal Product:CPMP)の医薬品安全性監視ワーキン グパーティー(Pharmacovigilance Working Party:PhVWP)において、HMG-CoA還元酵素阻害 剤による筋障害について検討が行われ、腎障害のある患者は横紋筋融解症を起こしやすい素因を有す
るため、HMG-CoA還元酵素阻害剤を処方する場合は慎重に投与すべきであるとの内容を添付文書に
記載するべきとの勧告が発出された。
(「Ⅷ. 4. 用法・用量に関連する使用上の注意」及び「Ⅶ. 薬物動態1. (3) 9) 腎障害の影響」の項参 照)
(2) アルコール中毒患者、肝障害又はその既往歴のある患者[本剤は主に肝臓に分布して作用す るので、肝障害を悪化させるおそれがある。また、アルコール中毒患者では、横紋筋融解症 があらわれやすいとの報告がある。](「禁忌」及び「薬物動態」の項参照)
(解 説)
HMG-CoA還元酵素阻害剤共通の注意事項。本剤は主に肝臓に分布して作用するため、肝障害を悪化
させるおそれがある。また、アルコール中毒患者ではアルコールによる筋細胞の代謝障害(エタノー ルやその代謝物アセトアルデヒドによる筋肉内解糖系酵素活性の阻害)又は直接毒性(エタノールに よる筋鞘膜や筋肉内ミトコンドリアに対する直接毒性)等により横紋筋融解症を含む筋障害(アルコ ール性ミオパチー)を来たす場合があり、横紋筋融解症の危険因子となるとの報告がある[68]。 なお、アルコール中毒患者については、慎重投与(1) 腎障害又はその既往歴のある患者の解説に記載 した欧州における検討により、HMG-CoA還元酵素阻害剤投与により横紋筋融解症を起こしやすい素
因を有する患者として注意喚起されている。
(「Ⅷ. 2. 禁忌2. 肝機能が低下していると考えられる以下のような患者」及び「Ⅶ. 薬物動態 1. (3) 8) 肝障害の影響」の項参照)
(3) フィブラート系薬剤(ベザフィブラート等)、ニコチン酸、アゾール系抗真菌薬(イトラコ ナゾール等)、マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン等)を投与中の患者[一般に
HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用で横紋筋融解症があらわれやすい。](「相互作用」の
項参照)
(解 説)
これら薬剤と HMG-CoA 還元酵素阻害剤の併用により、横紋筋融解症があらわれやすいとされてい る。フィブラート系薬剤(ベザフィブラート等)、ニコチン酸、アゾール系抗真菌薬(イトラコナゾ ール等)、マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン等)と本剤の併用は、「併用注意」である。
(「Ⅷ. 6. 重要な基本的注意とその理由及び処置方法(2)」及び「Ⅷ. 7. 相互作用」の項参照)
(4) 甲状腺機能低下症の患者、遺伝性の筋疾患(筋ジストロフィー等)又はその家族歴のある患 者、薬剤性の筋障害の既往歴のある患者[横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。]
(解 説)
HMG-CoA還元酵素阻害剤共通の注意事項。慎重投与(1) 腎障害又はその既往歴のある患者の解説に
記載した欧州における検討により、甲状腺機能低下症の患者、遺伝性の筋疾患(筋ジストロフィー等)
又はその家族歴のある患者、HMG-CoA還元酵素阻害剤又はフィブラート系薬剤での筋障害の既往歴 のある患者は横紋筋融解症を起こしやすい素因を有する患者として注意喚起されている。
(5) 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
(解 説)
HMG-CoA還元酵素阻害剤共通の注意事項。慎重投与(1) 腎障害又はその既往歴のある患者の解説同
様、高齢者も横紋筋融解症を起こしやすい素因を有する患者とされている。また、一般に、高齢者は 腎機能、肝機能等生理機能が低下していることがあり、慎重に投与する必要がある。
なお、臨床試験において本剤を投与した場合、高齢者と非高齢者に血中濃度の明らかな差は認められ なかった[40]。
(「Ⅷ. 9. 高齢者への投与」及び「Ⅶ. 薬物動態 1. (3) 7) 性差及び加齢の影響」の項参照)
6. 重要な基本的注意とその理由及び処置方法
(1) あらかじめ高コレステロール血症治療の基本である食事療法を行い、更に運動療法や高血 圧、喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターの軽減等も十分考慮すること。
(解 説)
高コレステロール血症の治療剤にほぼ共通する注意事項。高コレステロール血症の治療の基本は、食 事療法や運動療法を含めた生活習慣改善であり、たとえ薬物治療が必要となっても生活習慣改善を基 本に置くことが重要である。
(2) 腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に、本剤とフィブラート系薬剤を併用す る場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。急激な腎機能悪化 を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。やむを得ず併用する場合には、定期的に腎機能検査 等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグ ロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中 止すること。
(解 説)
HMG-CoA還元酵素阻害剤及びフィブラート系薬剤共通の注意事項。腎機能に関する臨床検査値に異
常が認められる患者に対し、本剤とフィブラート系薬剤を併用することがやむを得ないと判断された 場合には、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK(CPK)の上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇 並びに血清クレアチニン上昇等に注意しながら併用すること。これらの症状・徴候が認められた場合 には、直ちに投与を中止すること。
また、重度(クレアチニンクリアランス<30mL/min/1.73m2)の腎障害のある患者では、健康成人に 比べて本剤の血中濃度が約3倍に上昇する[43]ため、慎重に投与すること。
(「Ⅷ. 5. 慎重投与 (1) 腎障害又はその既往歴のある患者」及び「Ⅷ. 7. 相互作用」の項参照)
(3) 投与中は血中脂質値を定期的に検査し、治療に対する反応が認められない場合には投与を中 止すること。
(解 説)
高コレステロール血症の治療剤にほぼ共通する注意事項。効果がない場合に漫然と使用され、適切な 治療が遅れることを避けるために記載している。
(4) 近位筋脱力、CK(CPK)高値、炎症を伴わない筋線維の壊死、抗HMG-CoA還元酵素
(HMGCR)抗体陽性等を特徴とする免疫介在性壊死性ミオパチーがあらわれ、投与中止後
も持続する例が報告されているので、患者の状態を十分に観察すること。なお、免疫抑制剤 投与により改善がみられたとの報告例がある。(「重大な副作用」の項参照)
(解 説)
スタチン製剤共通の注意事項。自己抗体が原因と考えられる炎症細胞浸潤を伴わない筋線維の壊死、
抗 HMG-CoA 還元酵素(HMGCR)抗体陽性等を特徴とする免疫介在性壊死性ミオパチーがあらわ
れ、投与中止後も持続する例が報告されていることから、注意喚起している[78] [79] [80] [81]。