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Tier 3 partial distribution Tier 3 partial

distribution

Tier 2? or 3?

Oversea KAGRA collaborater sites:

Korea, China, India etc.

?

図2: KAGRAのデータ系概観

Tier Site(s) Purpose Raw Calibrated

Detecter Characteriz

ation

Amount of

data event alarts

(0?) Kamioka DAQ partial (spool) partial (spool) partial (spool) 500TB partial 1 Kashiwa Main

Storage

○ ○ ○

5~30PB discussed)(Not yet

1.5 Osaka City,

Osaka Low latency

NA or small

amount

○ ○

<1PB

2 NAOJ?

Korea Site? Mirroring

○ ○ ○

5~30PB

3 End users Develop

ment NA partial partial discussed)(Not yet NA 図3: KAGRAのTierとデータ量

2. 乙女座銀河団からの天体起源背景重力波についての数値シミュレーションによる研究 〜 LCGTと第二世代重力波検出器を用いたラジオメトリフィルタ〜(岡田)

本件は、岡田雄太の修士論文の主題である。

重力波は一般相対論が予想する時空の歪みの波である。その直接観測は未だなされていない が、一般相対論の検証や天体・宇宙物理の成果が期待されている。日本のLCGT計画など の、新技術を加えた「第二世代」の検出器が世界の何カ所かで現在建設中である。

重力波源には様々なものが考えられるが、本研究論文では乙女座銀河団からの背景重力波を 対象とした。岡田氏を含む共著論文[1]は、銀河団が含む多数パルサーからの重力波の重ね 合わせが、長期的かつ天球上の異方性に有感な解析手法である「ラジオメトリ」によって検 出できる可能性を示した。これと平行して岡田氏は数値シミュレーションによって実際の観 測データ相当の状況でのラジオメトリフィルタ計算を構築した[2]。解析的な予想と数値シ ミュレーションの結果は概ね一致し、検出器の組み合わせに依存するが1年〜3年の観測時 間があれば乙女座銀河団からの背景重力波を同定できることを示唆した。同様の計算は国際 的にみても1、2の先行研究があるだけであり、特に乙女座銀河団からの背景重力波を想定 したシミュレーションは本研究が世界初である。本研究の結果は現在学術雑誌への投稿を準 備中である。国際観測ネットワークを用いるラジオメトリ解析の可能性を具体的に示した事 は重要な成果である。

R.A.

declination

10 8 7 6 5 4 3 2 1 signal strength (arbitrary unit.)

-120º -60º 0º 60º 120º

図4: 重力波ラジオメトリによる天球マップのシミュレーション

3. 重力波のラジオメトリ探査、複数台検出器のコヒーレント検出についての基礎研究(日印交 流)(岡田、神田)

インドIUCAA (Inter-University Centre for Astronomy and Astrophysics)との研究交流プ ログラムでの研究である。日本学術振興会の二国間共同研究に採択されている。

この課題は、複数台の検出器を用いた場合の解析についての研究で、コヒーレント法とコイ ンシデンス法の比較と、重力波のラジオメトリ探査が研究課題である。

今年度はラジオメトリ探査についてフレームワークおよび数値計算による研究が進んだ。特 に、おとめ座銀河団がhot spotとして観測される可能性を指摘し(図5)、論文[1]に出版さ れた。この成果は、重力波ラジオメトリ探索の可能性を示すものとして世界に先駆けた成果 だと考えている。

また、前項で説明したように数値計算(シミュレーション)が進んでおり、定量的な研究が 進んでいる。

100 101 102 103 104

10−26 10−25 10−24 10−23 10−22 10−21 10−20 10−19

Frequency [Hz]

Strain noise spectrum [1/Hz1/2 ]

LCGT LIGO Virgo ET−BH1/2 eff(f)( =10−5)

H1/2 eff(f)( =10−6) H1/2 eff(f)( =10−7)

Virgo LIGO LCGT

ET

H1/2

eff(f)( =10−5)

H1/2

eff(f)( =10−6)

H1/2 eff(f)( =10−7)

図5: 乙女座銀河団起源の背景重力波スペクトル予想(論文[1])

4. KAGRA検出器データのシミュレーション(山本)

検出器やそれで得られる信号を研究するのに、しばしばシミュレーションが用いられる。特 に、ランダムなプロセスや、実際のデータ処理についての評価において、Monte-Carloシミュ レーションによる疑似データは有効な手だてである。重力波検出の場合、雑音のなかの微小 信号探索であるから、シミュレーションの“でき”は、より本物らしい雑音を生成できるか に強く依存している。原因のはっきりしている検出器の挙動にとどまらず、源のよくわから ない非ガウス雑音や非定常雑音も再現しなくては、実際の解析の検証に耐えない。また、原 因がはっきりしていても、懸架系などの機械的励起や電源ラインの変動等、単純な乱数では 再現できないものも多く存在する。

さらに、実際のデータのように時系列で生成しようとすると、継ぎ目なく生成するには数値 計算に工夫が必要である。実験では検出器の性能は周波数スペクトルで得ることが多く、測 定計の伝達関数も周波数領域で得られる。それらを再現するように、前述の雑音源を組み込 みながら時間的に連続な疑似データを作成する。

従来、簡単なシミュレーションとして雑音スペクトルを種にした乱数と、逆FFTを用いた 方法がおこなわれていた。しかしこの方法は、どうしても時系列に不連続な継ぎ目を生じて しまう。このため、解析方法のチューニングにあわせて雑音生成もかえねばならない。継ぎ 目のある疑似データは、例えば時間区切りを変えての検証や、自在にパラメーターを変えて の解析手法の開発に支障がある。よって、KAGRAの“時系列の継ぎ目のない疑似データ” を試みることになった。

本研究では、ラプラス変換をもちいて伝達関数を複素周波数で定義し、インパルス応答を微 分演算子をつかって再現して行列・ベクトル演算化し、ホワイトな雑音をもとに周波数依存 性のある雑音スペクトルを生成した。図6に輻射圧雑音と散射雑音の例を示す。

またこれ以外にもワイヤの励起や電源ハム雑音、非定常スパイク雑音なども生成した。

ノイズ生成シミュレーション ( ガウス雑音 )

radiation pressure quantum noise

hrad(t) hq(t)+hshot(t)

FFT FFT

1 10000[Hz] 1 10000[Hz]

0 60[sec] 0 60[sec]

˜hrad(f)

˜ h

q

( f )

|hradiation(f)|

|hgenerate(f)|

average of 100 times

average of 100 times

|hgenerate(f)|

|hshot(f)|

|hradiation(f)|

24

2012年2月18日土曜日

図 6: KAGRA雑音シミュレーションの例

5. Cosmic String 起源の重力波について(譲原)

Cosmic Stringは宇宙初期に位相欠陥などから生じたと考えられているが、もし存在すれば

重力波源となりうる。すなわち、Stringの曲がり角となる部分の運動から、重力波を放出す ると考えられている。この「角」には、“kink”と“cusp”の2種が考えられる(図7)が、重 力波放射はcusp のほうが大きいと考えられる。Cosmic String は宇宙の進化とともに発展 し、その時の宇宙スケールに応じた長さのopen loop stringや、時間が経つにつれてstring がもつれて生じるloop stringがあると考えられる。loop stringに生じたcuspが重力波源に なり、その振幅や周波数の分布は、cosmic stringの張力やloop sizeによってきまる。また振 幅が小さいが非常に多くのloop から放出される重力波は背景重力波となり、稀だが大振幅 のものはバースト的な重力波として検出の可能性が論じられてきた(Damour and Vilenkin, 2001等)。

この研究では、Cosmic Stringからの重力波を時系列シミュレーションで生成し、その解析 方法を探ろうというものである。特に、背景重力波というには断続的だがバーストと認識で きるような振幅や時間的局在性がない、いわば“中間振幅・中間頻度”の重力波について、解 析手法や検出の可能性を検討するのが目的である。

KAGRAやadvanced LIGOなどの重力波検出器の背景重力波についての感度はΩh20 108 であり(図8)、いくつかの Cosmis String モデルの予想する重力波スペクトルに届く。し たがって、数年後には実データでの検証が期待される。

2012/2/19       アインシュタイン冬のセミナー2012@長浜市サイクリングターミナル       譲原 浩貴

/44

Cosmic Stringとは

41

・初期宇宙で作られた高エネルギーのひも

・(背景)重力波源のひとつ

kinkcuspから重力波が放出される

Cosmic string からの重力波

主にループ上のkinkやcuspと呼ばれる構造から放出される

kink cusp

一般的にcuspからの寄与のほうがdominant

様々な方向からやってくる重力波が 重なり合って背景重力波として見える たまにやってくる大きな重力波は 単独でバーストとして観測される

→ 観測からcosmic stringの性質を探れるか?

2011年11月25日金曜日

図 7: Cosmic Stringの“kink”と“cusp”

6. GPGPUを用いた重力波ラジオメトリ計算の高速化(田中、神田)

本研究は、科学研究費補助金「GPGPUを用いた重力波ラジオメトリ計算の高速化」(基盤 (C)、代表:神田展行)としてH23-25年度に採択された。

日本でもレーザー干渉計型重力波検出器KAGRAの建設が進み、天体からの重力波の直接 検出がもうじき実現すると期待されている。2台の検出器に到来する重力波は波源の方向に よって時間差が生じるが、天球上に連続的に重力波を発する天体がある場合、重力波源と 検 出器の相対配置は地球の自転・公転によって変化するので、その時間差は時々刻々と変化す る。この時間差変化を考慮した積分フィ ルターで連続的な重力波を探索し、天球上にマッピ ングが可能である。これが「重力波ラジオメトリ」であり、波形を仮定せずに連続 的な波源 を全天で探索できる優れた解析手法である。しかし、長いデータの積分を仮定する方向毎に 繰り返したり、シミュレーション を行うには多数の不定波形重力波源を天球上に分布させて 埋め込むといった、比較的冗長な計算が必要である。本研究では、この計算 をGPGPU(画 像処理演算装置による汎目的計算)を用いて高速化する事が目的である。

本年度は、実際にGPUを備えたワークステーションを導入し、GPGPU環境でのプログラ ム開発をおこなった。まずGPGPUで の高速フーリエ計算(FFT)を行い、その基本的な 動作や速度の確認をおこなった。続いて、並列化に着手したところである。現在のところ、

GPUモジュールを1つのみ使用したとして、(1) CPUでの計算にくらべて23倍は高速化 できそうであること、(2)ラジオメトリ計算の時系列データ区間単位を変更しても、総デー タ処理時間の増減を数10%程度に抑えることが見積もれた。実装上の性能は引き続きの課題 である。

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