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手稲渓仁会病院総合内科・感染症科

井上 顕治,岸田 直樹

【症例】62 歳女性.

【現病歴】来院 2 日前から全身倦怠感・右上腹部痛が出現.

来院日自宅にて動けなくなっていたため手稲渓仁会病院へ 救急搬送となった.

【既往歴】Evans 症候群(来院 2 年前に脾臓摘出),糖尿病.

【内服薬】プレドニゾロン 20mg!日,インスリン使用中.

【生活歴】牛乳を愛飲し,チーズも日常的に摂取.

【現 症】体 温 39.4℃ 脈 拍 110 回!分 血 圧 160!74mmHg 呼吸回数 28 回!分 GCS15 E4V5M6 右季肋部に叩打痛 Murphy 徴候陽性.

【検査所見】(造影 CT)肝内に 1〜2cm 程度の多発性の占 拠性病変 胆泥貯留.

【来院後経過】多発肝膿瘍・胆嚢炎と判断し,ドリペネム・

ミカファンギン投与開始.また内視鏡的経鼻胆嚢ドレナー ジ施行.入院 4 日目入院時に採取した血液培養 2 セット中 2 セッ ト か らListeria monocytogenes が 検 出 さ れ た.入 院 5 日目軽度意識障害が継続していたため,腰椎穿刺施行.

細胞数 22!μL と脳脊髄液に異常を認めたため,髄膜炎も 合併していると判断し,抗菌薬をアンピシリン及びゲンタ マイシンに変更の上,髄膜炎用量での治療を 4 週間継続.

アンピシリン,プロベネシド内服に変更し退院・外来フォ ローとし,以後画像上肝膿瘍が消失するまで継続を行った.

【考察】L. monocytogenes による肝膿瘍は非常に稀である が,ステロイド内服,糖尿病,妊娠などがリスクとなり発 症する.治療はアンピシリン・ゲンタマイシンの併用が推 奨され本症例においても有効であった.

P2-066.難治性成人発症 Still 病にリステリア肝膿瘍を 合併した 1 例

苫小牧市立病院内科1),北海道大学内科 12)

近藤 桂一1)藤枝雄一郎1)長岡健太郎2)

【症例】65 歳,女性.

【現病歴】2013 年 6 月より発熱,倦怠感を自覚し,7 月 13 日に重度の肝障害を認め,当院へ入院となった.腹部エ コー,全身 CT では特記すべき所見を認めず,全身に小紅 斑を認めた.また,フェリチンが著明高値であったことか ら,成人発症 Still 病(AOSD)と診断し,7 月 26 日より ステロイドパルス療法による治療を開始した.治療中に,

発熱,皮疹の増悪,フェリチンの上昇を認め,難治性 AOSD と判断し,8 月 9 日よりメトトレキサート(MTX)およ びインフリキシマブ(IFX)を投与した.8 月 14 日に血

液培養からListeria monocytogenes が検出され,腹部エ コー,造影 CT で多発肝膿瘍を認め,メロペネム(MEPM)

で治療した.解熱しフェリチン低下傾向であったが,8 月 28 日に再度発熱,フェリチンの上昇を認めた.MTX と IFX を中止したが,肝酵素,フェリチンの上昇は続き,9 月 6 日に MEPM をアンピシリンへ変更した.以後,経過良好 で,フェリチン,肝酵素の低下,肝膿瘍の消失を認めた.

【考察】本症例はステロイド治療後,比較的早期にリステ リア菌血症を発症したが,抗生剤と免疫抑制剤を併用し,

いずれも改善した.当初奏功していた MEPM が経過中効 果不十分となっており,IFX がリステリア感染症を増悪 させた誘因と推察された.リステリア感染症時の免疫抑制 剤の選択も重要であると考えられた.

P2-067.侵襲性 B 群溶血性連鎖球菌感染症の症例検討 沖縄県立南部医療センターこども医療センター小 児科

倉橋 幸也,安慶田英樹

【背 景】B 群 溶 血 性 連 鎖 球 菌(Group B Streptococcus 以 下 GBS)陽性母体に対する分娩時抗菌薬予防投与により 早発型 GBS 感染症(日齢 0〜6)の発生率は改善してきた が,遅発型 GBS 感染症(日齢 7〜89)の発生率は変わら ないといわれている.さらに近年,日齢 90 以降の乳児に 発症する超遅発型が僅かながら報告されている.今回,我々 は当院における侵襲性 GBS 感染症の臨床検討を行った.

【方法】2006 年 4 月〜2013 年 10 月の 7 年 7 カ月間の当院 の診療録を後方視的に検討した.

【結果】症例数は 12 例(男児 4・女児 8)で,敗血症 6 例・

髄膜炎 6 例(うち脳室炎 1 例)であった.早発型は 3 例,

遅発型は 8 例,超遅発型は 1 例であった.抗菌薬に関して,

ABPC で治療完遂したのは 8 例で,CTX で治療完遂した のが 4 例だった.合併症は水頭症 1 例,発達遅滞 1 例であ り,死亡 1 例を認めた.

【考察】超遅発型は,極低出生体重児であることが発症の リスクの一つといわれており,今後,症例数は増加すると 指摘されている.抗菌薬の選択に関しては,全症例で PCG への感受性がよく,Definitive therapy の第一選択は ABPC と思われた.

P2-068.生来健康な成人男性に発症した B 群β溶連菌 による左胸鎖関節炎の 1 例

聖路加国際病院内科感染症科1),順天堂大学医学 部総合診療科2)

大串 大輔1)2)甘利 悠2)志賀 教克2)

上原 由紀2)内藤 俊夫2)礒沼 弘2)

【症例】特に既往のない 52 歳男性.

【主訴】発熱,左前胸部痛.

【現病歴】入院 4 日前から発熱と悪寒戦慄を自覚していた.

入院 2 日前より前胸部痛が出現し,近医で LVFX の処方 を受けたが症状の改善がなく,入院前日に順天堂医院総合 診療科外来を受診.血液培養採取後に CTRX を点滴静注 し,AMPC!CVA の処方で帰宅となった.しかし受診翌

日に血液培養が陽性との報告があり,即時入院となった.

【入院時現症】意識清明,体温 38.8℃,血圧 120!60mmHg,

脈拍 84!分,呼吸数 18!分,SpO296%(室内気).左胸鎖 関 節 部 に 圧 痛 を 認 め る.白 血 球 10,000!μL(好 中 球 70.1%),CRP 14.6mg!dL,ESR 31mm!h.

【入院後経過】血液培養から検出された菌は感受性良好な B 群β溶連菌であり,入院時から PCG 2,400 万単位!日に よる治療を始めた.MRI で左胸鎖関節周囲の液体貯留と 周囲の脂肪織の高信号がみられたことから,左化膿性胸鎖 関節炎と診断した.PCG の投与により症状は改善し,4 週 間の点滴加療の後,2 週間の CLDM 内服として治療終了 とした.

【考察】一般に胸鎖関節は,健常者に生じる化膿性関節炎 の部位としては稀な関節である.起因菌としては Staphylo-coccus aureus が約 50% と最多であり,B 群β溶 連 菌 は 約 3% のみとの報告がある.本症例は胸鎖関節という稀な 部位に生じた稀な起因菌による化膿性関節炎であるが,糖 尿病や悪性腫瘍,外傷等のリスクが全くない患者に発症し たという観点から,臨床的示唆に富むものと考えられた.

P2-069.Tsukamurella inchonensis による菌血症を 来 した 1 例

愛媛大学大学院医学系研究科小児科学1),愛媛大 学医学部附属病院検査部2),岐阜大学大学院医学 系研究科病原体制御分野3)

越智 史博1)田内 久道1)森谷 京子1)

宮本 仁志2)大楠 清文3)石井 榮一1)

Tsukamurella 属は土壌,水などの環境中に生息する偏 性好気性のグラム陽性桿菌で,悪性腫瘍,白血病,ステロ イド投与といった免疫不全患者において菌血症,慢性気道 感染症,皮下膿瘍などを引き起こすことが知られている.

症例は 14 歳男児.ホジキンリンパ腫に対し中心静脈カテー テル(PICC)を留置し,化学療法を施行した.治療経過 良好であったが,試験外泊中に発熱し,血液検査で WBC 数 の 減 少 を 認 め た(2,000!μL;Stab 4.0%,Seg 83.0%).

血液培養を提出し TAZ!PIPC を開始した.2 日後,入院 時の血液培養からグラム陽性桿菌が分離された.検出菌は,

血液寒天培地上で粗なベルベット状,平坦で辺縁不整な橙 色〜黄褐色のコロニーを呈し,放線菌様の土臭気を認めた

(Kinyoun 抗酸染色陽性,カタラーゼ試験陽性,リゾチー ム試験陽性).Tsukamurella 属による菌血症を疑い,16S rRNA 塩基配列による系統解析を依頼し,Tsukamurella inchonensis と同定した.PICC を抜去し,速やかに症状 が改善した.TAZ!PIPC は好中球数が回復するまで継続 した.以後,膿瘍は形成せず,経過良好である.Tsuka-murella 属によるデバイス関連感染例の報告も散見され,

本症例のような免疫不全患者に人工物を留置する際には,

本菌による血流感染に注意を払う必要がある.

P2-070.発熱,皮疹を主訴に来院し,Toxic shock syn-drome(TSS)と診断した 2 例

独立行政法人国立病院機構東京医療センター総合

内科

森川日出男,森 隆浩,森 伸晃 鈴木 亮,鄭 東孝

Toxic shock syndrome(TSS)と は,黄 色 ブ ド ウ 球 菌 により大量に産生される外毒素である Toxic shock syn-drome toxin-1(TSS-1)により,皮疹を伴う敗血症様症状 を呈し,急速にショックに進行する症候群である.発熱,

皮疹を来す疾患は多岐に渡るが,今回我々は TSS と診断 し治療しえた 2 例を経験したので報告する.

【症例 1】48 歳女性.入院 4 日前にインフルエンザ A の診 断を受け,入院前日に一旦解熱したが,再度 40℃ の発熱 と意識障害を認め入院となった.結膜充血や紅斑も認めた ため,TSS を考慮し PAPM!BP,VCM,CLDM で治療を 行った.入院半日後にショック状態となったが,2 日後に は離脱し,その後の経過も良好であった.入院時に使用し ていた月経用タンポンの培養から MRSA が検出され,コ ロニーから TSST-1 が検出れ,TSS の診断に至った.

【症例 2】50 歳女性.入院 3 日前に 39℃ の発熱,入院 2 日 前から体幹に紅斑を認めた.その後も発熱が持続し,紅斑 が全身に広がったため入院となった.結膜充血,入院数日 前の月経用タンポン使用歴もあり,TSS を考慮し MEPM,

VCM,CLDM で治療を開始した.入院 5 時間後にショッ ク状態となったが,入院 2 日目には離脱した.入院 4 日目 から皮膚落屑を認め,TSS の診断に至った.入院時に採 取した月経血培養からは MSSA が検出され,コロニーか ら TSST-1 が検出された.健康な成人が,速い経過で皮疹 を伴う敗血症様症状を呈した際には,詳細な病歴聴取と診 察を行い,鑑別疾患として TSS も考慮すべきである.

P2-072.脾臓低形成患者に肺炎球菌性電撃性紫斑病を 呈した 1 例

市立堺病院総合内科

名倉 功二,田中 孝正,藤本 卓司

【症例】53 歳男性.

【現病歴】特に既往なし.発熱,疼痛を伴う全身の紫斑を 主訴に当院救急外来を受診した.

【検査成績】血液培養にて肺炎球菌検出.腹部 CT にて脾 臓低形成を認めた.

【臨床経過】来院時から循環不全,呼吸不全,腎不全を合 併しており集中治療室で治療を開始した.全身に著明な紫 斑を認め,CT で脾臓低形成を認めたことから,莢膜を有 する肺炎球菌,髄膜炎菌,インフルエンザ桿菌のいずれか に よ る 重 症 感 染 症 と 診 断 し,抗 菌 薬(MEPM,LVFX,

VCM),カテコラミン,人工呼吸器,CHDF にて治療を行っ た.血液培養で肺炎球菌を認めたため,抗菌薬を CTRX に変更し治療を完遂.第 30 病日に四肢切断,デブリドマ ンを行い,創部に持続陰圧吸引療法を行った.現在リハビ リ施行中.

【考察】肺炎球菌をはじめ莢膜を有する細菌は,脾臓摘出 後患者において重症感染症を起こすことが知られている.

本症例は手術や外傷の既往は無く,先天性の脾臓低形成で

あったことが推測される.電撃性紫斑病は致死率の高い感 染症であり,適切な抗菌薬投与と各種臓器サポートが必要 である.本症例の治療経過に加え,過去に経験した当院の 電撃性紫斑病症例,文献学的考察を加えて報告する.

(非学会員共同研究者:小林 誠,西平守明)

P2-073.脾臓摘出術後重症感染症(OPSI)による電撃 性紫斑病(PF)の 1 救命例

昭和大学医学部救急医学講座

神田 潤

【背景】OPSI と PF は,単独でも死亡率が極めて高い.

【症例】88 歳女性.受診 10 カ月前にびまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫のため,脾臓を摘出した.受診 1 日前より 感冒症状を認め,当日は意識障害を呈したため救急要請.

肺炎・敗血症性ショックを呈しており,OPSI を発症して,

DIC・AKI・PF・ARDS を 合 併 し て い た.前 腕・下 腿・

顔面・口腔内を中心に紫斑が広がり,上気道・腸管にも出 血性浮腫状の炎症所見を認めた.気管挿管・人工呼吸器管 理,CHDF 施行,rTM 製剤,γグロブリン製剤,AT 製剤 投与などの集中治療管理下に,DRPM による治療を開始 した.血液培養で肺炎球菌が陽性となり,感受性結果より PCG へ De-escalation を行った.全身状態は改善傾向とな り,抜管・人工呼吸器管理に成功した.出血性腸炎には経 腸栄養の調整が必要であり,気道浮腫により呼吸筋疲労と 気道閉塞のため,再挿管・気管切開を行った上で,リハビ リテーション・栄養管理を進めていく必要があった.

【考察】特徴的な紫斑を見た場合には PF を疑い,OPSI に は De-escalation による抗 菌 薬 の 選 択 が 安 全 か つ 有 効 で あった.その一方で,合併する種々の機能障害について,

多職種による早期からのリハビリテーションを含む病態に 応じたきめ細かい対処が必要であった

【転帰】OPSI で PF を認めた肺炎球菌による重症敗血症に 対して,適切な抗菌薬投与・集中治療管理により救命に成 功した 1 例を経験した.

P2-074.敗血症から椎間板炎になり咽後膿瘍を形成し た 1 例

洛西ニュータウン病院内科

藤岡 研

【症例】70 歳代男性.

【主訴】四肢麻痺.

【現病歴】来院 5 日前に転倒し頭部を打撲した.その後全 身倦怠感があり,寝たきりの時間が次第に増えるように なった.次第に発熱も伴ってきたので,当院に搬送された.

既往に紅皮症があった.来院時四肢麻痺を呈していた.頭 部病変を疑い頭部 CT,MRI を撮影したが病変はみられな かった.頸椎 MRI を撮影すると C3〜6 にかけて髄腔の狭 小化がみられ,また C4!5 と 6!7 の椎間板に high intensity area が見られた.また同 MRI にて retropharyngeal space に fluid collection がみられ咽後膿瘍が疑われた.加療目的 のため入院となった.

【入院後経過】入院後,MEPM 投与にて経過をみていたが,

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