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病歴聴取・身体所見・尿検査・排尿記録

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a

.病歴聴取

 妊娠中の腎膀胱の形態や羊水過少の有無,髄膜瘤の範囲,閉鎖手術時の手術所見,手 術前後の神経学的所見・排尿や排便状況,キアリ奇形による水頭症の有無とその治療な どを確認する。

b

.身体所見

 会陰部知覚,肛門括約筋トーヌス,肛門反射,球海綿体筋反射の評価を行う。会陰部 知覚については,ピンによる啼泣や顔しかめで知覚の有無を判定し,予後との関係を検 討した報告がある1)。S2〜S4の少なくとも片側一つ以上のデルマトームの知覚があれ ば生存率は有意に良好で,腎不全死は認められなかった。肛門反射と思春期の尿失禁と の関係を検討した報告では,CIC実施下で反射陽性群では尿禁制が

90%

であったのに 対し,陰性群では

50%

のみであり2),この反射が括約筋の閉鎖能力の代替指標になる ことが示唆される。

c

.尿検査・尿培養

 尿一般検査・尿沈渣や尿培養は尿路感染の鑑別や抗菌薬投与の決定などに必要とされ るが3,4),尿所見に異常が認められた場合の対応についての明確なコンセンサスは得ら れていない5)

d

.排尿記録

 自排尿症例では排尿時刻,自排尿量および尿失禁量を,CICがすでに施行されている 症例では,導尿時刻,一回導尿量と尿失禁量を記載する。なお,昼間の

CIC

をきちん と行っているにもかかわらず,症候性尿路感染の反復,下部尿路機能障害や水腎症の悪 化を認める場合には,排尿記録上で

syndrome of nocturnal overdistention of bladder

(SNOB) を鑑別する6,7)。二分脊椎患者における

SNOB

は,導尿回数が少ない夜間に膀 胱過伸展が生じ,これが上下部尿路障害の悪化を引き起こす病態である(p.53間欠式経 尿道的留置カテーテル 参照)6)

e

.血液検査

 二分脊椎患者における血液検査上での腎機能の指標は確立されていない。腎シンチグ ラフィーの結果をふまえた上で,測定方法を同一にした血清クレアチニンを定期的に チェックすることは二分脊椎患者の長期経過観察に有用であるとする報告もあるが8), 二分脊椎患者においては体型(身長,体重,BMIなど)や筋肉量が症例ごとに異なるた め,血清クレアチニンの基準値を定めることは困難である。二分脊椎患者での血清クレ アチニン値および

Schwarts

の推算式による糸球体濾過量(glomerular filtration rate: GFR)

と腎シンチグラフィー上の

GFR

との相関は良好ではない9,10)

 一方,体型や筋肉量に影響を受けないシスタチン

C

から得られた推算

GFR

は,血清 クレアチニンや

Schwarts

の推算式による

GFR

よりも腎シンチグラフィー上の

GFR

と良 好な相関を示した11)。しかし,シスタチン

C

の検査コストやシスタチン

C

による

GFR

の推算式が報告間で異なるなどの問題もあり,二分脊椎患者における初期評価や腎機能 推移の指標としてシスタチン

C

をルーチンに測定すべきかについては明確な結論が出 ていない12 –14)

2

)潜在性二分脊椎

a

.病歴聴取

 下部尿路症状は,国際小児禁制学会(ICCS)と国際禁制学会(ICS)の標準化部会報告 に沿って本人や両親に聴取する15,16)。ICCSの標準化部会によれば,小児例では排尿回 数増加(頻尿)は

1

8

回以上,排尿回数の減少(稀尿)は

1

3

回以下とされる15)。 また,尿失禁については持続性尿失禁(昼夜間持続的な尿漏出あり)と間欠性尿失禁(断 続的な尿漏出)に分けられ,後者はさらに昼間尿失禁と夜尿症あるいはその双方に分類 されている。尿勢低下については成人と異なり,観察された尿線あるいは尿流測定上の 尿流低下のこととされる。小児の尿意切迫感については,尿意切迫感を抑制し排尿を我 慢する特徴的な尿保持姿勢(両脚の交差,陰茎をつまむ,踵に陰部をあててしゃがむな ど)の有無を聴取する17)

 便秘や便失禁に関する問診も必須であり,排便障害も含めた排泄に関する症状質問票 である日本語版

DVSS

(Dysfunctional Voiding Symptom Score,表

5

6

)を使用する18)。 この他にトイレトレーニングの時期,オムツ交換回数,発達・成長歴,既往歴,家族歴,

服薬歴などを聴取する。思春期以降の症例では性機能障害(勃起障害,射精障害,オル ガズムの障害,陰部知覚障害など)の有無についても問診する19)

b

.身体所見

 充満した膀胱の有無について下腹部の視診と触診を行う。背部では腰仙椎領域の皮膚 異常〔毛髪集簇,皮膚陥凹(skin dimple),血管腫など〕,皮下腫瘤(主に脂肪腫),殿裂 の偏位を診察する20)。腰仙髄領域の神経学的所見として,肛門周囲の知覚(痛覚と触 表5 日本語版DVSSDysfunctional Voiding Symptom Score)小児語版18

この1かげつのあいだ

ない もしくは ほとんどない

はんぶんより すくない

(たまに)

はんぶん くらい

(ときどき)

ほとんど いつも

(まいにち)

わからない

1 ひるまにおもらしをしたことがある。

2

(ひるまに)おもらしをしたとき、 

パンツがびちょびちょになる。

3 ウンチがでない日がある。

4 うーんとおなかにちからをいれて,ウンチをだす。

5 1日に1回か2回しかトイレにいかない日があった。

6 あしをとじたり,しゃがんだり,もじもじしたりして,

オシッコをがまんすることがある。

7 オシッコしたくなると,もうがまんできない。

8 おなかにちからをいれないとオシッコがでない。

9 オシッコをするとき,いたい。

覚),肛門括約筋トーヌス,肛門括約筋随意収縮,肛門反射,球海綿体筋反射を評価す る21)。成人例,特に中高年以上の症例では,男性では直腸診による前立腺の評価,女 性では台上診による骨盤底筋や骨盤臓器脱の評価も必要である。

c

.尿検査・尿培養

 尿一般検査・尿沈渣は尿路感染や下部尿路の器質的疾患,糖尿病などの内科的疾患の 鑑別に必須である。膿尿あるいは細菌尿が認められた場合には尿培養を施行する。尿蛋 白が認められた場合には腎機能の精査を考慮する。

d

.排尿記録

 非侵襲的な蓄尿機能検査であり,排尿回数,尿失禁回数,1日排尿量,昼間排尿量,

夜間排尿量,一回排尿量,尿失禁量を評価する3,16)。最低

3

日の記載が望ましいが

2

日 でも許容範囲とされる3)

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