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避難解除等区域の復興及び再生を推進し、住民の帰還及び生活の再建、産業再生等を 円滑に進めるためには、当該区域で行われる復旧、復興及び再生の取組を、国、福島県 及び市町村が共有し、連携しながら実施していく必要がある。また、住民の帰還や産業 立地等に当たっての判断材料として、それらの国、福島県及び市町村による取組を住民 等に示すことも必要である。

こうしたことから、この第3部においては、これまで国が「福島復興再生基本方針」

や「原子力発電所の事故による避難地域の原子力被災者・自治体に対する国の取組み方 針(グランドデザイン)」で示した考え方や、市町村の復興計画等を踏まえ、今後、国、

福島県及び市町村等が実施していく帰還に向けた除染、インフラの整備、生活環境の整 備、産業の再生の取組を中心に記載することとする。

本計画では、「1.全般的取組」及び「2.各分野の取組」について記載する。

「1.全般的取組」では、今後実施していく具体的取組等の前提となる目指すべき復 興の姿等について、市町村の復興計画等を踏まえつつ、それらの事項について簡潔に記 載することとする。また、「2.各分野の取組」では、分野ごとに、具体的に実施する取 組内容を中心に記載することとする。「1.全般的取組」は、各市町村で掲げる復旧、復 興及び再生の将来像等であり、それらの中には、国、福島県及び市町村だけでなく民間 の主体も含めて実施していくべき取組や短期、中期及び長期で実施すべき取組が含まれ る。また、必ずしも、取組内容が具体化し、実施することが決定しているものばかりで はない。このため、「1.全般的取組」に記載された内容については、今後とも、国、福 島県及び市町村は連携して、復興・再生のために必要な取組の具体化に向けた協議を進 めることとする。こうした「1.全般的取組」の具体化のプロセスを経て、国、福島県、

市町村等により実施することが決定したもの、及び課題を踏まえた調整の状況など具体 化に向けた動きが明確なもの等については、分野ごとの取組内容を記載する「2.各分 野の取組」の中に位置づけ、国、福島県、市町村が役割分担のもとで連携して推進して いく。

なお、大熊町、双葉町については、今後、国、福島県、町との協議により、第3部の市町 村ごとの計画の前提となるインフラ工程表の作成等を進めた上で、両町の復興・再生のた めに必要な取組の具体化に合わせ、速やかに第3部の市町村ごとの計画を策定することと する。

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田村市

1.全般的取組

(概要)

阿武隈高原の中央に位置する田村市は、平成17年3月1日に滝根町、大越町、都路村、

常葉町、船引町の旧5町村が合併し形成された。本地域は、磐越自動車道が走る県内の 中央に位置し、福島県の中核的都市である郡山市まで約30kmの位置にあるなど、県内の どこへ出かけるにも便利な地域であり、浜通りとの結節点となる地域でもある。

(区域見直しの現状等)

東日本大震災により、田村市はかつて見舞われたことのない苦境に直面した。震災によ り、田村市内の一部が警戒区域と緊急時避難準備区域に指定され、警戒区域の 121 世帯 381人全員が避難生活を余儀なくされた他、緊急時避難準備区域の1,289世帯4,114人 のうち、都路地区の646 世帯2,143人(平成 26年1月31 日現在)が未だに避難生活を 送っている。このうち緊急時避難準備区域については平成 23 年9月 30 日に指定が解除 され、平成24年4月1日に警戒区域が見直され、避難指示解除準備区域となった。

平成26年4月1日には避難指示解除準備区域の指定も解除されたが、市内、特に都路 地区の住民は、未だ市内外の仮設住宅等において避難生活を余儀なくされている。避難 生活の長期化に伴って、避難期間中の避難者の生活支援とともに、今後、安心して帰還 するための環境整備を図っていくことが大きな課題となっている。

(復興の姿と基本的な方針)

避難指示の解除を受け、住民の帰還を進めるためには、確実かつ迅速な除染の実施をは じめ、放射線による健康被害対策や地域医療体制の再構築、さらには産業の再生などに 取り組んでいく必要がある。

このような状況の下、田村市は、平成25年6月に避難指示解除準備区域における国直 轄除染が完了しており、それ以外の市が行う区域についても平成24年から着手し現在作 業を進めており、平成27年度には除染を完了する計画である。

平成24年3月に策定した「田村市震災等復興ビジョン」(以下「復興ビジョン」という。) では、「1.支え合いで実現する新たな地域づくり」、「2.安全・安心の基盤づくり」及 び「3.市民との協働で拓く未来づくり」を基本理念として、復旧に力点を置く前期 5 年間の「速やかな原状回復」を図る主な取り組み施策として、市道をはじめ、農林業施 設や学校教育施設、避難地域等のインフラ復旧を、また復興を主眼に取り組む後期5年 間は「新たな地域づくり」目指す施策として、避難者の就業機会の提供をはじめ、6次 化商品開発販売支援や情報連携システムの構築、新エネルギー普及対策など、合わせて 115の施策を計画して、安全で安心して暮らすことのできるふるさとの再生を通じた「心 の復興」を目標としている。

このような状況の中で、田村市は電気や上水道について大きな被害は受けておらず、道

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路や学校等の復旧についても、災害復旧事業等は平成25年5月には完了した。地域のコ ミュニティ再生は、都路灯まつりなどのイベントの開催など国・県の事業を活用し行っ ている。また、環境放射能等のモニタリングや除染技術の開発等に取り組む拠点となる

「福島県環境創造センター」の田村西部工業団地への設置及び平成 27 年度の一部開所、

平成28年度の全施設の開所が予定されている。

今後、田村市は、一日も早い住民の帰還に向けて、より一層地域のコミュニティの再 生や産業の復興・再生を図るため、政策資源を総動員していくべき段階の中で、風評被 害の払拭や雇用創出のため企業等の誘致に努めるものである。

国、福島県及び田村市は、これまでも連携して被災者の生活支援や被災地域の復旧等 に取り組んできたが、今後とも、田村市の復興ビジョンや住民意向調査の結果を踏まえ て、復興・再生のために必要な取組の具体化に向けた協議を進め、実施することが決定 した具体的取組について、国、福島県、田村市等が役割分担しながら取り組んでいくこ ととする。

また、双葉地方は原発事故前から都路地区市民にとっては生活圏、経済圏でもあり、

田村市にも双葉地方の住民の方々も避難している状況にあり、田村市は、市の復興を進 める中で要請があればできる限り支援をしたいと考えている。

2.分野別の取組

1.除染

放射線防護措置を着実に進めることが極めて重要であり、その一環として除染とそのフ ォローアップを計画的に実施する。

(1)国計画

平成24年4月に策定された「特別地域内除染実施計画(田村市)」に基づき、平成 24年7月には除染特別地域内で最初に本格除染を開始、平成25年6月に作業が完了し た。除染効果が維持されていることの確認のため事後モニタリングの実施を継続する。

また、国による「除染に関する相談窓口」を平成26年3月1日に開設し、相談に応じ て現地を確認し、現地の状況により必要な対策を講じる取組を進めている。

(2)市町村計画

平成23年11月(平成24年7月、平成26年3月に改訂)に策定された市除染実施計画 に基づき、平成27年度内に旧警戒区域を除く市内全域の生活圏域、農地等の除染を終 了する。

市除染計画で優先して除染を行う地域としている旧緊急時避難準備区域(旧警戒区域 を除く都路町全域、常葉町堀田、黒川、田代及び山根地区、船引町横道地区)及び横道 地区を除く船引町移地区は平成24年度から着手、これ以外の地域は平成25年度から着 手している。

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2.インフラの整備

住民の帰還を促進するため、道路や農業用施設等の復旧や、生活環境を整備するため の廃棄物処理(ごみ、下水汚泥処理等)体制を整備する。

特に、県が整備を進めるふくしま復興再生道路のうち、磐越自動車道小野ICと都路 地区を結ぶ県道吉間田滝根線については、田村市のみならず、避難解除等区域の復興加 速化の基幹となる路線であり、早期の全線整備が必要である。

なお、「2.インフラの整備」においては、記載のない限り、原則として、各施設管理 者等が実施主体となるものである。

(1)公共土木施設等の整備 ア 道路等

【県管理道路】

① 道路の状況

避難指示解除準備区域内の路線数(県管理道路) ・・・1路線

うち被災した路線(工区)数 ・・・1路線1箇所 うち本復旧を実施する路線(工区)数 ・・・1路線1箇所

② 復旧の予定等

被災箇所については、平成24年7月下旬から順次災害査定を受検し、平成24年 度に本復旧が完了した。

県道吉間田滝根線(広瀬)について、国と県は、平成 27 年度の国代行事業の着 手に必要となる調整及び法定手続を実施する。

【市管理道路】

市道小滝沢線の災害復旧事業については、平成24年7月に災害査定を受け、10月に 工事発注し平成25年3月に完了した。

【(仮称)田村中央スマートIC設置計画】

(仮称)田村中央スマートIC設置計画は、磐越自動車道船引三春ICと小野ICの ほぼ中間に位置する大越町牧野地区の設置を関係自治体が主体となり検討している。

平成24年7月から関係機関、団体により勉強会を開催し、早期設置に向け検討を進 めている。

イ 農地・農業用施設

【農業用施設】

① 農業用水(水路13カ所)については、市において平成24年5月から復旧に着手し 平成25年3月に完了した。

② 農道(4カ所)については、市において平成 24 年5月から復旧に着手し平成 25 年3月に完了した。

ウ 林業用施設

【林道】

被害のあった林道合子線は、平成25年5月に復旧工事を完了した。

エ 土砂災害対策

市内672箇所の土砂災害危険箇所の点検を実施し、緊急的な対策が必要な常葉町の中

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