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京町家への居住誘因となる要因の実証分析(プロビット推計)

さきのヘドニック推計に加えて、京町家の居住者を想定し、周辺の京町家、細街路、商業 施設の集積が居住へのインセンティブに作用する程度、当該京町家が状態不良の場合、また、

細街路のうち、危険度の高い袋路に面している建物の場合に、居住の是非にどのような誘因 をもたらすかについて推計を行った。

7-1 変数定義

本推計で使用する説明変数は以下のとおりである。基本統計量は表17に示したとおりで ある。

説明変数

状態不良京町家ダミー 被説明変数である京町家(以下、「当該京町家」と する)の状態が不良の場合は「1」、そうではない 場合は「0」とする変数

周辺〇m京町家集積

※ここで云う京町家は、全ての属性を含む。

当該京町家周辺〇m範囲内の京町家の集積(軒数)

周辺〇m状態不良京町家集積 当該京町家周辺〇m 範囲内の状態不良の京町家の 集積(軒数)

袋路にのみ面している京町家ダミー 当該京町家が袋路にのみ面している場合は「1」 そうではない場合は「0」とするダミー変数 3.9

7.6 4.5 1 2.9

8.3 6 0.8

2.1 4.3 2.5

3.9 3.6

7.5 3.1 6.7 6.9

10.1 3.7

15.6 7.8

8.8 9.4 2.7

7.2 6.8

28.8 24.8

34.5 27.3

32.1 28.1

30.7 18.7

20.3 22 24.9

26.9 27.5

29.2 36.7

35 36

28.4 41

24.3 40.4

39 32.4 39.2

34.6 32.9

22.7 22

11.6 19 15.5

14.6 17.1 22.5

20.5 17.6

23.3 19.1 20.6

7.9 5.9 7.8 9.8 11.1 4.2 6.3 9.8 9.4 14.2

7.4 8.3 8.6

伏見区 西京区 右京区 南区 下京区 山科区 東山区 中京区 左京区 上京区 北区 京都市 全国

接道なし 幅員2m未満 2~4m 4~6m 6~10m 10m以上 16 行政区ごとの空家における接道状況別割合(平成 25年住宅・土地統計調査)

(「京都市空き家等対策計画」を基に作成)(単位:%)

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(つづき) 説明変数

周辺〇m商業集積 当該京町家周辺〇m 範囲内の商業施設の集積(件 数)

周辺〇m細街路集積 当該京町家周辺〇m範囲内の細街路の集積(各街路 の延長の合計)(m)

行政区ダミー 当該京町家が当該区に存在すれば「1」、そうでな い場合は「0」となるダミー変数

表17

【基本統計量】

変数 観測数 平均 標準誤差 最小 最大

状態不良京町家ダミー 47,735 0.3099193 0.4624649 0 1

周辺0~100m京町家集積 47,735 57.69469 31.1144 1 188

周辺0~100m状態不良京町家集積 47,735 18.50893 16.1724 0 104

袋路にのみ面している京町家ダミー 47,735 0.157704 0.364467 0 1

周辺0~300m商業集積 47,735 101.431 162.2787 0 1311

周辺0~500m商業集積 47,735 268.8455 375.7942 0 2391

周辺0~100m細街路集積 47,735 289.6818 230.8414 0 1412.221 北区ダミー 47,735 0.0444328 0.2060568 0 1

上京区ダミー 47,735 0.2054467 0.4040319 0 1

中京区ダミー 47,735 0.1923746 0.3941698 0 1

右京区ダミー 47,735 0.008631 0.0925023 0 1

左京区ダミー 47,735 0.0967843 0.295667 0 1

東山区ダミー 47,735 0.1442966 0.3513939 0 1

下京区ダミー 47,735 0.151943 0.3589694 0 1

西京区ダミー 47,735 0.0030167 0.0548417 0 1

7-2 推計モデル

プロビット推計については、以下の2通りの推計モデルにより行った。

推計モデル1

N₁(居住する:1、居住しない:0)=B₀

+B₁(<当該京町家から>周辺0~100m京町家集積)

+B₂(周辺0~100m状態不良の京町家集積)

+B₃(袋路にのみ面している京町家ダミー)

+B₄(行政区ダミー)+ μ

- 37 - 推計モデル2

N₂(居住する:1、居住しない:0)=B₀+B₁(状態不良京町家ダミー)

+B₂(周辺0~100m京町家集積)

+B₃(周辺0~300m商業集積)+

+B₄(袋路にのみ面している京町家ダミー)

+B₅(行政区ダミー)+ μ

7-3 プロビット推計の結果と考察

表18 推計モデル1の推計結果

居住する:1、居住しない:0 係数 有意水準 標準誤差

周辺0~100m京町家集積 0.002 *** 0.000 周辺0~100mの状態不良京町家集積 -0.005 *** 0.001 周辺0~100m細街路集積 -0.000107 *** 0.000 周辺0~500m商業集積 0.0002624 *** 0.000 袋路にのみ面している京町家ダミー -0.437 *** 0.019 北区ダミー 0.353 *** 0.044 上京区ダミー 0.240 *** 0.026 中京区ダミー 0.200 *** 0.029 右京区ダミー 0.298 *** 0.089 左京区ダミー 0.204 *** 0.031 東山区ダミー 0.116 *** 0.031 下京区ダミー 0.067 ** 0.028 西京区ダミー 0.513 *** 0.171 定数項 1.066 *** 0.021 観測数 47,735

*** 、**、* は、それぞれ、1%、5%、10%で有意であることを示す。

- 38 - 表19 推計モデル2の推計結果

居住する:1、居住しない:0 係数 有意水準 標準誤差

状態不良京町家ダミー -0.719 *** 0.016 周辺0~100m細街路集積 -0.0001242 *** 0.000 周辺0~300m商業集積 0.001 *** 0.000 袋路にのみ面している京町家ダミー -0.364 *** 0.019 北区ダミー 0.348 *** 0.042 上京区ダミー 0.251 *** 0.022 中京区ダミー 0.151 *** 0.024 右京区ダミー 0.159 * 0.091 左京区ダミー 0.115 *** 0.029 東山区ダミー 0.071 *** 0.026 定数項 1.386 *** 0.018 観測数 47,735

*** 、**、* は、それぞれ、1%、5%、10%で有意であることを示す。

表18、19のとおり、1%の有意水準で、周辺に細街路が集積していると、居住への誘因

は下がる結果が示されたが、係数の値が極めて低く、むしろ、袋路にのみ面した京町家の場 合が、係数の値が高いため、居住しない誘因がより強くなると考えられる。

細街路については、以下のような危険性があり、居住を避ける可能性がある。それは、災 害時や大規模火災時の大型消防自動車の通行困難、建物倒壊による通行障害、延焼拡大のし やすさ、乗用車の通行や自転車の路上駐輪を巡るトラブル等であり、袋路に面していること から生じる。

また、表18のとおり、状態不良の京町家の周辺の集積が、居住への誘因を下げるとの結 果が表れたが、やはり、有意性はあるものの、同じ100mの範囲で京町家自体の集積の係数 については、正の結果が示されていること、係数の単位がそれほど高くないことから、周辺 の京町家の状態が、直接、当該京町家に対する評価に影響すると確実に言えるかどうかは慎 重にならざるを得ない。

そして、表19のとおり、推計モデル2において、居住中で状態が不良の京町家の集積効 果の影響は、状態に関わらず、地価ポイントからの範囲により、係数に正と負の両方の効果 が観察された。

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このことから、他の要因によるコントロール効果が作用した可能性もうかがえる。

なお、行政区別については、推計モデル1、2ともすべての係数が正となり、地域性によ る影響は特に見られなかった。

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