19 号
14. 田村地域アーバンデザインセンター(UDCT)
「都市はどうあるべきか」は、「私たちがどう生きられるか」とほぼ同義である。持続する都市が 基本にある。アーバンデザインは、個々の人の生き方や生活の質、そして将来市民の生活、さらに 自然や地球システムの維持にいたるまでの統合デザインとなる。環境と社会、経済という位相を行 き来する発想や原理を見いだしていく、まさに空間を通して統合する未来設計となる。(北沢猛)
『都市+デザイン』2008 年 8 月号巻頭論文。
都市デザイン研究室ホームページ「田村プロジェクト」のフロント 2009 年度
研究室ホームページに「田村プロジェクト」
北沢猛が 2005 年、柏キャンパスに新領域創成科学研究科社会文化環境学教授(工学系研究科・
工学部兼担)として赴任し、空間計画研究室を開くとともに、2006 年に柏の葉アーバンデザインセ ンター(UDC)を柏市に開設し、センター長として各地にまちづくりのための「地域 UDC」の開設を 開始した。UDC のあとに地域名のイニシアルをつけ、柏なら UDCK となり、福島県田村市につくった 田村地域デザインセンターは、UDCT と略称された。
都市デザイン研究室ホームページに、「田村地域プロジェクト」(画面は TAMURA UDCT)と載って いるのがそれである。「東京大学空間計画研究室と田村市の共同研究」が 2007 年にスタートし、2008 年 8 月に田村地域アーバンデザインセンターが開かれ、専門家(東大研究員)が駐在して運営する 拠点となった。都市デザイン研究室ホームページ「田村プロジェクト」は、2009 年度の登場である。
田村市は、東京から 2 時間半、郡山から 30 分。かつて葉タバコ産業と石灰産業で栄えたが、セ メント工場撤退による中心市街地の空洞化が進んでいる。住民によるまちづくりが盛んである。と くに花にかかわる活動が目立つ。
UDC は、公民学(新しい公共)を打ち出している。田村プロジェクトの方針は、5 つに分けて分 かりやすく掲載されている。
「農」:「田園風景」の保全・活用
「石」:「石灰資源」の活用と発信。「石灰」を軸に、観光・交流面において大越地域を PR してい く。□石灰観光ツアー □おおごえらいぶ(工場跡地のライブ活用) □石灰が育む「健康」食品 □
石灰都市サミット
「駅」:移動交通の充実と拠点地区のまちづくり
「娯」:地域文化交流の中心としての「大越娯楽場」の再生
「人」:まちづくりに係わる「人」の思いと活動の連携
ADC
都市デザイン研究室ホームページの「研究室の紹介」には、「2010 年度卒業研究題目(学部 4 年生 向け)」として、テーマが挙げられているトップに「福島県田村市船引町における葉たばこ産業依 存の特色と変容─基幹産業の撤退が地域にもたらす影響に関する研究」が載っている。これは田村 プロジェクトのリーダーだった修士 2 年の菊地原敏郎の修論である。『都市デザイン研マガジン』
第 5 代編集長である。
田村地域アーバンデザインセンターが開かれ 2008 年には、横浜アーバンデザイン研究機構(UDCY)、
郡山地域アーバンデザインセンター(UDCKo)がスターとしている。北沢猛センター長の逝去もあ ったが、本郷の都市デザイン研究室と柏の空間計画研究室との連動は不断につづいている。
『観光まちづくり』掲載のその他地域
ここで、『観光まちづくり』に戻り、東大プロジェクト以外に紹介されている地域はどこであっ たかを述べておかなくては、同書の全容捕捉とはならない。「観光まちづくりの実践」を中心とし た主な地域を列挙しておく。写真の出典も同書である。
1.「ゼロからのスタート、そしてトップリーダーへ〜肥前浜宿(佐賀県)
酒蔵通りでの「島田洋七の佐賀のがばいばあちゃん」撮影風景(2008年9月)
2.「創造的に歴史を生きる〜鯖街道熊川宿(福井県)
いっぷく時代村
3.有鄰館の保存再生からファッションタウンへ〜桐生(群馬県)
買場紗綾市のようす(桐生市教育委員会)
4.「生野方式」のまちづくり〜生野(兵庫県)
コンソーシアムによるテストツアーのようす(朝来教育委員会)
5.赤煉瓦倉庫の多様な再生活用で街のイメージを一新〜舞鶴(京都府)
活用検討が進む赤煉瓦倉庫群
6.「湯の町」の観光まちづくり〜草津温泉(群馬県)
ライトアップされた湯畑(草津温泉旅館協同組合)