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生物学的傷害

ドキュメント内 1.放射線治療概論 (ページ 57-95)

tricentric

fragment

dicentric

細胞レベル

 

細胞核の中にある染色体あるいはDNAの長鎖2重螺旋

部分に放射線が照射されると、鎖の1部又は両方が切断

される。しかしこれらのDNAの損傷は比較的短時間のう

ちに酵素を介して修復される。この時全ての損傷が回復

する訳ではなく、一部が修復されずに残る。この修復され

ずに残ったDNAの損傷により細胞死がおこる。このような

DNA損傷の回復の起こり方は細胞の種類や状態によっ

てことなり、このことが放射線感受性に関連している

チェックポイント

S

G2 G1

G1

M

細胞死の形態学的特徴

生細胞

細胞膜の破綻 細胞の膨化

ミトコンドリアの膨化、

膜電位消失

内容物の漏出

ネクローシス

細胞内小器官の分解 オートファゴソーム

オートファジー

細胞膜の保持 核の断片化

細胞の縮小化 細胞の断片化

アポトーシス

タイプ   1 2 3

細胞死型   アポトーシス   オートファジー   ネクローシス  

  顕著な濃縮を示す   時に濃縮が見られる

が、顕著ではない   後期に崩壊  

細胞質   容積の減少、  

細胞表面の平滑化  

早期にリソソームの増 大、オートファゴソーム

(オートファジー小胞)

の出現  

全般的な崩壊、  

細胞内小器官の膨化  

終末像   断片化し、迅速に周辺 細胞により貪食される  

断片化はあまり見られ ず、後に周辺細胞によ り貪食されることもある  

非常に細かい断片に 分断化し、周辺細胞に よる貪食はみられない   頻度   頻出   頻出    

部位   散発的に孤立して起こ ることが多い  

細胞がまとまって脱落 する状況で起こること が多い  

空胞化軟骨細胞での み確認されている  

放射線の感受性 1・ 正常組織の感受性

2・腫瘍組織の感受性

ベルゴニートリボンドーの法則

細胞再生系

細胞再生系組織では、未分化な幹細胞が分裂して2つ の細胞になるが、片方はもとの幹細胞になり、もう一方 が分化を続ける芽細胞になる。

芽細胞は、分化・成熟してある機能を持つ細胞になり、

最後には細胞の寿命が終わって死滅する。

細胞再生系では古い細胞と新しい細胞とが絶え間無く 交代し、老化死滅する細胞と、新成される細胞との数が ほぼ一定。

個体発生の初期に細胞分裂を行って一定数の細胞 がつくられた後は、分化・成熟して細胞分裂を行うこ とのない細胞の集まった組織を細胞非再生系と呼ぶ。

細胞非再生系組織には、細胞分裂をする幹細胞が含 まれないので、放射線感受性が低い。

脳神経細胞、筋組織、脂肪組織などが細胞非再生系

である。

DNA の障害の回復は細胞の状態や 種類により異なる

細胞・組織の放射線による障害の 受けやすさを放射線感受性という 

細胞を死滅させるのに必要な放射線量が 

•多い     →  放射線感受性が低い 

•少ない  →            〃   高い 

3.放射線治療の基本知識 

正常組織の放射線感受性

神経、脂肪、線維 低い

骨、筋肉

皮膚、角膜、肺、精子

小血管、唾液腺、口腔粘膜胃、大腸、膀胱

小腸,幼児骨端、水晶体骨髄、生殖腺

リンパ球,精原細胞

高い

組織 放射線感受性

腫瘍の放射線感受性

悪性腫瘍の放射線感受性

腫瘍が小さい内は感受性高い,増殖細胞多い,       

DNA

損傷回復能低い

      ※大きくなると,逆になる

      ※臨床病期が進むと感受性低下,転移増加

分化した細胞ほど感受性は低い

高感受性

---

脳腫瘍(胚芽腫,髄芽腫),上咽頭癌

       

精上皮腫,リンパ腫など

中等度感受性

---

舌,口腔癌,上顎癌,中咽頭癌,

         

喉頭癌,乳癌,食道癌,子宮頸癌,肺癌,など

低感受性

---

悪性膠芽腫,骨肉腫,黒色腫,腎癌など

リニアックの構造

電子銃 加速管 電子

ターゲット

3.放射線治療の基本知識 

シェーマを 

描けるか? 

頭頚部の照射(シェル使用)

ブラック・ピーク

各種放射線の深部線量率曲線

 

小線源治療

密封された放射線同位元素である小線源を腔内に 挿入又は体内に刺入して治療する方法のこと。

局所に限局した治療であり、正常組織の被爆を軽減 できる。

密封された「放射線を放出する同位元素及びその化 合物並びにこれらの含有物」のうち、3.7MBq(10 0

ȝ

i)

を超えるものを放射性同位元素とする。

     

  半減期      線量率          使用法

Ir - 192  74日    高・低      組織内・腔内・表面 Cs -137 30 年        低      組織内・腔内・表面 Co -60 5.3 年    高        腔内

Au -198 2.7 日      低      組織内 I -125 59 日          低      組織内

Sr -90 28.8 年    高        表面

 

腔内照射装置(Ir-192) 

前立腺癌に対する小線源療法

ー HDR 組織内照射とシード線源永久挿入療法ー

高線量率:High-­dose  rate  (HDR)   低線量率:Low-­dose  rateLDR)  

192Irを用いた高線量率組織内照射

125Iシードを用いた永久挿入療法

( ( Stereotactic Stereotactic irradiation) irradiation)

定位放射線照射とは、正確な位置精度を保ちながら精密 定位放射線照射とは、正確な位置精度を保ちながら精密 な外照射を行う治療技術のことであり、線量の集中により な外照射を行う治療技術のことであり、線量の集中により ターゲットの線量の増大と周辺正常組織の線量軽減が可 ターゲットの線量の増大と周辺正常組織の線量軽減が可

能となった。

能となった。

1.1回照射で治療が完結する場合 1.1回照射で治療が完結する場合 定位手術的照射(Stereotactic

定位手術的照射(Stereotactic Radiosurgery)Radiosurgery)

2.分割照射の場合 2.分割照射の場合

定位定位放射線治療(Stereotactic放射線治療(Stereotactic Radiotherapy)Radiotherapy)

装置:ガンマナイフ、直線加速器 装置:ガンマナイフ、直線加速器

精度:照射装置の照射中心精度1mm以内 精度:照射装置の照射中心精度1mm以内

ガンマナイフの原理

Stereotactic  Radio  Surgery  ;  SRS  

(各種頭蓋内病変)    

ガンマナイフ  

͘͞‘ɀ    

1回で治療を完了

定位放射線治療  

(Stereotactic  RadioTherapy  ;  SRT)  

(頭部:頭蓋内病変)  

(体幹部:肝・肺病変)  

 

リニアックX線照射装置  

 

高エネルギーX   数回で治療を完了

治療前   4ヶ月後   10ヶ月後  

‡ 照射野内の放射線の強さを変え、複数方向 から照射することで、病巣部のみに高い線量 を投与する放射線治療技術。

‡ 始めに線量分布図を設定し、それに合わせ て夫々のビームの方向と強度を決める。

‡ 直線加速器の照射ヘッドの多段絞りを操作す ることにより不均一な強度のビームを多方向 から照射し、腫瘍にビームを集中させる。

‡ Intensity Modulated Radiotherapy

IMRT / MLC method (step and shoot)

Intensity Map

M L C

温熱療法

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