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理科と数学を関連付けるカリキュラム構成原理の導出

第1章の考察によって,理科と数学を関連付ける目的・実施方法・評価法を包括的に捉 え,両教科を関連付ける理論的枠組みを構築することと,その理論的枠組みと社会的側面 と子どもの側面を包括的に捉え,理科と数学を関連付けるカリキュラム構成原理を導出す ることが研究課題として導かれた.第1節では,理科と数学を関連付ける理論的枠組みを 構築する.そこではまず理科と数学を関連付ける方法と評価法との対応関係を明らかにす る.次に,理論的考察と実証的考察における理科と数学を関連付ける目的を総合的に考察 し,その目的を浮き彫りにする.その後,目的・実施方法・評価法を包括的に捉え理科と 数学を関連付ける理論的枠組みを構築する.第2節では,理科と数学を関連付けるカリキ ュラム構成原理を導出する.そこではまず第1章から第4章までを概括し,社会的側面・

学問的側面・子どもの側面から考慮すべき点を浮き彫りにする.次に,本章第1節におい て構築した理科と数学を関連付ける理論的枠組みを基に,社会的側面・学問的側面・子ど もの側面を包括的に考察する.その後,理科と数学を関連付けるカリキュラム構成原理を 導出する.

5.1. 理科と数学を関連付ける理論的枠組み

本節では,理科と数学を関連付ける目的・実施方法・その評価法を包括的に捉え,その 理論的枠組みを構築することを目的とする.

まず第2章で明らかとなった,理科と数学を関連付ける4つの方法(①学習内容の主題的 関連付け,②考え方の主題的関連付け,③学習内容の構造的一貫性,④考え方の構造的一 貫性)と,第3章で明らかとなったその評価法としての概念地図法と文脈依存性との対応関 係を明らかにする.次に,第2章で明らかとなった,各方法における両教科を関連付ける 目的と,第4章で明らかとなった,概念間のつながりと達成度と文脈依存性との関係から,

理論的かつ実証的に理科と数学を関連付ける目的を浮き彫りにする.最後に上記2つの考 察結果を踏まえ,理科と数学の関連付けを,その目的・実施方法・その評価法の3つの視 点から包括的に捉えその理論的枠組みを構築する.

5.1.1.概念地図法と文脈依存性によって評価できる関連付けの方法

第2章の考察から,理科と数学の関連付けには4つの方法,①学習内容の主題的関連付 け,②考え方の主題的関連付け,③学習内容の構造的一貫性,④考え方の構造的一貫性が あることが明らかとなった.

認識内容の側面について,内容の構造的一貫性では,その目的として「異なった視点に 各教科で扱う対象の知識獲得」が挙げられる.ここで,各教科で扱う対象の知識獲得は,

達成度の調査によって評価可能である.また第3章及び第4章の考察から,概念地図法で は,認識内容の側面について,学習内容の主題的関連付けと学習内容の構造的一貫性を評 価できることが明らかとなった.一方文脈依存性の調査では,一方の教科で学習した内容 や考え方を他教科に活用できない可能性を浮き彫りにできることが明らかとなった.そこ では問題の設定によって学習内容だけでなく考え方についてもその関連付けが測定できる.

つまり,認識方法の側面について学習内容の構造的一貫性と考え方の構造的一貫性を評価 することができる.

したがってこれらをまとめると,達成度・概念地図法・文脈依存性の調査によって評価 できる関連付けの方法は表5.1のように示される.

5.1 概念地図法と文脈依存性の調査によって評価できる関連付けの方法

認識内容 認識方法

学習内容 考え方 学習内容 考え方

主題的関連付け

概念地図法

構造的一貫性 (達成度) 文脈依存性

つまり,達成度と概念地図法と文脈依存性の調査を用いて,4 つの関連付ける方法のう ち3つにおいて評価することができる.ただし,文脈依存性が認められても,一方の教科 の学習内容の理解が不十分でありそのように判断される場合や,類似性に気づいており他 教科の方法を用いて解答することができる生徒も含まれていることに留意する必要がある.

他方,考え方の主題的関連付けについては,概念地図法や文脈依存性の調査を用いて評価 することが困難であり,その評価法を今後構築する必要がある.

5.1.2.理科と数学を関連付ける目的の総合的考察

第2章の理論的考察から,各関連付けにおけるその目的が明らかとなった.各関連付け におけるその目的は以下の通りである.①学習内容の主題的関連付けでは,各教科と教科 外とのつながりの構築,学習内容を総合的に用いた考察.②考え方の主題的関連付けでは,

教科外で扱う対象の知識獲得,考え方を総合的に用いた考察.③学習内容の構造的一貫性 では,具体的な理科の学習内容と抽象的な数学の学習内容とのつながりの構築,抽象度の 違う文脈で学習内容を用いることによる,転移の促進.④考え方の構造的一貫性では,異 なった視点による各教科で扱う対象の知識獲得,抽象度の違う文脈で考え方を用いること による,その一般化.

また第4章の達成度と概念のつながりとの考察から,概念間のつながりが構築されるこ とと,考え方が要求される問題における効果が浮き彫りとなった.また,文脈依存性と達 成度との考察から,一部の問題と生徒群において達成度と文脈依存性との間に関係がある

ことが浮き彫りとなった.また,文脈依存性と概念のつながりとの考察から,概念間のつ ながりが文脈依存性を乗り越えるための第一歩となることが浮かび上がった.

ここで前項の考察結果を踏まえると,達成度の調査によって測定可能な関連付けは,認 識内容の側面における考え方の構造的一貫性である.また,概念地図法によって測定可能 な関連付けは,認識内容の側面における学習内容の主題的関連付けと学習内容の構造的一 貫性である.また,文脈依存性によって測定可能な関連付けは,認識方法の側面における 学習内容の構造的一貫性と考え方の構造的一貫性である.したがって,達成度と概念のつ ながりとの考察から導出された,概念間のつながりと考え方が要求される問題における関 係性は,認識内容の側面における考え方の構造的一貫性と,認識内容の側面における学習 内容の構造的一貫性と主題的関連付けにおいて,両関連付けの目的が相互に関係しあって いることを意味する.また,文脈依存性と達成度との考察から導出された,一部の問題と 生徒群において達成度と文脈依存性との間に関係があることは,認識方法の側面における 学習内容の構造的一貫性と考え方の構造的一貫性と,認識内容の側面における考え方の構 造的一貫性において,両関連付けの目的が相互に関係しあっていることを意味する.さら に,文脈依存性と概念のつながりから導出された,概念間のつながりと文脈依存性との関 係は,認識内容の側面における学習内容の主題的関連付けと学習内容の構造的一貫性と,

認識方法の側面における学習内容の構造的一貫性と考え方の構造的一貫性において,両関 連付けの目的が相互に関係しあっていることを意味する.したがった,これらをまとめる と,各方法における理科と数学を関連付ける目的は表5.2のように示される.

5.2 理論的考察と実証的考察に基づく各方法における理科と数学を関連付ける目的

認識内容 認識方法

目的の特徴 学習内容の

関連付け

考え方の 関連付け

学習内容の 関連付け

考え方の 関連付け 主題的

関連付

各教科と教科外 とのつながりの 構築

教科外で扱う対象 の知識獲得

学習内容を総 合的に用いた 考察

考え方を総合的 に用いた考察

教科外 総合性

構造的 一貫性

具 体 的 な理 科の 学 習 内 容と 抽象 的 な 数 学の 学習 内 容 と のつ なが りの構築

異なった視点によ る各教科で扱う対 象の知識獲得

抽象度の違う 文脈で学習内 容を用いるこ とによる,転移 の促進

抽象度の違う文 脈で考え方を用 いることによる,

その一般化

各教科

抽象度 の違い

目的の

特徴 つながりの構築 対象の知識獲得 学習内容の

扱い方 考え方の用い方

5.1.3.理科と数学を関連付ける理論的枠組み

本節第1項では実施方法と評価法との対応を,第2項では理論的考察と実証的考察の総 合的考察から,各方法における理科と数学を関連付ける目的を考察した.その結果,第 1

関係性 関係性 関係性

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