本章では、本研究で用いられている独立変数、従属変数、コントロール変数について 説明する。
第一節 独立変数(従属変数)CSR
本研究で用いられている CSR 評価は、各社の評価格付けで AAA を 5 点、AA を 4 点、A を 3 点、B を2点、C を 1 点とし、5段階評価法によって設計した。最後に、各社の人 材活用、環境、企業統治、社会性四つの分野から平均値を取り、最後の CSR 評価として 扱う。その他、CSR の評価項目に記入がなく回答データのない場合には原則として全て
「−」を記載された。本稿で使われている CSR のデータにおいて、「—」が付く企業は基 本的にサンプルから削除した。「−」が付く企業はいると統計に問題が発生するため、
サンプルを選択する際に、3 年間連続「−」が付けていない企業を統計データとして取集 した。
第二節 従属変数(独立変数)CFP
本研究で用いられている CFP の測定尺度はWaddock & Graves[1997]の研究と同じ ように、自己資本利益率 ROE(Return on Equity)、総資産利益率 ROA(Return on Assets) 、 売上高利益率 ROS(Return On Sales)である。
ROE とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されるかを示す財務 指標である。
ROA とは、会社が持っている資産を利用し、どの程度の利益をあげているかを示す財 務指標である。
ROS とは企業の売上高の経常利益の割合をパーセンテージで表したものである。ROA、
ROE、ROS は企業の収益力を判断するための指標として、最も広く使われている。本研究 はこの三つの指標を用いて、CFP を表す指標として研究を進めてきた。
第二節 コントロール変数
次に、本研究では、Waddock & Graves[1997]の研究と異なる母集団、異なる測定尺 度を取っているから、他の影響要素をできるだけ彼らの研究と同じように扱いたい。そ れで、Waddock & Graves[1997]の研究と同じようにコントロール変数を設定した。そ れらは有利子負債率、売上高、総資産、従業員数、業種である。
有利子負債率は自己資本に占める利払いや返済が必要な有利子負債の比率をいう。
Waddock & Graves[1997]の研究によると、経営者のリスク許容度は経営行動に影響を 与える。たとえば、リサイクルや廃棄物など節約を引き出す可能性のある行動、汚染を コントロールし、将来の罰金を回避するための行動や、環境に優しい社会を作るなどの 行動などが挙げられる。経営者のリスク許容度をコントロールするため、有利子負債率 がコントロール変数として用いられている。
また、Waddock & Graves[1997]の研究の中は、会社規模もコントロールしている。
豊富な経営資源を持っている大手企業じゃないと社会的責任を十分に果たすことはで きないという資金可能仮説の立場に立ってなされた研究もある。Davis [1973]の研究に よれは、企業の規模が大きくなればなるほど、社会的責任は大きくなると指摘している。
Burke et al.[1986]の研究では、中小企業が大手企業より社会的責任行動を取らない傾 向があると指摘されている。なぜなら、成熟して成長してきた大手企業は社会からより 多くの利益を得られ、より多くの注目を集めているからである。これらの理由から、大 手企業は外部の関係者の要求に応じてオーペンに対応する必要がある。したがって、本 研究においても、企業規模もコントロール変数として用いられている。
また、産業特性の違いによって統計結果に影響を及ぼすため、業種をダミー変数とし て扱っている。本研究において使われている業種ダミーは Waddock & Graves[1997]
の研究を参照し、次のページにある表9で示されたのように設定した。
最後に、本研究で用いられる従属変数とコントロール変数のデータは「会社四季報」
から得られた。「会社四季報」も東洋経済によって刊行されている。1936 年 6 月創刊以 来、ずっと大勢の投資家に使われている。ただし、負債率は「会社四季報」に記載され ていないため、筆者はその中に載っている有利子負債が総資産に占める割合を計算し、
統計データとして使用した。また、ROS も「会社四季報」に記載されていないため、経 常利益が売上高に占める割合を計算し、データとして使用した。「会社四季報」におい ても、数社のデータには「−」が付いたが、それに対して、「-」が付く企業の同年度の 有価証券報告書を見て、不足しているデータを補完するように工夫した。
表 9 業種ダミーとして用いた業種
鉱業、建設業(回帰分析でベースとなる業種)
食料品、繊維製品 パプル、紙、その他製品 化学、医薬品
ゴム製品、ガラス・土石製品 鉄網、非鉄金属、金属製品、機械 電気機器、輸送用機器、精密機器
陸運業、空運業、海運業、倉庫・運輸関連業 電気・ガス、情報・通信業
卸売業、小売業
銀行業、保険業、その他金融業 不動産業
サービス業 出所:筆者作成