理事長 小池 和彦
編集担当理事 西村 正治,中島 健二 編集主任 山科 章
編集副主任 北村 和雄,中川 正法
編集委員 阿部 康二,生坂 政臣,磯部 光章,梅村 敏,金子 周一,朔 啓二郎 竹内 勤,舘田 一博,田中雄二郎,寺田 典生,中里 雅光,成田 一衛 川名 明彦,野元 正弘,橋本 修,張替 秀郎,平田 一人,福井 次矢
益崎 裕章,三浦総一郎,簑田 清次,安川 正貴 (平成26年度)
複写される方へ:本会は下記協会に複写に関する権利委託をしていますので,本誌に掲載された著作物を複写したい方は,同協会より 許諾を受けて複写して下さい.但し(公社)日本複製権センター(同協会より権利を再委託)と包括複写許諾契約を締結されている企 業の社員による社内利用目的の複写はその必要はありません.(社外頒布用の複写は許諾が必要です.)
権利委託先:(一社)学術著作権協会〒107―0052 東京都港区赤坂9―6―41 乃木坂ビル 電話(03)3475―5618 FAX(03)3475―5619 E-mail : [email protected]
なお,著作物の転載・翻訳のような,複写以外の許諾は,学術著作権協会では扱っていませんので,直接発行団体へご連絡ください.
また,アメリカ合衆国において本書を複写したい場合は,次の団体に連絡して下さい.
Copyright Clearance Center, Inc. 222 Rosewood Drive, Danvers, MA 01923 USA, Phone 1―978―750―8400 FAX 1―978―646―8600
June 10, 2014 Vol.No.
103 6
日本内科学会雑誌
Journal of the Japanese Society of Internal Medicine
平成26年6月6日印刷・平成26年6月10日発行 会員外頒価一部 1,000円(税込)
購読料は会費に含む
編集人 編集主任 山科 章
発行所 一般社団法人
日本内科学会
〒113―8433 東京都文京区本郷3丁目28番8号 電話(03)3813―5991(代) FAX(03)3818―1556 E-mail [email protected] http://www.naika.or.jp 「会員専用コンテンツ」共通ID:naikamember 共通パスワード:c7s5 印刷所 〒114―0024 東京都北区西ケ原3丁目46番10号
株式会社 杏 林 舍
警鐘事例
~事例から学ぶ~
一般社団法人 日本医療安全調査機構
一般社団法人 日本医療安全調査機構
これは「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」(厚生労働省補助事業)に申請された事例です。
医療安全情報 №5 2014 年 4 月
甲状腺術後の気道閉塞のリスク管理
甲状腺亜全摘術を受けた患者が、術後出血および喉頭浮腫の増強により気道閉塞を生じ、
気道確保に時間を要したため低酸素脳症に至る事例が発生しました。
患者) 成人 男性 バセドウ病
甲状腺亜全摘術施行(甲状腺 130g 摘出)、帰室時より、頸部周囲の腫脹が時間とともに進行していることを認めたが(術後 12 時間で頸部周 囲:6cm 増大、血性排液:430mL)、頸部ドレーンのミルキングを実施することで排液の十分なドレナージを確認していた。術後約 10 時間より、
患者は創痛と息苦しさを訴えはじめ、度々ベッド上で座位になっていた(SpO2は 95~97%を維持)。しかし、頸部ドレーンからの血性排液の急 速な増加や創部の腫脹が認められなかったこと等より、呼吸困難への治療はされず、疼痛・血圧管理が実施された。術後約 12 時間、患者は 創痛を訴え座位から膝立ちになり、臥床させようとした医療者を払いのけて力ずくでベッド上に立ち上がり、その後すぐに呼吸浅速、チアノー ゼが出現、呼名反応なく、窒息、心肺停止となった。蘇生バッグによる換気、経口的気管挿管(喉頭鏡・ビデオ硬性挿管用喉頭鏡使用)、手術 創上部の穿刺、ラリンゲルマスク挿入による換気を次々と試みたが、いずれにおいても口腔内・頸部の腫脹が著明(下顎角は視認困難)で気 道の確保に至らず、換気は不十分であった。その後、自己心拍が再開し、手術創を開創して気管切開を実施したことで気道を確保したが、心 肺停止後すでに 30 分が経過していたことから低酸素脳症を発症し、その一か月後、合併症により死亡した。解剖により、気道閉塞を生じた原 因は、術後の広範囲な出血に伴い生じた下咽頭~喉頭浮腫であった可能性が示唆された。
事例の概要
お問合せ先 : 中央事務局 電話 03-5401-3021 FAX03-5401-3022 http://www.medsafe.jp/activ_alarm.html
*この事例は日本医療安全調査機構で検討した事例の中で、再発防止のため医療界への情報提供が特に必要と判断されたものです。
これからの医療の質と安全性の向上のため、院内教育等でご活用ください。警鐘事例はホームページよりダウンロードできます。
*この情報は医療従事者の裁量を制限したり、医療従事者に義務・責任を課したりするものではありません。また、この内容は作成時に おけるものであり、将来にわたり保証するものではありません。
【主な観察項目】
気管挿管の試みを何度も繰り返すことは、喉頭浮腫をさらに増悪させますので避ける必要が あります。
気道狭窄・閉塞の可能性がある際の対応
評価委員からのコメント
気管挿管が困難である場合は、即座に手術創を再び開創し気管切開に移行することで、容 易に気管が露出され速やかな血腫除去、気道の確保が可能となる例が多くあります。
気道閉塞のリスクをふまえた観察を
気道狭窄・閉塞時は手術創を開いた気管切開の検討を
甲状腺術後の管理においては、出血量の増加・頸部周囲の腫脹等の所見の変化と、「見えない部分」で ある口腔内・頸部の軟部組織の浮腫が同時に進行している可能性を念頭に置く必要があります。気道狭窄 が進行した際、ある段階までは呼吸に障害を来していないように見えますが、その後急激に気道抵抗が増 して窒息に至ります。SpO2の測定値は、気道狭窄の出現・進行状況の指標にはならないことに留意が必要 です。また、喉頭浮腫の確認においては、ファイバースコープを用いる方法が有用と言われており、今後普 及されることが望まれます。
パルスオキシメータによる観察は有 用ですが、測定値は気道狭窄の程 度に比例した値を示すものではあり ません。
気道狭窄の明確な症状・所見等は、狭窄が ある程度進行するまで、把握されにくい場合 が多くあります。
観察上の留意点
呼吸困難の症状として、「不穏状態」
を呈することがあります。
息苦しさ
頸部の圧迫感・閉塞感 嚥下困難
不穏状態
喘鳴
頸部聴診による狭窄音 努力様呼吸・起座呼吸
頸部ドレーンからの著明な血性排液 頸部周囲径の増大
創部痛の増強 チアノーゼ SpO2の低下