第 3 章 物流センターにおける荷役作業姿勢計画支援手法
3.4 物流センターにおける荷役作業姿勢再設計への応用
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図 3-9 作業姿勢改善案
上記の方針に基づき改善案を計画した.そして,本装置により改善案に対して作業開 始から終了までの姿勢評価値を判定した.作業姿勢の改善前と改善後の姿勢評価値の比 較を図3-10に示す.
図 3-10 作業姿勢改善前後における AC コード
紙面の制約から作業開始後60秒の間(1段目,5個分)のACコードが比較されてい る.この間では,作業姿勢改善前は対象物を持ち上げる時の最大値はAC3であった.
対象物を置く時の最大値はAC4であった.作業姿勢の改善により,持ち上げる時には
AC2,置く時にはAC3 に低減される.残りの作業時間についても姿勢評価値の改善効
果が分析された.分析結果を図3-11に示す.
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図 3-11 作業員 A の姿勢評価値および改善案
現状では早期に改善が必要とされる AC3およびAC4となる作業姿勢は合計で32%
ある.改善後は8%まで低減される.ただし,改善案では作業員の移動距離およびしゃ がむ回数が増加した.これらの動作に要する時間はMTMに基づき設定された.その結 果,総作業時間は905秒となり,29%増加することが予測された.
3.4.2 改善案の検証
改善案に基づき荷役作業が行われた.当該物流センターの人員計画の変更により作業 員Aを被験者とすることが困難であったために新たに作業員Bを被験者とした.作業 員Bは経験年数が8年の男性である.荷役作業は2回行なわれた.1パレットには40 個の対象物が積まれている.1回目は,改善案を示さずに普段通りの作業姿勢により1 パレット分の荷役作業が行われた.10 分の休憩を入れた後,改善案が説明された.改 善案に記された作業姿勢を意識して 2 回目の荷役作業が行われた.荷役作業 1 回目の 総作業時間は 357sec を要した.2 回目は総作業時間は 525sec となり,1 回目よりも
47%増加した.当初に予測された増加率 29%よりも総作業時間が超過した主な原因に
ついて,作業員 B からは改善案で示された作業姿勢への慣れが不足していたとの意見 が得られた.肉体的疲労の影響も考えられる.作業員 Bによる荷役作業の 1 回目と2 回目に見られた特徴的な作業姿勢の変化を図3-12に示す.
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図 3-12 改善案実施後の作業姿勢
1回目の荷役作業では,対象物を持つ際に背中を曲げて対象物を手前に引き寄せる作 業姿勢となっている.この時の姿勢評価値はAC3 と判定される.2回目の荷役作業で は,作業員は対象物の正面まで移動し,対象物を体に引き付けて持ち上げている.この 時の姿勢評価値は AC1 と判定される.また,対象物を置く作業姿勢については,1 回 目はAC4 と判定された.2回目は,背中を伸ばし,両膝を曲げて体を低くする作業姿 勢ができており,姿勢評価値はAC2と判定される.姿勢評価値AC1~AC4の発生割合 を図3-13に示す.
図 3-13 作業員 B の姿勢評価値
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改善前は早期に改善が必要とされる AC3とAC4の合計が23%と高い.先に分析さ れた作業員A においても同比率が 32%と高い値であった.改善後には,AC3 とAC4
の合計は 13%まで減少している.特に AC4 は改善前の7.7%から1.5%まで大きく減
少している.図3-11において,改善案ではAC4 の比率は1.0%まで下がると予測され ていたことから,ほぼ予測通りの結果が得られた.また,改善後にAC3およびAC4の 比率が減少した部分は殆どがAC2に変わっている.以上の結果より,本装置の活用に より姿勢評価値を軽減できる作業姿勢を再計画できたと考えられる.ただし,再計画さ れた作業姿勢に作業員が慣れていなかったことにより作業時間は予測値以上に増加し た.
ところで,対象物の積み換え作業を根本的に削減する方策として一貫パレチゼーショ ンがある.製造会社の所有するパレットに対象物を積み,複数の会社を経由して最終目 的地まで積み換え作業をせずに輸送する方式である.しかし,この方策にはパレットの 管理コストが増大するという課題があるために,一貫パレチゼーションの普及が阻害さ れている.輸送過程においてパレットが散逸し回収が困難となること,および生産量の ピークに合わせてパレット数が保有されるために閑散期におけるパレットの在庫が大 きくなることが原因とされている.そのため,当該物流センターにおいては引き続きこ の研究を継続し,生産性を下げることなく姿勢評価値を軽減できる作業姿勢を追求する 予定である.
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