第 5 章 平滑化と個体差の補正
5.3 片方の温度値共有による個体差低減
さらにデバイス間の個体差を低減するため温度の共有について検証を行った.
2つのデバイスを隣接させた状態で計測を約1時間行った.実験場所は電気通信 大学東2 号館317 号室で行った.計測したデータに平滑化処理として指数移動 平均によるローパスフィルタ処理を適用し,気圧値と高度の換算式から差分高 度を求めた.気圧値と高度の換算式は次の通りである.
気圧高度(cm) = 153.8 × (𝑡0 + 273.3) × (1 − (𝑃 𝑃0)
0.1902
) × 100
今回の計測ではt0は27.7℃を使用した.求めた差分高度を平均した結果を表 8に示す.
表 8:温度共有の有無による気圧高度の平均の違い 共有無し 共有有り
平均 62.8291 cm 29.2475 cm
温度を共有した場合,しない場合に比べて,二つのデバイスの平均的な高度 差が小さくなった.今回の実験では常に同じ高さに設置していたため,理想的 な平均は0cmであるが,温度の共有のみでは約30cmの誤差が発生していた.
第6章 平滑化と個体差の補正 65
5.4 2 つの温度値の平均を用いた個体差低減
前項では,片方のセンサの温度値を用いて気圧高度の計算をおこなった.本 項では 2 つのセンサの温度値の平均を用いて気圧高度の計算をおこない,個体 差の低減に着いて検証をおこなった.実験は電気通信大学東2 号館309 号室で おこない,2つの気圧センサは同じ高さへと設置をおこなった.
データの処理はMATLABを用いておこなった.得られたセンサの気温の未処 理データの平均をとった後,センサそれぞれの初期値を用いて,気温と気圧を 求める.この共有で求めた気圧を用いた気圧高度とセンサ値をそのまま用いた 気圧高度の比較をおこなう.試行回数は 5 回でありそれぞれのデータセットで 平均と標準偏差を求めた.
共有の有無による気圧高度の 5 つのデータセットの平均をまとめたものを表 9に示す.
表 9:温度の共有による気圧高度の平均
平均(共有無し) 平均(共有有り)
No.1 -389.5 cm 1314.3 cm
No.2 -434.3 cm 1216.7 cm
No.3 -416.6 cm 1114.2 cm
No.4 -444.3 cm 828.0 cm
No.5 -430.9 cm 867.2 cm
表 9 より,個体差が小さかったのは温度の共有をしなかった場合である.し かし,今回の実験は試行回数が少なかったため,今後は試行回数を増やして共
有による個体差の低減が望めるか検証することが必要と考えられる.
共有の有無による気圧高度の 5 つのデータセットの標準偏差をまとめたもの を表 10に示す.
表 10:温度の共有による気圧高度の標準偏差
共有無し 共有有り
No.1 65.6 cm 47.9 cm
No.2 61.8 cm 48.8 cm
No.3 65.5 cm 47.4 cm
No.4 78.7 cm 47.7 cm
No.5 52.5 cm 48.5 cm
表 10より,共有無しよりも共有有りの方が,標準偏差が小さくなった.この ことより,共有をした方が気圧高度の変化が安定することが分かった.
第6章 平滑化と個体差の補正 67