• 検索結果がありません。

3.2 燃料温度計算ファイルを構成するシートの詳細説明

3.2.2 燃料棒温度分布シート

「燃料棒温度分布シート」(Table 3.2参照)は、高温ガス炉用燃料温度計算のメインとなるシート であり、本シートにより燃料温度が計算される。燃料カラムグループ毎に燃料温度の計算が実行され るため、燃料カラムグループの数だけシートが存在する。

本シートには、シートの設定、メッシュ情報、燃料棒形状情報、原子炉熱出力・発熱情報、軸方向 出力分布依存性、冷却材炉心出入口温度、冷却材流量配分情報、冷却材温度 Tcool、冷却材物性値情報、

冷却材流動情報、Tbs(黒鉛ブロック冷却孔表面温度)算出用繰り返し計算、Tbs(黒鉛ブロック冷却 孔表面温度)計算用熱伝達率、黒鉛ブロック冷却孔表面温度 TbsTso(黒鉛スリーブ外面温度)仮定 値算出用繰り返し計算、Tso(黒鉛スリーブ外面温度)計算用熱伝達率、黒鉛スリーブ外面温度 Tso、 黒鉛スリーブ熱伝導率情報、黒鉛スリーブ内面温度Tsi、ギャップ情報、ギャップ内Heガス物性値情 報、ギャップ熱伝達率・Tfo(燃料コンパクト外面温度)算出用繰り返し計算、燃料コンパクト外面温 度Tfo、燃料コンパクト内面温度Tfi及び燃料最高温度Tf,maxの入力・設定項目及び計算項目がある。

なお、ユーザーが入力すべきデータは、基本的に別シートでまとめて入力する仕様となっており、

本シートにおける各項目は、セルに埋め込まれた数式に基づき、自動的に読み込まれるか、算出され る。

(1)シートの設定

“シートの設定”では、以下の①及び②に関する設定を、プルダウンリストから選択する。

① 工学的安全係数

“工学的安全係数”では、各部温度計算時に適用する工学的安全係数の種類を選択する([ラン ダム]、[システマティック]及び[システマティックランダム]から選択可)。

② カラム

“カラム”では、計算対象とする燃料カラムグループを選択する。

(2)メッシュ情報

以下の項目は、「燃料出力密度シート」における“段番号”、“分割番号”、“燃料体(cm)/

分割幅”及び“メッシュ位置(cm)/下端”の入力データに基づき、自動的に入力・設定される。

① 燃料体分割番号

“燃料体分割番号”には、燃料体段毎のメッシュ分割番号(Table 3.2では燃料体(上下端の無燃 料部を除く)当たり12分割)が入力される。

② 分割燃料体高さ(cm)

“分割燃料体高さ(cm)”には、分割した燃料体の高さ(幅)(cm)が入力される。基本的には、

核計算の分割幅と同じとする。

③ 分割燃料体下端位置(高さ、cm)

“分割燃料体下端位置(高さ、cm)”には、分割した燃料体の下端位置(cm)が入力される。

(3)燃料棒形状情報

以下の項目には、「原子炉型式別情報シート」の入力データが自動的に読み込まれる。

① 冷却材流路外径Do(m)

“冷却材流路外径 Do(m)”には、黒鉛ブロック冷却孔の孔径(冷却材流路の外径、m)が入力 される。単位が「m」であることに注意する(他の入力値の単位は、基本的に「cm」としてい る。)。

② 冷却材流路内径Di(m)

“冷却材流路内径 Di(m)”には、黒鉛スリーブの外径(冷却材流路の内径、m)が入力される。

単位が「m」であることに注意する(他の入力値の単位は、基本的に「cm」としている。)。

③ 黒鉛スリーブ外半径(cm)

“黒鉛スリーブ外半径(cm)”には、黒鉛スリーブの外半径(冷却材流路の内半径、cm)が入 力される。

④ 黒鉛スリーブ内半径(cm)

“黒鉛スリーブ内半径(cm)”には、黒鉛スリーブの内半径(cm)が入力される。

⑤ 燃料コンパクト外面-黒鉛スリーブ内面間初期ギャップ幅(cm)

“燃料コンパクト外面-黒鉛スリーブ内面間初期ギャップ幅(cm)”には、燃料コンパクト外 面-黒鉛スリーブ内面間の初期ギャップ幅(cm)が入力される。

⑥ 燃料コンパクト外半径(cm)

“燃料コンパクト外半径(cm)”には、燃料コンパクト外半径(cm)が入力される。

⑦ 燃料コンパクト内半径(cm)

“燃料コンパクト内半径(cm)”には、燃料コンパクト内半径(cm)が入力される。

(4)原子炉熱出力・発熱情報

① 熱出力(W)

“熱出力(W)”には、「原子炉型式別情報シート」の入力データが自動的に読み込まれる。

② 炉心平均出力密度(W/cm3)(制御棒案内カラム含)

“炉心平均出力密度(W/cm3)(制御棒案内カラム含)”では、基準とする炉心燃料領域の体積 に制御棒案内カラムの体積を含めた炉心平均出力密度(W/cm3)が自動的に算出される。計算式は、

次のとおりである。

(4)① 炉心平均出力密度

制御棒案内カラムを含む炉心燃料領域の体積 (3.2)

③ 炉心平均出力密度(W/cm3)(制御棒案内カラム除)

“炉心平均出力密度(W/cm3)(制御棒案内カラム除)”では、基準とする炉心燃料領域の体積 から制御棒案内カラムの体積を除いた炉心平均出力密度(W/cm3)が自動的に算出される。計算式 は、次のとおりである。

(4)① 炉心平均出力密度

制御棒案内カラムを除く炉心燃料領域の体積 (3.3)

④ 燃料体(分割)出力密度(W/cm3)(核計算の結果より)

“燃料体(分割)出力密度(W/cm3)(核計算の結果より)”には、核計算で得られた該当カラ ムグループの出力密度(W/cm3)が、「燃料出力密度シート」から自動的に読み込まれる。

⑤ 燃料体(分割)出力密度(W/cm3)(非均質効果×燃料コンパクト発熱割合)

“燃料体(分割)出力密度(W/cm3)(非均質効果×燃料コンパクト発熱割合)”は、④で得ら れた出力密度に、「非均質効果・発熱割合シート」で入力したデータ(非均質効果1.07×燃料コン パクト発熱割合 0.9405)を掛けることで自動的に算出される。ここで、燃料コンパクト発熱割合

0.9405は、(燃料領域発熱割合0.99×燃料領域発熱割合中の燃料コンパクト発熱割合0.95)から導

出される。なお、非均質効果を考慮しない場合、非均質効果1.07→1となる。

⑥ 燃料体(分割)出力密度(W/cm3)(非均質効果×燃料領域発熱割合)

“燃料体(分割)出力密度(W/cm3)(非均質効果×燃料領域発熱割合)”は、④で得られた出 力密度に、「非均質効果・発熱割合シート」で入力したデータ(非均質効果1.07×燃料領域発熱割 合 0.99)を掛けることで自動的に算出される。なお、非均質効果を考慮しない場合、非均質効果 1.07→1となる。

⑦ 燃料体(分割)発熱量(W)(燃料チャンネル当り)(非均質効果×燃料コンパクト発熱割合)

“燃料体(分割)発熱量(W)(燃料チャンネル当り)(非均質効果×燃料コンパクト発熱割 合)”は、⑤で得られた出力密度に、該当メッシュの体積(cm3)を掛け、1 燃料体当たりの燃料 棒数で割ることで自動的に算出される。計算式は、次のとおりである。

(4)⑤ 燃料体1メッシュ当たりの体積 燃料体発熱量

1燃料体当たりの燃料棒数(1燃料体当たりの流路数) (3.4) なお、1燃料体当たりの燃料棒数は、「原子炉型式別情報シート」の“冷却材/1燃料体当たりの 流路数”で入力・設定された値が自動的に読み込まれる。

⑧ 燃料体(分割)発熱量(W)(燃料チャンネル当り)(非均質効果×燃料領域発熱割合)

“燃料体(分割)発熱量(W)(燃料チャンネル当り)(非均質効果×燃料領域発熱割合)”は、

⑥で得られた出力密度(W/cm3)に、該当メッシュの体積(cm3)を掛け、1 燃料体当たりの燃料 棒数で割ることで自動的に算出される。計算式は、次のとおりである。

(4)⑥ 燃料体1メッシュ当たりの体積 燃料体発熱量

1燃料体当たりの燃料棒数(1燃料体当たりの流路数) (3.5) なお、1燃料体当たりの燃料棒数は、「原子炉型式別情報シート」の“冷却材・1燃料体当たりの 流路数”で入力・設定したデータが、自動的に読み込まれる。

⑨ 燃料体(分割)線出力(W/cm)(非均質効果×燃料コンパクト発熱割合)

“燃料体(分割)線出力(W/cm)(非均質効果×燃料コンパクト発熱割合)”は、⑦で得られ た燃料体発熱量に、1メッシュ当たりの燃料体高さ(cm)を掛けることで自動的に算出される。

計算式は、次のとおりである。

(4)⑦ 燃料体線出力

1メッシュ当たりの燃料体高さ (3.6)

(5)軸方向出力分布依存性

① 冷却材温度差上昇ランダム因子軸方向出力分布依存性補正係数

“冷却材温度差上昇ランダム因子軸方向出力分布依存性補正係数”では、工学的安全係数のランダ ム因子の内、燃料核直径、燃料核密度、濃縮度及びウラン量の冷却材温度差上昇因子に対して、式

(2.31)に基づき、次式を用いて補正係数Jが自動的に算出される。

i2

i

J q

q (3.7)

ここで、qi:軸方向メッシュ位置(燃料体分割位置)iにおける発熱量(W)((4)⑧)である。

② 冷却材温度差上昇ランダム因子計算用Work

“冷却材温度差上昇ランダム因子計算用 Work”では、工学的安全係数のランダム因子の内、燃料 核直径、燃料核密度、濃縮度及びウラン量の冷却材温度差上昇因子に対して①で求められた補正係数 が掛けられ、補正された「1+ランダム成分」(式(2.4)参照)が自動的に算出される。ランダム 温度またはシステマティックランダム温度を算出する場合、この補正された「1+ランダム成分」

を使用する。

(6)冷却材炉心出入口温度

① 冷却材炉心入口温度(˚C)

② 冷却材炉心出口温度(˚C)

“冷却材炉心入口温度(˚C)”及び“冷却材炉心出口温度(˚C)”には、「原子炉型式別情報シ ート」の“冷却材/炉心入口温度(˚C)、炉心出口温度(˚C)”で入力・設定したデータが自動的 に読み込まれる。

(7)冷却材流量配分情報

① 冷却材流量(kg/s)

“冷却材流量(kg/s)”は、次式により自動的に算出される。

1,000 VCS

(4)①

冷却材流量 除熱量割合

(9)③ (6)② (6)① (3.8) ここで、“VCS(Vessel Cooling System:炉容器冷却設備)除熱量割合”には、「原子炉型式別情 報シート」で入力・設定したデータが自動的に読み込まれる。

② 燃料冷却材流路流量配分(炉心有効流量割合,FLOWNETの計算結果より)

“燃料冷却材流路流量配分(炉心有効流量割合,FLOWNETの計算結果より)”には、「原子炉 型式別情報シート」の“冷却材/炉心有効流量割合”で入力・設定したデータが自動的に読み込ま れる。このデータを計算で使用する場合、(①冷却材流量×②炉心有効流量割合)が炉心有効流量 となり、③燃料冷却材流路(チャンネル)数で割った1チャンネル当たりの流量が温度計算で使用 される。

③ 燃料冷却材流路(チャンネル)数

“燃料冷却材流路(チャンネル)数”には、「原子炉型式別情報シート」の“冷却材/全流路 数”で入力・設定した値が自動的に読み込まれる。

④ 燃料冷却材流路(チャンネル)当りの流量(kg/s)(FLOWNETの計算結果より)

“燃料冷却材流路(チャンネル)当りの流量(kg/s)(FLOWNET の計算結果より)”には、

「原子炉型式別流量配分シート」の“段別流量(kg/s)”で入力・設定した値が自動的に読み込ま れる。この流量には、式(2.32)で定義される流量再配分割合が考慮されている。

なお、「原子炉型式別流量配分シート」“段別流量(kg/s)”に、炉内冷却材流量配分解析により 得られたデータを入力せず、空欄や“Auto”等と入力した場合には、自動的に②及び③から簡易的に 求められた燃料冷却材流路当たりの流量が温度計算で使用される。

(8)冷却材温度Tcool

① 燃料体(分割)入口冷却材温度(˚C)

“燃料体(分割)入口冷却材温度(˚C)”には、燃料体メッシュの入口冷却材温度が指定され、

②で算出された温度が、次のメッシュの入口冷却材温度として自動的に入力・設定される。なお、

炉心入口に当たる燃料体分割位置(Table 3.1では燃料体分割番号 1-1)の場合、工学的安全係数に 基づき、(6)①+20˚C(HTR50S)または(6)①+14˚C(HTTR)となる。

② 燃料体(分割)出口冷却材温度Tcool(˚C)(非均質効果×燃料領域発熱割合)

“燃料体(分割)出口冷却材温度 Tcool(˚C)(非均質効果×燃料領域発熱割合)”は、式

(2.30)に基づき、次式により自動的に算出される。

1,000

Tcool (4)⑧

(8)①

(7)④ (9)③ (3.9)

ここで求められた温度が、次のメッシュの入口温度となる。

関連したドキュメント