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焼酎廃液の有効利用に関する研究

ドキュメント内 第一工業大学研究報告: 第25号 (ページ 69-75)

椛山卓弥1)、日高泰基1)、平野大地1)、吉徳謙佑1) 吉田 清司2)、羽野 暁2)

1) 第一工業大学 学科学生 自然環境工学科

2) 第一工業大学 指導教官 自然環境工学科

Study on Effective Utilization of Shochu Waste Fluid

Takuya KABAYAMA1), Taiki HIDAKA1), Daichi HIRANO1), Kensuke YOSHITOKU1) Seiji YOSHIDA2), Satoshi HANO2)

Abstract

Keywords: shochu waste fluid, cation-based macromolecule flocculant, dehydration, compost

The water included in shochu waste fluid was dewatered effectively by using cation-based macromolecule flocculant. We tried the dehydration from shochu waste fluid by pressurization dehydration, but only because raising pressure, about the dehydration effect, a good result was not provided. About the composting, shochu waste fluid solid content was biodegraded in a short time. Therefore it seemed that the temperature of the compost became the high temperature early. We mixed compost with soil and sowed a seed of a Japanese radish and the spinach. As a result, a Japanese radish and the spinach grew up greatly in comparison with a case without the compost .

1.はじめに

鹿児島県は焼酎の出荷量が全国1位であると同時に、

焼酎廃液の排出量も年間20万トンと多く1)、これに掛か る処理費用は年間14~16億円と見込まれている。このよ うな状況から、焼酎廃液は安価に処理されることが望ま れている。焼酎廃液の処理方法としては、一般に、堆肥 化や飼料化が行われ、堆肥は田畑へ施肥され、また、飼 料は家畜の餌として有効利用されている。この他、特殊 な利用方法としては、コンクリートに焼酎廃液を練り混 ぜたコンクリート製の漁礁あるいは化粧液等への応用が 挙げられる。

筆者らは、イモ焼酎廃液の有効利用法として、堆肥化 に再着目し、堆肥化時に使用する水分調整材の使用量を 減らすために、焼酎廃液から出来るだけ水分を除去した 焼酎廃液の濃縮固形分を用いて堆肥化を行った。

2.実験方法

2-1焼酎廃液の物理性状の測定

物理性状として、密度、pH、含水率、粘度、BODおよ びCODを測定した。

2-1-1 密度

焼酎廃液 500 mℓを正確に秤取り、重量を測定して

求めた。

2-1-2 pH

pH計にて直接測定を行った。

2-1-3 含水率

焼酎廃液を105℃で24時間乾燥して、重量変化から求 求めた。

2-1-4 粘度

粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。

2-1-5 BODおよびCOD

BODの測定はJIS K0102 21の方法に準じて行い、溶存 酸素濃度の測定には DO 計を用いた。COD の測定は JIS K0102 17の方法に従った。

2-2焼酎廃液の脱水実験

図-1DO計による溶存酸素の測定

椛山 卓弥

1)

・日高 泰基

1)

・平野 大地

1)

・吉徳 謙佑

1)

吉田 清司

2)

・羽野 暁

2)

焼酎廃液の有効利用に関する研究

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焼酎廃液の90%以上は水分であるため、オガ粉を水分 調整材として堆肥化する場合、オガ粉の量が過剰になり、

また、オガ粉基材に対する焼酎廃液固形分の取込量が少 なくなるので有効な堆肥としての調製が困難となる。し たがって、焼酎廃液を堆肥化する場合、できるだけ水分 を除去し、固形分濃度を増大させることが求められる。

そこで、焼酎廃液を高分子凝集剤によって凝集させ、脱 水性の効率を高めることを試みた。凝集剤は有機系排水 に効果があるとされるMTアクアポリマー(株)製のカチオ ン系凝集剤C-508、C-508L、C-508LL、C-508ULの4種類 を使用し、焼酎廃液の脱水に効果があるものを選定した。

2-2-1脱水効果のある凝集剤の選定

焼酎廃液 100gに凝集剤 C-508、C-508L、C-508LL、

C-508UL の 0.2%液を添加したものを 1ℓのポリ容器に入 れ、10秒間往復撹拌し、三角漏斗にろ紙を装填して自然 ろ過で5分間測定したろ水量を計測した。実験では凝集 剤の添加量を20㎖、30㎖、40㎖、50㎖、60㎖と設定し た。また、ろ水量から凝集剤添加溶液量を差し引いたも のを「有効脱水量」とした。

2-2-2 加圧による脱水性

焼酎廃液を凝集して、加圧脱水すれば、自然脱水に比 べて脱水性が上昇するかどうか確かめた。

実験は加圧脱水装置内の圧力を0.2MPa、0.5MPa、0.8MPa の3水準に設定し、測定を以下の方法で行った。

(1) 500㎖のビーカーに焼酎廃液300g入れ、ガラス棒で 攪拌しながら、pHを測定し、消石灰を数回に分けて添 加し、焼酎廃液を中和(pH=7)させる。

(2) 中和させた焼酎廃液に凝集剤C-508を150ml添加し て 1ℓの容器に入れ、10秒間往復撹拌させる。

(3) 凝集剤C-508 を添加した焼酎廃液を加圧脱水機に入

れ、1分毎にろ水量を測定し、連続して45分間測定す る。

(4) 45分後の脱水ケーキをトレーに移し、含水率を測定

する。

2-2-3焼酎廃液の堆肥化

焼酎廃液の堆肥化には、凝集剤(C-508)で脱水した濃 縮焼酎廃液8300g、オガ粉6000g、微生物原(腐葉土)500g を混合攪拌させてから堆肥箱に入れ、25日間かけて堆肥 化させた。堆肥化の状況を把握するために温度、pHおよ び含水率を測定した。

2-2-3-1 温度の測定

温度は堆肥箱の表面、表面から1/4、2/4、3/4、底面の 計5ヶ所の位置に温度計を差し込み、測定した。

2-2-3-2 pH測定

ビーカーに堆肥20gを取り、蒸留水100㎖を加え、よ く撹拌した後、計測した。

2-2-3-3 含水率測定

含水率は堆肥化の初期および最後の2回行った。試料 は堆肥を上下よく攪拌したものを用いた。

2-2-3-4 微生物による有機物分解量

堆肥化の初期と25日目の堆肥の重量と含水率から焼酎 廃液の固形分の重さをそれぞれ求め、それを差し引いた 値を有機物分解量として計算した。ただし、堆肥化期間 中オガ粉と微生物原の腐葉土は分解しないものとして計 算した。

2-2-4 堆肥化物による植物生育実験

植物の生育実験は焼酎廃液の堆肥が肥料としての効果 があるのかどうかを確かめるために行った。堆肥区画と 対照区にそれぞれ植物を植えて、成長の変化を見た。区 画は実験室前の空きスペースを耕して畑地(縦1.2m×横

2.2m)に見立てた。堆肥区画に堆肥を深さ 15cm、1m

当たり堆肥6.4kgを施肥した。それぞれの区画に2種類 の種(ホウレンソウ、大根)を蒔き、11月8日~1月8 日までの2ヶ月間、生育過程を観察した。

3.結果及び考察

3-1焼酎廃液の物理的性状の測定 3-1-1 密度

測定の結果は1.01g/cm3であった。

3-1-2 pH

実験に使用した焼酎廃液は芋焼酎製造後の廃液で、廃 液の中にはフェノールやクエン酸などの酸性物質を含む ために、pH測定の結果は4.3を示した。

3-1-3 含水率

芋焼酎廃液の一般的な含水率の平均は、95%程度であ る。今回の芋焼酎廃液の測定結果は93.5%であった。焼 酎廃液は水分を多く含んでいる為、堆肥化時には水分調 整材のオガ粉の量をできるだけ少量に抑えるために、脱 水して固形分濃度を高めて処理する必要がある。

3-1-4 粘度

焼酎廃液を脱水する場合、粘度が高いと効率良く脱水 させることができないものと考えられるので、使用した 焼酎廃液の粘度がどの程度なのか測定を行った。焼酎廃 液ろ液の粘度測定結果を表-1に示す。比較のために水及 びエチルアルコールの粘度を表-1に併示した。一方、

20℃における水及びエチルアルコールの粘度(cP)の値 はそれぞれ1.01cP、1.20cPであり、オストワルド粘度(sec) とcPで表す粘度を図にプロットすると、図-2に示すよ うな直線関係が得られる。この直線から、焼酎廃液ろ液 の粘度(cP)を求めると、1.04cP であった。このことか ら、焼酎廃液ろ液はほとんど水と変わらない粘度である ことが分かった。

70 第一工業大学研究報告 第25号(2013)

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3-1-5 BOD・COD

焼酎廃液の有機物量をBOD・CODによって、間接的 に測定した。結果を表―2、3に示した。表―2は、焼酎 廃液のBOD試験の結果を示したものである。BOD試験 における酸素消費量は初期酸素量の40~70%の範囲にあ ることが、望ましいとされているが、今回の試験ではい ずれもこの範囲に入る結果は得られなかった。そこで、

40%~70%の下限値40%に近い 34%及び 32%の値の平 均値20,490ppmをBOD値として採用した。長崎県衛生公 害研究所のデータ3⁾では22,000~42,000ppmという値が公 表されているが、今回の実験では、この値より小さい値 となった。

表-3は、焼酎廃液のCOD試験の結果を示したもので ある。今回の実験では、CODの測定値にバラつきが有っ

たので、算定値は次の方法に依った。測定値を順番に並 べ、中央2つの値の平均値、すなわち、17,100および20,400 の平均値18,700ppmをCODの値とした。この値は、長崎 県衛生公害研究所のデータ2⁾による45800~85100という 値からすると、低い数値となった。

また、水質汚濁防止法⁾によると河川・海への排出基 準としてBOD・CODともに160mg/l以下であることから、

焼酎廃液は水質を悪化させるということが分かる。

3-2焼酎廃液の脱水実験 3-2-1凝集剤の選定

C-508、C-508L、C-508LL、C-508ULの4種類の凝集剤 を焼酎廃液に添加した後、5分間自然ろ過で脱水した結果 を図-3に示した。図から、脱水量が一番多かった凝集剤

はC-508ということが分かる。凝集剤の4種類それぞれ

の分子量が、C-508は800万、C-508Lは350万、C-508LL は 300万、C-508ULは500万であり、この結果から分子 量の大きなC-508が焼酎廃液の凝集に適しているという ことがわかった。以後の実験には、「C-508」を使用した。

3-2-2 脱水性

凝集剤C-508を添加した焼酎廃液を45分間加圧脱水し

たときの脱水量を図-4に、脱水後のケーキ含水率を図-

測定回数 焼酎廃液ろ液 エチルアルコール

1 65 62 90

2 65 62 91

3 65 63 89

平均 65 62 90

希釈倍率 初期の DOA

5日後 DO

B

AB /A

BOD

ppm

×5000 8.13 6.42 21% 8550

×6000 7.66 5.00 34% 15960

×7000 7.78 5.43 30% 16450

×8000 8.20 5.79 29% 19280

×9000 8.50 5.72 32% 25020

×10000 7.88 5.80 25% 20800

希釈倍数 a(ml) b(ml) COD(ppm) 判定

5000 1.6 0.6 10000 ×

6000 2.3 0.6 20400 ○

7000 2.3 0.6 23800 ×

8000 2.1 0.6 24000 ×

9000 1.55 0.6 17100 ○

10000 0.8 0.6 4000 ×

BL 0.6

表-1焼酎廃液、水およびエチルアルコールのオストワルド 粘度(温度20℃、単位sec)

図-2 焼酎廃液のcP表示粘度とオストワルド粘度(sec) との関係

表-2 焼酎廃液のBOD測定

表-3 焼酎廃液のCOD測定

図-3 凝集剤添加量と脱水量との関係 71 椛山・日高・平野・吉徳・吉田・羽野:焼酎廃液の有効利用に関する研究

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