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漏れ電流発生メカニズムと構成成分

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3. 2 発生漏れ電流

電子-正孔対の発生割合𝑈は、

𝑈 =

𝜎𝑝𝜎𝑛𝑣𝑡ℎ𝑁𝑇𝑛𝑖

𝜎𝑛𝑒𝑥𝑝(𝐸𝑇−𝐸𝑖

𝑘𝑇 )+𝜎𝑝𝑒𝑥𝑝(𝐸𝑖−𝐸𝑇

𝑘𝑇 )

,

(3-1)

σn , σp:電子/正孔の捕獲断面積 vth :キャリアの熱速度 NT :トラップ密度 ni :真性キャリア濃度 ET :トラップ準位 Ei :真性フェルミ準位 k :ボルツマン定数

T :温度

で表される。[1, 2]

σn p = σと仮定し、トラップ準位がバンドギャップの中心Eiに近い場合を考 えると、

𝑈 =

1

2

𝜎𝑣

𝑡ℎ

𝑁

𝑇

𝑛

𝑖 (3-2)

と単純化できる。キャリア発生が空乏層中で均一であれば、発生リーク電流𝐽𝑔𝑒𝑛

𝐽

𝑔𝑒𝑛

= 𝑞𝑈𝑊 =

1

2

𝑞𝜎𝑣

𝑡ℎ

𝑁

𝑇

𝑛

𝑖

𝑊

(3-3)

と表される。式(2-1)と式(3-3)から、トラップ密度𝑁𝑇が一定の場合、発生リーク 電流𝐽𝑔𝑒𝑛は、逆バイアスVRの1/2乗と真性キャリア濃度𝑛𝑖

比例する。

nドリフトのL(r)の領域中のトラップ準位が𝑁𝑇(𝑟)で一定であるとした場合、

𝐽

𝑔𝑒𝑛

=

1

2

𝑞𝜎𝑣

𝑡ℎ

𝑛

𝑖

∑𝑁

𝑇(𝑟)

𝐿

(𝑟) (3-4)

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で、計算できる。ここで、”r”は、p-n接合面に垂直な方向に対して複数に分割され たr番目の領域を示す。

次に、式(3-1)、および、式(3-3)で𝐽𝑔𝑒𝑛が発生割合Uに比例することから、トラッ プ準位ETが𝐽𝑔𝑒𝑛に与える影響を考える。σn p = σと仮定した場合、式(3-1)の分 母は、hyperbolic cosineの形になっており、ETEiが 0の時、すなわち、トラップ準 位がバンドギャップ中心に一致した時に最小値を取り、ETEiから離れるほど値が 大きくなる。つまり、ETがバンドギャップ中心に近いほど𝐽𝑔𝑒𝑛は大きくなり、離れる ほど漏れ電流が小さくなる。

ET‐Ei を 0.06eVから 0.10eV ずつ増やした場合、すなわち、Siのバンドギャップ

を1.12eVとして、EC‐ETを0.50eVから0.10eVずつ増やした場合の漏れ電流への影 響度を表 3-1 に示す。ここでは ECET =0.5eV の時の係数を 1 に規格化している。

EC‐ETが 0.1eV 減る(エネルギー準位が浅くなる)ごとに漏れ電流は 1/48 ずつ減少し

ており、ETが漏れ電流に大きな影響を与えることがわかる。

3-1 SRH モデルによる E

C

-E

T

の漏れ電流への影響度

ETEi (eV) 0.06 0.16 0.26 0.36

EC‐ET (eV) 0.50 0.40 0.30 0.20

漏れ電流への影響度 1 0.021 4.4×10-4 9.3×10-6

比率 1/48 1/48 1/48

3. 3 拡散漏れ電流

図 3-1のダイオードで、nドリフト領域の比抵抗が高い(NDが低い)場合、p+コ レクタで発生する電子よりも、nドリフト中で発生する正孔の方が圧倒的に多いた め、拡散漏れ電流は正孔成分が支配的である。拡散漏れ電流𝐽𝑑𝑖𝑓は、

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𝐽

𝑑𝑖𝑓

= −𝑞𝐷

𝑝𝑑𝑝𝑛

𝑑𝑥

= −

𝑞𝐷𝑝𝑝𝑛0

𝐿𝑝

(𝑒

𝑞𝑉𝑅𝑘𝑇

− 1)

(3-5) で与えられる。[3]

Dp :正孔の拡散係数

𝑝𝑛 :空乏層端のホール濃度

𝑝𝑛0 :平衡状態でのnドリフト中の正孔濃度(= 𝑛𝑖2⁄𝑁𝐷) Lp :正孔の拡散長

逆バイアスVR𝑘𝑇

𝑞に対して十分大きいときは、

𝐽

𝑑𝑖𝑓

=

𝑞𝐷𝑝𝑝𝑛0

𝐿𝑝 (3-6)

で表される。

Lpは、正孔のライフタイム𝜏𝑝を使って、下式で表される。

𝐿

𝑝

= √𝐷

𝑝

𝜏

𝑝. (3-7)

拡散係数はキャリア移動度 μ を用い、下記のアインシュタインの関係式から得ら れる。

𝐷 =

𝑘𝑇𝜇

𝑞 (3-8)

最終的に、拡散漏れ電流𝐽𝑑𝑖𝑓は、

𝐽

𝑑𝑖𝑓

= √

𝑞𝑘𝑇𝜇𝜏 𝑝

𝑝

𝑝

𝑛0. (3-9)

で計算できる。式(3-9)からわかるように、拡散漏れ電流は、逆バイアスVRに依存 しない。

3. 4 漏れ電流の温度依存性

発生漏れ電流と拡散漏れ電流は異なる温度依存性を持つ。実測した漏れ電流の温

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度依存性を調べることにより、発生、もしくは、拡散漏れ電流のどちらが支配的か理 解するのに役立つ。

発生漏れ電流は真性キャリア濃度 niに、拡散漏れ電流は ni2にそれぞれ比例する。

[4]

niの温度依存性は、次式で表される。[5]

𝑛

𝑖

∼ 𝑇

3/2

e

(−𝐸𝑔/2𝑘𝑇) (3-10)

𝐸

𝑔 :半導体のバンドギャップ

式(3-3)における𝑣𝑡ℎは𝑇1 2 に比例し、その他のパラメータの温度依存性は小さいこ とから、式(3-10)を用いて、発生漏れ電流の温度依存性は、

𝐽

𝑔𝑒𝑛

∼ 𝑇

2

e

(−𝐸𝑔/2𝑘𝑇) (3-11) となる。

𝐸𝑔も温度依存性を有し、Siに関しては、実験的に求められた次式が知られている。

[6]

𝐸

𝑔

= 1.170 −

4.73×10−4 ×𝑇2

𝑇+636 (3-12)

拡散漏れ電流𝐽𝑑𝑖𝑓の温度依存性は、

𝐽

𝑑𝑖𝑓

∼ 𝑇

(3+𝜔/2)

e

(−𝐸𝑔/𝑘𝑇) (3-13) で表される。[3] ここで、パラメータ𝜔は定数である。

また、

𝑝

𝑛0

= 𝑛

𝑖2

/ 𝑁

𝐷 (3-14)

が成り立つ。式(3-9)において、𝜇𝑝 と𝜏𝑝 の温度依存性を考慮しない場合、式(3-10)、式(3-14)から、𝜔 = 1となる。𝐽𝑔𝑒𝑛、𝐽𝑑𝑖𝑓とも温度 T を含んだ指数関数を有する ため、Tnの項は、温度依存性に大きな影響を与えない。

式(3-11)、式(3-13)から、横軸を1/T、縦軸に𝐽𝑔𝑒𝑛と𝐽𝑑𝑖𝑓の自然対数を取れば、その

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傾きはそれぞれ−𝐸𝑔/2𝑘𝑇と−𝐸𝑔/𝑘𝑇になり、𝐽𝑔𝑒𝑛に比べて𝐽𝑑𝑖𝑓の方が温度依存性が大き くなることがわかる。

3-1 ダイオードにおける漏れ電流の発生メカニズム

p+コレクタ n- ドリフト n+ エミッタ

空乏層 (幅: W) 電子

正孔

発生電流Igen

拡散電流 拡散電流

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参考文献

[1] R. N. Hall, “Electron-Hole Recombination in Germanium” Physical Review 87, 387, 1952.

[2] W. Shockley, and W. T. Read, “Statistics of the Recombinations of Holes and Electrons”, Physical Review 87, 835, 1952.

[3] S. M. Sze, "Physics of Semiconductor Devices, 2nd Edition”, (Wiley Interscience Publication, 1981), pp. 87-88.

[4] B. J. Baliga, “Power Semiconductor Devices”, ( PWS Publishing Company, 1996), pp. 169-171.

[5] S. M. Sze, "Physics of Semiconductor Devices, 2nd Edition”, (Wiley Interscience Publication, 1981), p. 19.

[6] C. D. Thurmond, “The Standard Thermodynamic Functions for the Formation of Electrons and Holes in Ge, Si, GaAs , and GaP” Journal of the Electrochemical Society 122, 1133, 1975.

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