第 5 章 シミュレーション消費電力特性評価
5.1 Star トポロジー
5.1.2 消費電力量評価
図5.1.1のトポロジーにおいて表5.1.1のシナリオで実行したシミュレーション結果を示
す。図5.1.2はユーザがPC端末で接続したときのリンクスループットである。
32
図5.1.2 ”wired”シナリオの各ノードのスループット
Txはその機器がデータを送信することを意味しており、Rxというのはその機器がデータ を受信することを意味している。さらにセンターサーバーにおけるスループットは 4 つの リンクのスループットの平均としている。スループットが低いところは Interest を送受信 しているためで、Interest自体はデータサイズが非常に小さいため結果的にスループットが 落ちて見えている。
図5.1.3はユーザがスマートフォン端末でWi-Fi接続したときのリンクスループットであ
る。
33
図5.1.3 “wireless”シナリオの各ノードのスループット
Wireless シナリオではユーザ端末とアクセスポイント間のアップリンク・ダウンリンク
帯域幅を100Mbpsで遅延を100msとしているので、スループットが全体的に落ちている
のが分かる。100Mbpsを少し超えて見えているのはログの出力の際に終了時間と開始時間 を正確に把握できていないためにでた計算上の誤差である。
ここで得られたスループットと第 3 章で実機計測された消費電力量とスループットの関
係(表5.1.2)から1bit当たりの消費電力量を算出できる。ルータの消費電力としてPCの
消費電力を用いている。
Tx(wireless smartphone) y=1378.3*x^-0.872 Rx(wireless smartphone) y=1339.8*x^-0.918 Tx(wireless AP) y=7821*x^-0.962 Rx(wireless AP) y=7629.6*x^-0.987 Tx(wired PC)(UDP) y=17714*x^-0.972 Rx(wired PC)(UDP) y=17480*x^-0.973
表5.1.2 消費電力量算出式
34
図5.1.4 ”wired”シナリオの1bit当たりの各ノードの消費電力量
図5.1.4は”wired”シナリオにおける1bit当たりの各ノードの消費電力量を示している。
スループットが高いと第 3 章の結果から電力効率は良くなる。その結果がよく出ている。
つまりコンテンツの送受信をするときは一番スループットが高いので電力効率が良い。
次に”wireless”はシナリオにおける1bit当たりの各ノードの消費電力量を図5.1.5に示す。
35
図5.1.5 ”wireless”シナリオの1bit当たりの各ノードの消費電力量
ここでもスループットが消費電力量に影響している事がわかる。
図5.1.6 ”wired”シナリオの通信データ量
36
図5.1.6はユーザが有線利用時のデータ量を表している。どのユーザも100MBのコンテ
ンツを要求しているため、センターサーバーは400MBのデータを送信するのが分かる。
図5.1.7 ”wireless”シナリオ時の通信データ量
データ量は”wired”シナリオと同じである。第 4 章におけるモデル式(4.1.1)~式(4.3.2)
によって消費電力量を求めることが出来る。図5.1.8にStarトポロジーにおける各シナリ オの消費電力量を示す。
図5.1.8 Starトポロジー各シナリオ消費電力量比較
37
ユーザが有線を利用した時のネットワーク総消費電力量は無線を利用した時のネットワ ーク総消費電力量は常に低くはなるわけではない。これはアクセスポイントの電力効率が ルータの電力効率より悪いからである。またCenterシナリオとEdge Cacheシナリオの通 信時間は少し異なっているためネットワーク総消費電力量に違いが出たと考えている。
また、Edge Cacheシナリオのネットワーク総消費電力量はCenterシナリオの総消費電 力量よりも低いことが分かる。これはEdge Cacheシナリオではエッジサーバーにコンテン ツがあるためセンターサーバーを使用せず、センターサーバーで消費される消費電力量を 削減出来るためである。
ここで “Wired”シナリオと“wireless”シナリオで通信時間が異なる。“wired”シナ リオでは1.5秒で通信が終了する。その後機器は“定常状態”に移る。“定常状態”とは通 信を行っていないがその機器事態を起動しておく状態のことを表している。図5.1.9が各シ ナリオの通信時間である。
図5.1.9 各シナリオの通信時間比較
表5.1.3 各デバイス定常状態時消費電力
通信が終わったあとには定常状態に遷移するとして、表5.1.3のように各デバイスの定常 状態時消費電力を定義する。そして各シナリオのシミュレーション時間を最長通信時間で あるCenter(Wireless)に合わせて11秒にする。さらにEdge Cacheシナリオでは利用して いないCenter Serverも実際には定常状態で電力を消費すると仮定する。図5.1.10がシミ ュレーション時間等を考慮したネットワーク総消費電力量である。
38
図5.1.10 シミュレーション時間を考慮した消費電力量評価
図 5.1.10 内 斜 線 部 分 が 定 常 状 態 時 に そ の ノ ー ド が 消 費 す る 消 費 電 力 量 で あ る 。 Center(wireless)シナリオの通信時間に他のシナリオのシミュレーション時間を合わせて いるため、定常状態時消費電力量は存在しない。
”wired”シナリオのほうが大きく電力を消費しているのは、ユーザの利用している端末 が”wired”シナリオと”wireless”シナリオで異なっていることが大きな原因であると考えて いる。さらにルータの消費電力はアクセスポイントの電力効率より悪いことも影響し、無 線でユーザがスマートフォンを用いて接続するほうが、有線でユーザがPCを用いて接続す るよりも電力を消費しないという結果になった。