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第 4 章 カロテノイド太陽電池の作製・評価 33

4.2 リコピン太陽電池

4.2.2 活性層溶媒

(a) (b)

図4.18 リコピン:PC71BM太陽電池の外観.活性層溶媒に(a)クロロホルム,(b)クロロベンゼ ンを使用.

J-V 特性

活性層溶媒としてクロロベンゼンを用いた逆構造OSCのJ-V 特性を測定した.図4.19(a)より,

クロロベンゼンを用いたデバイスでは太陽電池特性が観測できず,電極間のショートのようなプ ロファイルを示した.これは,活性層の表面粗さによってアノード-カソード間の短絡を引き起こ したためと考えられる.したがって溶媒の変更によって,太陽電池として全く機能しなくなる結 果を示した.

-100.0 -50.0 0.0 50.0

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

115 nm 90 nm 70 nm 30 nm

Current density [mA/cm2 ]

Voltage [V]

図4.19 溶媒にクロロベンゼンを用いたリコピン:PC71BMデバイスのJ-V 特性.太陽電池特性

表面観察

表面粗さの詳細を観測するため,異なる溶媒を用いた場合の活性層形態を,光学顕微鏡,触針 式表面粗さ測定計(Dektak),AFMを用いて観察した.顕微鏡画像(倍率100倍)を図4.20に 示す.クロロホルムを用いた膜は均質な膜が観測され,βカロテンの膜(βカロテン:PC71BMの 混合比1:4,溶媒クロロベンゼン)と同等な粗さを示した.一方,クロロベンゼンを使用したもの はファイバー状の結晶が膜中に観察された.乾燥速度がクロロホルムよりも遅いクロロベンゼン を用いるとリコピンの凝集体が形成されると考えられ,先行研究でも同様の凝集体が確認されて いた[85].また,図4.21に示されるDektakによる表面形状測定でも,クロロベンゼン膜の高い 表面粗さが観察され,これがデバイスのショートの原因となったと考えられる.

(a) (b)

図4.20 リコピン:PC71BMデバイス活性層の顕微画像.溶媒に(a)クロロホルム,(b)クロロベ ンゼンを用いた活性層.顕微鏡の倍率は100倍である.

-0.1 -0.05

0 0.05

0.1

0 20 40 60 80 100

CB CF

Height m]

Width [µm]

(a)

-0.01 -0.005 0 0.005

0.01

0 20 40 60 80 100

Lycopene_CF carotene_CB

Height m]

Width [µm]

(b)

図4.21 Dektakによる活性層の表面粗さ測定結果.(a) 異なる溶媒を用いたリコピン:PC71BM

AFMによる表面形状測定結果(測定範囲: 2µm ×2µm)を図4.22に示す.クロロベンゼンを 用いた膜はµmオーダーの大きなドメインを生じているのに対し,クロロホルムを用いた膜はサ ブµmオーダーのドメインを示した.以上の結果から,リコピンは極めて強い結晶性をもち,遅 い乾燥プロセスをとるとサブµmオーダーの結晶を生成するとわかった.したがってリコピンは 細かな結晶性の調整が難しく,クロロホルムと他種の溶媒の混合溶液を用いる方法や溶液濃度に よる制御などが有効と考えられる.

(a) (b)

図 4.22 AFMによるリコピン:PC71BM活性層の表面状態観察.溶媒に(a)クロロホルム,(b) クロロベンゼンを用いた.

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