(1)キ プ シ ギ ス 人 の 民 族 誌 的 な 資 料 は 、 小 稿 第 三 章 第6節 で 比 較 的 詳 し く提 示 して い る。 必 要 が あ れ ば 、 そ ち ら を 参 照 して 欲 し い 。
(2)話 者 はJonathanarapMongekニ ョ ン ギ 年 齢 組 の コ ス ィ ゴ 副 組(1906年 開 設)、 キ プ サ マ エ ッ ク 氏 族(ト ー テ ム は 騙 蟷 耳 狐(lelwot))に 帰 属 。 今 日 の ボ メ ッ ト県 ア ボ ス ィ区 ゲ レ ゲ レ郡 の タ バ リ ッ トに 当 時 居 住 。 人 々 は 百 五 十 歳 の 老 人 と考 え て い た が 、 個 人 史 を 再 建 し た 結 果 に 基 づ き、 筆 者 は 約 百 歳 と 判 定 。1979年12月30日 、 彼 の 小 屋 で 採 話 。
(3)キ プ シ ギ ス 語 に は正 書 法 が な い 。 声 調 言 語 で12の 母 音 を もつ が 、 補 助 記 号 を 用 い ず 、 単 純 な ア ル フ ァ ベ ッ ト記 号 で 音 を 表 記 す る の が 慣 行 と な っ て い る。 小 稿 で は 、 筆 者 も こ の 表 記 法 に 従 って い る 。
(4)話 者 は 、 こ こ で は 女 性 の 占 い 師(chepsczgeiyot)の こ と を 述 べ て い る 。 しか し、 次 節 で はor‑
koiyot、 つ ま り 男 性 の 占 い 師 と い う語 を 用 い て い る 。 文 脈 を 辿 れ ば 、 話 者 が 女 占 い 師 を 指 す 別 の 単 語 で あ るcheporkoiyatの 女 性 接 頭 辞chepを 偶 然 付 け 忘 れ た こ と は 明 白 。 そ れ ゆ え 、 小 稿 は い ず れ も 「占 い 師 」 と い う語 を 用 い て 翻 訳 して い る 。
(5)こ こ で は、 話 者 は 、 ま だ キ プ シ ギ ス 文 化 に よ く通 じ て い な か っ た 私 を 意nし て 、 括 弧 内 の 言 葉 を 補 足 し て い る。
(6)レ ヴ ィ=ス ト ロ ー ス は 、 「解 答 が 存 在 し な い 質 問 」 と近 親 相 姦 の 連 関 と い う視 点 か ら物 語 の こ の 部 分 に 着 目 し て 、 複 雑 で 含 蓄 に 富 む 議 論 を 粘 り強 く展 開 して い る[1967]。
ス フ ィ ン ク ス が オ イ デ ィ プ ス に 掛 け た 謎 々 は 、 「生 ま れ た 時 に は 四 本 脚 で 、 や が て 二 本 脚 に な り、 っ い に は 三 本 脚 に な る も の は?」(解 答 は 人 間)と も 、 ま た 「姉 が 妹 を 産 み 、 妹 が 姉 を 産 む 。 これ 何 か?」(解 答 は 昼 と 夜)と も言 わ れ て い る 。 も し前 者 だ と す れ ば 、 解 い て は な ら な い 「解 答 の 存 在 し な い 質 問 」 と は 、 人 間 そ の も の だ と い う こ と に な る だ ろ う。 そ れ を オ イ デ ィ プ ス は 解 い て(開 示 して)し ま っ た の だ 。
な お 、 コ ク トオ に も 、 そ う した 「オ イ デ ィ プ ス の 謎 」 観 が あ っ た よ う に 思 わ れ る 一 一 注 (12)参 照 。
(7)さ ら に 、 ジ ラ ー ル の(生 理 的 な 欲 求 で は な い 社 会 的 な)欲 望 と は 「モ デ ル=ラ イ バ ル 」 の 欲 望 を 模 倣 す る が ゆ え に 生 起 す る もの だ と い う理 論(「 モ デ ル=ラ イ バ ル 」 論)も ま た 、 オ イ デ ィプ ス物 語 に垂 感 を与 え られ て い る と見 て 誤 る ま い。
(8)た だ し、 後 で 問題 にす るよ うに、 そ の運 命 に親 が抗 す る か ど うか とい う重 要 な点 で 、両 者
の 間 に は大 き な 差 異 も存 在 して い る。
(9)た と え ば 、 和 泉 式 部 が 沢 の 蛍 を 呼 ん だ 有 名 な 歌 を 想 起 す れ ば 、 よ く騎 に 落 ち よ う 。
(10)澁 澤 龍 彦 の 二 十 代 末 の 訳 文[コ ク トオ1996]よ り も、 先 行 す る 山 川 篤 の 別 訳[コ ク トー 1953ユ の 方 が 、 こ の 部 分 で は 小 稿 の 趣 旨 を よ く伝 え る の で 、 そ の 訳 を 採 用 し た 。
(11)こ れ と よ く似 た 事 態 は 、 他 の 領 域 に も 見 られ る。7枚 の 形 の 異 な る 板 を 組 み 合 わ せ て 遊 ぶ
「知 恵 の 板 」(tangram)を 多 く の 辞 書 は 、 中 国 起 源 だ と 説 明 し て い る 。 つ ま り 、 タ ン (Tan)と い う 中 国 人 の 創 案 に か か る と い う わ け だ が 、 西 欧 人 の 工 夫 に よ る も の と 考 え る の が 妥 当 の よ う だ 。
(12)た だ し 、 同 工 異 曲 の 話 を 自 著 に 載 せ て い る と い う事 実 は 、 両 者 の 人 生 観 が 似 通 っ て い る こ と を 保 証 す ま い 。 ボ ー ド リ ヤ ー ル は 、 「サ マ ル カ ン ドに 死 す 」 に 触 れ て 自 分 の 人 生 観 を 直 に 披 渥 して は い な い 。 一 方 コ ク トオ(コ ク トー)は 、 イ ス パ ハ ン の 死 神 の 話 の 直 前 で 、 次 の よ う に 述 べ て い て 、 興 味 深 い 。 「わ れ わ れ の 入 生 の 地 図 は 折 り た た ま れ て い る の で 、 中 を っ ら ぬ く一 本 の 大 き な 道 は 、 わ れ わ れ に は 見 る こ と が で き な い 。 だ か ら、 地 図 が 開 か れ て ゆ く に つ れ て 、 い っ も新 し い 道 が 現 れ て く る よ う な 気 が す る 。 わ れ わ れ は そ の 都 度 道 を 選 ん で い る つ も り な の だ が 、 本 当 は 選 択 の 余 地 な ど あ ろ う は ず が な い の で あ る」[コ ク トオ 1996:21ユo
コ ク ト ー の こ の 見 解 は 、 作 田 啓 一 の 「美 学 的 法 則 」 の よ う に ア イ ロ ニ ー を 強 調 す る よ り は 、 む し ろ ペ ー ソ ス に訴 え る よ う に 見 え る。 し か も 、 「地 図 」 を 「謎 々 」 に 置 き換 え る と す れ ば 、 「人 間 と は?」 と い う 「解 答 の 存 在 し な い 質 問 」 の 話 に な ろ う。 そ して 、 「答 え て は な ら な い 問(謎 々)」 に 答 え た が ゆ え に 「存 在 し て は な ら な い 解 答 」、 あ る い は 「答 の な い 答 」 と し て の 人 間 が 浮 上 し て き た と い う こ と が で き よ う か 。 こ の 点 で 、 コ ク トー の 人 生 観
に は 、 レ ヴ ィ=ス トロ ー ス の(上 記 注(6)の)発 想 に 通 じ る 面 が あ る と言 え よ う か 。 (13)日 本 の 民 俗 社 会 で は、 女 性 が 初 潮 を 見 る 年 齢 を 数 え 年 の 十 三 歳 と 考 え る の が 一 般 的 だ っ た 。
男 性 も そ れ と軌 を 一 に して こ の 年 に 成 年 し、 「十 三 の ヘ コ カ キ 」 と い って 、 祝 い の 真 っ赤 な 揮 を 着 け た 。 一 方 女 性 は 、 真 っ 赤 な 湯 文 字 を 身 に 着 け た の で あ る 。
(14>な お 、 「駒 引 き 」 と も呼 ば れ る 猿 が 、 特 に 九 州 を 中 心 に 今 日 の 河 童 像 が 形 成 さ れ る過 程 で き わ め て 有 力 な イ メ ー ジ を 提 供 し た こ と は 、 既 に 別 に 論 じた[小 馬1996b、2006:162]。
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