6-2-4.IFN
B. 治療効果不良(HBV DNA 陽性)例 *2
126
*1 国内・海外臨床試験が施行されていない治療法は( )で括った。
*2 核酸アナログ投与中の治療目標はHBV DNA陰性化である(治療開始後12か月以降に判 定)。治療開始後12か月時点でHBV DNAが陰性化していない場合には、HBV DNAが減少傾 向であれば、ETV、TDF、TAFについては治療を継続するが、減少傾向がなければ治療薬を変更 する。特にHBV DNA量 2,000 IU/mL (3.3 LogIU/mL)以上では治療薬を変更すべきである。治
療中にHBV DNAが1.0 LogIU/mL以上上昇するブレイクスルーでは迅速に治療薬を変更する。
いずれの場合も服薬アドヒアランスが保たれていることを確認する必要がある。
*3 耐性変異出現の可能性を考慮し、ETV(レベル1b、グレードA)あるいはTAF(レベル6、グレ
ードA)への切り替えが推奨される。
*4 長期的な副作用出現の可能性を考慮し、TDFからTAFへ切り替えることも選択肢となる(レ
ベル2a、グレードB)。腎機能障害、低P血症、骨減少症・骨粗鬆症を認める場合は、TAFへの
切り替えが推奨される(レベル2a、グレードA)。
*5 長期的な副作用出現の可能性を考慮し、ADV併用やTDF併用からTAF併用へ切り替える ことも選択肢となる(レベル2a、グレードB)。腎機能障害、低P血症、骨減少症・骨粗鬆症を認め る場合は、TAF併用への切り替えが推奨される(レベル2a、グレードA)。
*6 TAF併用の臨床試験は行われていない(レベル6、グレードC1)。
*7 国内臨床試験は行われていないが、海外でのETV耐性例に対する臨床試験においてTDF
単剤とETV+TDF併用の効果が同等であることが示されている(レベル1b、グレードA)。
*8 TDFあるいはTAF治療効果不良例に対するETV単剤、ETV+TDFないしETV+TAF併用の 臨床試験は行われていない (レベル6、グレードC1)。
*9ADVとTDFには交叉耐性があり、ETV耐性例に対するTDFを含むレジメンの海外臨床試験
において、ADV既治療例では抗ウイルス効果が減弱したことから、TDF単剤ではなくTDF併用を 推奨する(レベル4、グレードB)。
*10 TAFの効果はTDFと同等であることが示されているため、TAFについても単剤ではなく併用
を推奨する(レベル6、グレードB)。
*11 LAM+TDF併用の治療効果不良例に対するETV+TDF併用やETV+TAF併用の臨床試験は
行われていない (レベル6、グレードC1)。
*12 ETV+TDF併用で治療効果不良である場合、現時点で明らかに有効な代替治療法はない。
127 資料3 免疫抑制・化学療法により発症する
B
型肝炎対策ガイドライン補足:血液悪性疾患に対する強力な化学療法中あるいは終了後に、HBs抗原陽性あるいはHBs抗原 陰性例の一部においてHBV再活性化によりB型肝炎が発症し、その中には劇症化する症例があり、
注意が必要である。また、血液悪性疾患または固形癌に対する通常の化学療法およびリウマチ性疾 患・膠原病などの自己免疫疾患に対する免疫抑制療法においても HBV 再活性化のリスクを考慮して 対応する必要がある。通常の化学療法および抑制療法においては、HBV 再活性化、肝炎の発症、劇 症化の頻度は明らかでなく、ガイドラインに関するエビデンスは十分ではない。また、核酸アナログ投 与による劇症化予防効果を完全に保証するものではない。
注 1) 免疫抑制・化学療法前に、HBV キャリアおよび既往感染者をスクリーニングする。まず HBs抗 原を測定して、HBV キャリアかどうか確認する。HBs 抗原陰性の場合には、HBc 抗体および HBs 抗体を測定して、既往感染者かどうか確認する。HBs 抗原・HBc 抗体および HBs 抗体の測定は、
高感度の測定法を用いて検査することが望ましい。また、HBs 抗体単独陽性(HBs 抗原陰性かつ HBc抗体陰性)例においても、HBV再活性化は報告されており、ワクチン接種歴が明らかである場 合を除き、ガイドラインに従った対応が望ましい。
注 2) HBs 抗原陽性例は肝臓専門医にコンサルトすること。また、すべての症例において核酸アナロ
グの投与開始ならびに終了にあたって肝臓専門医にコンサルトするのが望ましい。
注3) 初回化学療法開始時にHBc抗体、HBs抗体未測定の再治療例および既に免疫抑制療法が開 始されている例では、抗体価が低下している場合があり、HBV DNA 定量検査などによる精査が望 ましい。
128 注4) 既往感染者の場合は、リアルタイムPCR法によりHBV DNAをスクリーニングする。
注5)
a. リツキシマブ(±ステロイド)、フルダラビンを用いる化学療法および造血幹細胞移植: 既往感染 者からの HBV再活性化の高リスクであり、注意が必要である。治療中および治療終了後少なく とも12か月の間、HBV DNAを月1回モニタリングする。造血幹細胞移植例は、移植後長期間の モニタリングが必要である。
b. 通常の化学療法および免疫作用を有する分子標的治療薬を併用する場合: 頻度は少ないなが ら、HBV再活性化のリスクがある。HBV DNA量のモニタリングは1~3か月ごとを目安とし、治療 内容を考慮して間隔および期間を検討する。血液悪性疾患においては慎重な対応が望ましい。
c. 副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制薬、免疫抑制作用あるいは免疫修飾作用を有する分子標的治 療薬による免疫抑制療法: HBV再活性化のリスクがある。免疫抑制療法では、治療開始後およ び治療内容の変更後(中止を含む)少なくとも6か月間は、月1回のHBV DNA量のモニタリング が望ましい。なお、6か月以降は3か月ごとのHBV DNA量測定を推奨するが、治療内容に応じ て高感度HBs抗原測定(感度 0.005 IU/mL)で代用することを考慮する。
注6) 免疫抑制・化学療法を開始する前、できるだけ早期に核酸アナログ投与を開始する。ことに、ウ イルス量が多いHBs抗原陽性例においては、核酸アナログ予防投与中であっても劇症肝炎による 死亡例が報告されており、免疫抑制・化学療法を開始する前にウイルス量を低下させておくことが 望ましい。
注7) 免疫抑制・化学療法中あるいは治療終了後に、HBV DNA量が20 IU/ml(1.3 LogIU/ml)以上に なった時点で直ちに核酸アナログ投与を開始する(20 IU/ml未満陽性の場合は、別のポイントでの 再検査を推奨する)。また、高感度 HBs 抗原モニタリングにおいて 1 IU/mL 未満陽性(低値陽性)
の場合は、HBV DNAを追加測定して20 IU/ml以上であることを確認した上で核酸アナログ投与を 開始する。免疫抑制・化学療法中の場合、免疫抑制薬や免疫抑制作用のある抗腫瘍薬は直ちに 投与を中止するのではなく、対応を肝臓専門医と相談する。
注8) 核酸アナログは薬剤耐性の少ないETV、TDF、TAFの使用を推奨する。
注9) 下記の①か②の条件を満たす場合には核酸アナログ投与の終了が可能であるが、その決定に ついては肝臓専門医と相談した上で行う。
①スクリーニング時にHBs 抗原陽性だった症例では、B型慢性肝炎における核酸アナログ投与終 了基準を満たしていること。②スクリーニング時に HBc 抗体陽性または HBs 抗体陽性だった症例 では、(1)免疫抑制・化学療法終了後、少なくとも12か月間は投与を継続すること。(2)この継続期間
中にALT(GPT)が正常化していること(ただしHBV以外にALT異常の原因がある場合は除く)。(3)
この継続期間中にHBV DNAが持続陰性化していること。(4)HBs抗原およびHBコア関連抗原も持 続陰性化することが望ましい。
注10) 核酸アナログ投与終了後少なくとも12か月間は、HBV DNAモニタリングを含めて厳重に経過 観察する。経過観察方法は各核酸アナログの使用上の注意に基づく。経過観察中にHBV DNA量 が20 IU/mL(1.3 LogIU/mL)以上になった時点で直ちに投与を再開する。
129 資料4 添付文書上
B
型肝炎ウイルス再活性化について注意喚起のある薬剤(2017年
5
月現在)薬効分類 一般名 商品名
免疫抑制薬
アザチオプリン
アザニン錠50mg イムラン錠50mg
エベロリムス サーティカン錠0.25mg、0.5mg、0.75mg シクロスポリン
サンディミュン点滴静注用250mg ネオーラル内用液10%
ネオーラルカプセル10mg、25mg
タクロリムス水和物
グラセプターカプセル0.5mg、1mg、5mg プログラフカプセル0.5mg、1mg、5mg プログラフ顆粒0.2mg、1mg
プログラフ注射液2mg、5mg ミコフェノール酸モフェチル セルセプトカプセル250 ミゾリビン ブレディニン錠25、50
抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン サイモグロブリン点滴静注用25mg グスペリムス塩酸塩 スパニジン点滴静注用100mg バシリキシマブ(遺伝子組換え)
シムレクト静注用20mg シムレクト小児用静注用10mg 副腎皮質
ステロイド薬
コルチゾン酢酸エステル コートン錠25mg デキサメタゾン
デカドロン錠0.5mg レナデックス錠4mg
デカドロンエリキシル0.01% デキサメタゾンパルミチン酸エステル リメタゾン静注2.5mg デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム
デカドロン注射液1.65mg、6.6mg デキサート注射液1.65mg
トリアムシノロン レダコート錠4mg
トリアムシノロンアセトニド
ケ ナ コ ル ト-A 皮 内 用 関 節 腔 内 用 水 懸 注 50mg/5mL
ケ ナ コ ル ト-A 筋 注 用 関 節 腔 内 用 水 懸 注 40mg/1mL
フルドロコルチゾン酢酸エステル フロリネフ錠0.1mg プレドニゾロン
プレドニゾロン錠1mg、5mg プレドニゾロン散0.1%
プレドニゾロンリン酸エステルナトリウム プレドネマ注腸20mg