• 検索結果がありません。

民間の IT 企業が実施する IT 教育

ドキュメント内 Microsoft Word - 本文_決裁版_ (ページ 31-34)

2. コソボ国 IT 分野の課題

2.4 既存の IT 分野の教育機関

2.4.4 民間の IT 企業が実施する IT 教育

民間の IT 企業は本業であるハードウエアやソフトウエアの販売・保守、ソフトウエア開発、

コンサルテーション、ネットワークサービスなどの本業の他に IT 教育を実施している企業が 多い。これらの企業はほとんどが大手の企業である。コソボには IT 関連産業では唯一の工業

会である STIKK 呼ばれる協会があり、会員数は現在は 65 社から構成されている。そのうち、

約 20 社はソフトウエアの開発企業、通信回線のキャリア、ISP38の供給、テレビ会社などで あるがこれらの大手企業がIT教育を実施しているケースが多い。

(2) IT関連の教育

民間の IT 企業が実施している IT 教育は大別すると二つに分けることができる。一方は

38ISP: Internet Service Provider。インターネット接続業者。電話回線、ADSL回線、データ通信専用回線などを 通じて、企業や家庭のコンピューターをインターネットに接続する。

ICDLを中心としたパソコンの基本概念と「Word」や「Excel」などのアプリケーションソフ トウエアの操作教育を実施する企業、他方は ICDL の他に「Oracle」や「SQLサーバー」な どの DBMS39用ソフトウエアの設計と開発構築、並びに CISCO の CCNA や CCNP などの IT プロフェッショナルと呼ばれる技術者の要請も同時に並行して行う企業である。前者は比 較的中小規模の IT 企業が多く、後者は STIKK の会員の中でも事業内容、社員数、会社規模 などでは大手に属する企業が多い。

以下、特にこれら後者のIT企業が実施しているICDL以外の教育カリキュラムについて述 べる。

(3) 教育カリキュラム

1) データベース(RDBS40)技術の教育

コソボにおける RDBS 市場は大別すると 3種類に分けることができる。シェアの大きさの 順番から言うと、まずMicrosoft 社の「SQLサーバー」が挙げられ、市場の約 95%を占めて いる。これは同国政府がMicrosoft社のソフトウエア製品を使用するにあたっての特別ライセ ンス契約を結んでいることが主な理由として挙げられる。

次に挙げられるのがOracle社の「Oracle」(現在のバージョンは 11G。)である。コソボ

の Oracle のユーザー数は明確な数字は公表されていないが、10 社は超えないと言われてい

る。それらのユーザーも政府系がほとんどで関税事務所、財務省傘下の税務署、中央銀行、

空港運営会社41で、多くても 10 ユーザーである。政府が Microsoft 社と特別なライセンス契 約を持ちながら「Oracle」のユーザーが政府系機関に多いのは Microsoft 社と同国政府が特 殊なライセンス契約を結ぶ以前に各ドナーからの援助により、「Oracle」が導入されたから である。「Oracle」はソフトウエアの使用料(ライセンス費用)が高いうえに、バージョン アップが頻繁に行われ、かつ古いバージョンに対してはソフトウエアの保守を行わないとい う姿勢を持っていたために、ユーザー離れが多い傾向にあった。しかし、Oracle 社がハード ウエアのメーカーであるサンマイクロシステムズ社を買収し、Oracle をコンパクトにしたこ とからユーザー数も順調に増加はしている。

3番目のカテゴリーとしてオープンソース42として使用できるRDBSがある。主な製品とし て「MySQL」が挙げられるが、これは商用化しなければ無料で自由に使用できるというメリ ットもあり、大学などで使用されるケースが多い。

39DBMS: Database Management System

40RDBS: Relational Database System。リレーショナルデータベースシステム。またはソフトウエアを指すこ ともある。

41民間企業が政府から買収して民営化された。

42ソフトウェアのソースコードを、インターネットなどを通じて無償で公開し、誰でもそのソフトウェアの改良、

再配布が行えるようにすること。また、そのようなソフトウェアを指していう。

コソボにおいてはこれらの RDBS の設計や開発構築に必要な人材教育は主に IT 企業が実 施している。特に「SQL サーバー」と「Oracle」については大手の IT 企業が講座を設け、

主に既存のユーザーに対する教育研修を実施している。これらの RDBS ソフトウエアについ てはこれからもユーザーが増加すること、開発するデータベースシステムも巨大化していく ことなどから特に優秀な技術者を必要としており、現在でも約 300 人程度の人材が不足して いるとのことである。AUK など、一部の大学もこれらのソフトウエアの技術者の必要性を認 めており、今後はカリキュラムの一つとして導入を検討している。因みに Oracle の技術者は その資格レベル毎にシルバー、ゴールド、プラチナとそれぞれ認定証が与えられるが、コソ ボではプラチナの認定証を持っている技術者は一人もいないとのことで、必要になった場合 は隣国のルーマニアやブルガリアの IT 企業に委託して人材を派遣してもらうケースもあると いう。

2) ネットワーク(CISCOシステムズ社)技術の教育

「SQL サーバー」や「Oracle」の技術者同様に優秀な人材が不足している分野が、ネット ワーク関連の機材やソフトウエアを供給しているCISCO社の認定する技術者である。前節で 述べたRDBSの技術者を養成しているIT企業においては、ほとんどの企業がCISCO社の技 術者養成講座を設けており、講座の終了者に対しては認定証を発行している。CISCO 社の技 術者認定コースはエントリーレベルからエキスパートレベルまで多様な技術者の分野があり、

コソボでは主にその第二段階であるアソシエイトレベル(CCNA43)の技術者を育成する講座 が IT企業内で設けられている。これらの IT 企業は Cisco 社のラーニングパートナーとして 認定を受けている。

また、CCNAの研修はこれらIT企業のみならず、AUKやDon Boskoなどの大学や職業訓 練学校でも強化研修コースの一環として開催されている。IT 企業やこれらの大学、職業訓練 学校での講座授業料はほぼ一定であり、研修期間が違うのみである。

3) その他の教育

同国の IT企業が実施しているIT教育はこれまで述べたカリキュラム以外に、Web 開発に 必要な言語である「PHP」のプログラミング言語教育、Microsoft 社の総合的な開発環境であ る 「.Net」 や 「C#」 の 教 育 、 構 造 物 設 計 ソ フ ト ウ エ ア の 事 実 上 の 標 準 と な っ て い る

「AutoCAD」の操作などが挙げられる。

(4) 就職支援の取り組み状況

IT 企業で実施しているこれらの各カリキュラムコースへの参加者は半分以上が既に一般企

43CCNA(Cisco Certified Network Associate)の略称で認定分野毎にルーティング・スイッチング、デザイン、

ネットワークセキュリティ、サービスプロバイダー、サービスプロバイダー・オペレーション、ストレージ・

ネットワーキング、ボイス、ワイヤレスに認定分野が分かれている。

業または政府関連機関の従業員やスタッフであり、いわゆるこれら企業団体の社内研修の外 部委託という形で実施されている場合がほとんどである。従って、研修を実施している IT 企 業が就職支援をしているというケースは非常に少ない。また、研修を受けている職を持たな い生徒の中で優秀な人材がいる場合は研修を実施した IT 企業が自社で採用するケースが多い。

大学や高等職業訓練学校で実施している研修を受けた生徒に対しては実施機関独自の就職 斡旋方法があり、これらのしくみについては2.4.3節で既に述べた。

ドキュメント内 Microsoft Word - 本文_決裁版_ (ページ 31-34)

関連したドキュメント