5年間死亡者
表 7− 2 世 帯 主 の 年 齢 階 級 別1世 帯 あたり家 計 資 産 額 (2人 以 上 の 一 般 世 帯 )
(
1999
年 )(単 位 :万 円 )
出 所:総 務 省 統 計 局『全 国 消 費 実 態 調 査』
1999
年 版より作成。この 1世 帯 あたり家 計 資 産 額 に 表 7− 1で 求 めた 1年 あたり死 亡 者 数 を乗 じ、死 亡 者 全 体 の 資 産 額 (課 税 ベ ー ス)を算 出 した上 で 、仮 に 課 税 ベ ー スに1% の 遺 産 税 を 一 律 課 税 した場 合 の 税 収 を推 計 したものが表 7− 3である。これによると、
40
歳 代 以 降 の世 代 の 死 亡 者 に1% の一 律 課 税 した場 合 の税 収 は5,857
億 円 と推 計 される。ま た 、表 7− 4は 近 年 の 相 続 税 収 とその相 続 税 収 が 国 税 収 入 に 占 め る割 合 を時 系 列 に 示 したものであるが 、1% 一 律 課 税 した場 合 の税 収5,857
億 円 は2000
年 の 相 続 税17,822 2000 508,125 1.2
収 億 円 の約 3分 の 1に相 当 し、また 年 の 国 税 収 入 億 円 の約
% に相 当 することがわかる。
表 7− 3 死 亡 者 全 体 の 資 産 額 (課 税 ベ ー ス)と1% の 一 律 課 税 した 場 合 の 結 果
(単 位 :億 円 ) 死亡者全体の 1%一律課税
資産額 の税収
40 〜 44 1,506 15
45 〜 49 6,163 62
50 〜 54 17,622 176
55 〜 59 18,758 188
60 〜 64 27,675 277
65 〜 69 46,941 469
70 〜 74 68,847 688
75 〜 79 75,664 757
80 〜 84 93,701 937
85 228,863 2,289
585,740 5,857 歳 以 上
40歳以上合計
金融資産 住宅資産 宅地資産 耐久消費財 資産
1世帯あたり 家計資産額 40歳代 278.8 689.4 2254.7 198.6 3,422 50歳代 1049.5 673.3 3048.5 224.3 4,996 60歳代 1919.9 623.2 3610.6 204 6,358 70歳以上 2051.7 600.6 4164.4 130.5 6,947
85
)2045
年における40
歳 以 上44
歳 以 下の世代、2050
年における40
歳 以 上44
歳 以 下 の世代 と45
歳 以 上49
歳 以 下 の世代 については 、2005
年 現 在 まだ出 生していない 世代 であり、これらの 世代 については 、国 立 社 会 保 障 ・人 口 問 題 研 究 所 『日 本の将 来 推 計 人 口 』平 成14
年1月 推 計の「男 女 年 齢 各 歳 別 人 口(中 位 推 計 )」の 年におけるこれらの 世代 の推 計 人 口 (つまり、 歳以上 歳 以 下の世代と 歳以上 歳以下 の世 代)2040 30 34 35 39
2040 2045 2045
に、「男 女 年 齢 別 将 来 生 命 表」の 年及び 年におけるこれらの 世代 の死 亡 率 を乗ずることにより、
年 及び
2050
年の過去 5年間の死 亡 者 合 計 及び1年あたり死亡者 を求めた。表 7− 4 相 続 税 収 と国 税 収 入 の 構 成 比
出所:財務省 『財 政 金 融 統 計 月 報 (租 税 特 集 )』各年版 より作成 。
7.1.2 現 行 税 制 を維 持 した上 で1% 一 律 課 税 した場 合 の 税 収 予 測
ここでは、現 行 の 法 定 相 続 分 課 税 方 式 による遺 産 取 得 課 税 方 式 を維 持 した上 で 別 途 1% 一 律 課 税 した 場 合 の 将 来 の 税 収 予 測 を行 う。まず 、7.1.1で 利 用 した 年 時 点 の 人 口 構 造 の デ ー タをもとに 、各 世 代 に国 立 社 会 保 障 ・人 口 問 題 研 究
2000
所 『日 本 の 将 来 推 計 人 口 』平 成
14
年 1月 推 計 の 「男 女 年 齢 別 将 来 生 命 表 」の 死 亡 率 を乗 じていくことにより、2005
年 以 降 5年 ごとの死 亡 者 合 計 か ら1年 あたり死 亡 者 を求 め る。さらに 、1年 あたり死 亡 者 に家 計 資 産 額 を乗 じ、死 亡 者 全 体 の 資 産 額 (課 税 ベ ー ス)を算 出 した上 で 、仮 に 課 税 ベ ー スに1% の遺 産 税 を一 律 課 税 した場 合 の 税 収 を推 計 す る。なお 、家 計 資 産 額 に つ い て は 、各 世 代 が 将 来 に わ た り、表 7− 2 の 世 帯 主 の年 齢 階 級 別 1世 帯 あたり家 計 資 産 額 のまま資 産 形 成 していくものと想 定 す る 。表 7− 5は85)2005
(平 成17
)年 の 推 計 結 果 であり、図 7− 1は2050
(平 成62
) 年 までの推 計 結 果 を時 系 列 にまとめたものである。相続税収 国税収入 の構成比
(億円) (%)
1992 H4 27,462 5.0 1993 H5 29,377 5.4 1994 H6 26,699 5.2 1995 H7 26,903 5.2 1996 H8 24,199 4.7 1997 H9 24,129 4.5 1998 H10 19,156 3.9 1999 H11 18,853 4.0 2000 H12 17,822 3.5 2001 H13 16,745 3.5 2002 H14 14,529 3.3
表 7− 5 1年 あたり死 亡 者 、死 亡 者 全 体 の 資 産 額 と1 % の 一 律 課 税 した 場 合 の 結 果
(平 成 )年
2005 17
(単 位 :死 亡 者 は 人 、死 亡 者 全 体 の 資 産 額 と1% 一 律 課 税 は 億 円 )
図 7− 1 1% 一 律 課 税 の 税 収 推 移
7.2 分 析 の 結 果 を踏 まえて
1年 あたり死 亡 者 は
2040
年 の 約177
万 人 をピ ー クに 減 少 するが 、これ に伴 って1% 一 律 課 税 の 税 収 も同 年 の 約 1兆
2,000
億 円 をピ ー クに 除 々 に 減 少 す る。こ れ は 年 現 在 の 人 口 構 造 のうち 、最 も多 くの割 合 を占 め て い る 歳 以 上 歳 以 下 の2005 55 59
世 代 が
2040
年 に は90
歳 以 上 となっており、死 亡 す る確 率 が 高 まること、さらに、こ れ 以 降 の 世 代 は 少 子 化 の影 響 で 人 口 が 少 なくなっており、ひ い て は 一 律 課 税 したと しても税 収 が 伸 び 悩 む ことになるからである。た だ し、
2005
年 現 在 で1% 一 律 課 税 すると約5,000
億 円 の増 収 で1% 以 上 の国 税 収 入 が増 大 することとなり、2040
年 に は 倍 以 上 の 約 1兆2,000
億 円 の 増 収 が 期 待 で きるのであれば、有 力 な財 源 調 達 手 段 と考 えることができるのではないだろうか 。5年間 1年あたり 死亡者全体 の 1%一律課税
死亡者合計 死亡者 資産額 の税収
40 〜 44 8,079,140 35,725 7,145 0.000884 2,445 24 45 〜 49 7,748,487 51,732 10,346 0.001333 3,540 35 50 〜 54 8,822,145 93,863 18,773 0.002123 9,378 94 55 〜 59 10,265,019 176,971 35,394 0.003436 17,681 177 60 〜 64 8,521,930 212,242 42,448 0.004956 26,987 270 65 〜 69 7,462,125 273,708 54,742 0.007283 34,803 348 70 〜 74 6,725,553 380,386 76,077 0.011185 52,852 529 75 〜 79 5,443,242 457,334 91,467 0.016526 63,544 635 80 〜 84 3,683,228 467,372 93,474 0.024750 64,938 649 85 3,354,158 1,493,879 298,776 0.081791 207,566 2,076 70,105,028 3,643,211 728,642 483,735 4,837
総数
歳 以 上
死亡率
40歳以上合計
0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000
2000年 2005年 2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年 2045年 2050年 税
収
︵
億 円︶
む す び
本 稿 では 、相 続 税 及 び 贈 与 税 に つ い て、現 行 税 制 の 持 つ 問 題 点 を明 らかにして きた。また、資 産 分 布 の 状 況 を確 認 し、近 年 の 資 産 格 差 の 傾 向 に つ い て、各 種 統 計 デ ー タを用 い て分 析 を行 ってきた。その 上 で 、少 子 高 齢 化 の 進 展 を考 慮 し、今 後 の 相 続 税 及 び 贈 与 税 のあり方 に つ い て考 察 を行 ってきた 。
得 られた結 論 は 以 下 の 通 りである。第 一 に 、わ が 国 の 相 続 税 の 課 税 最 低 限 は バ ブ ル 期 に 行 わ れ た 減 税 政 策 が 継 続 さ れ た結 果 、現 在 も高 水 準 であり、一 部 の 資 産 家 にしか 課 税 されていないことが 沿 革 を辿 ることによりわかった 。また、実 物 資 産 を 優 遇 す る政 策 (小 規 模 宅 地 等 の 特 例 )を展 開 しているために、実 物 資 産 と金 融 資 産 との 間 で の取 り扱 い の不 平 等 が 生 じており、その 格 差 は 最 大 で
12.5
% (現 行 税 制 に お け る両 資 産 の実 効 税 率 を規 模 別 に50
億 円 まで 比 較 した場 合 )にのぼることも明 ら かになった 。以 上 より、現 行 税 制 は 資 源 配 分 にゆがみをもたらす 税 制 となっており、問 題 である。
第 二 に、近 年 は 地 価 下 落 の影 響 を受 け 、資 産 格 差 が全 体 的 に 縮 小 傾 向 にあるこ とが明 らかになった 。しかし今 後 、少 子 高 齢 化 が 進 展 すると、一 人 あたりが 受 け取 る 遺 産 額 が 従 前 より大 きくなる可 能 性 があり、個 人 の能 力 とは 別 に 資 産 格 差 が拡 大 す る恐 れがある。ストック面 での資 産 格 差 を是 正 するには 相 続 税 や 贈 与 税 しかないが、
現 行 の税 制 のままでは 、この格 差 拡 大 を是 正 することは 困 難 であると考 えられる。
第 三 に 、経 済 学 の 観 点 か ら、世 代 間 移 転 により経 済 成 長 が 起 こることが 井 堀
(
1993
)やJones and Manuelli
(1990
)の先 行 研 究 よりわかった。一 方 、相 続 税 は 経 済 成 長 に対 して負 の 影 響 を及 ぼ す が、その影 響 は小 さいと思 われることも井 堀 (1993
) や 橋 本 (2001
)の 先 行 研 究 よりわかった。第 四 に 、高 齢 化 によって死 亡 者 数 が 今 後 増 加 することから、相 続 税 及 び 贈 与 税 を 有 力 な財 源 手 段 として捉 え、現 行 税 制 を維 持 した上 で別 途 1% の 一 律 課 税 を行 った 場 合 の将 来 の税 収 予 測 をシミュレーション 分 析 した結 果 、
2005
年 現 在 で 約5,000
億 円 、2040
年 には 約 1兆2,000
億 円 の 増 収 が 期 待 できることが 明 らかとなり、有 力 な財 源 調 達 手 段 と考 えられることがわかった。これら四 つ の 結 論 に 今 後 の 少 子 高 齢 化 の 進 展 を勘 案 すると、相 続 税 制 に つ い て は 、世 代 間 移 転 を促 進 さ せ る一 方 、課 税 最 低 限 を引 き下 げ 、税 率 の 累 進 性 を緩 和 し、小 規 模 宅 地 等 の 特 例 の水 準 を見 直 し、広 く薄 く課 税 していくべきである。また、
社 会 保 障 と相 続 及 び 贈 与 の 概 念 を組 み 合 わせることにより、少 子 高 齢 化 時 代 の問 題 を解 決 できる可 能 性 があることもわかった。
しかし、本 稿 で は あ る べ き税 制 を具 体 的 に 提 示 するまでには至 らなかった。課 税 最 低 限 の水 準 や 税 率 の 累 進 度 、小 規 模 宅 地 等 の特 例 などの 水 準 に つ い て、どの程 度 が適 正 であるかといった制 度 設 計 をしていくことは 不 可 欠 である。
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