5.1 シミュレーションのセットアップ
5.1.1 正しい位置にミラーがある場合の Cherenkov 角分布
始めに正しい位置にミラーがある場合のCherenkov角分布について図5.3へ示す。ピーク部を正規分布で フィットしたときのmanの値は(0.99993±0.00003)、σは(0.4085±0.003)×10−2となっている。ARICH 検出器ではCherenkov角を再構成する際に、光子が直接HAPDへ入射した場合とミラーにヒットした場合と 1つの光子に対し複数再構成されている。本研究ではミラーにヒットしたと仮定され再構成された光子のみを 用いている。
図5.3 ミラーが正しい位置にある場合のCherenkov角分布
5.1.2 R 方向へのミラーの位置ずれのシミュレーション
ミラーがR方向へずれた場合を考える。+R(外側)へずれた時の概念図を5.4へ示す。+R方向へずれ た際、光子のヒット位置は正しい位置にある場合より外側になる。そのためチェレンコフ角は本来より小さく 再構成されると予測される。同様にして-R(内側)へ移動した際は光子のヒット位置が本来の位置より内側に
なるためCherenkov角は大きく再構成されると予測される。
図5.4 ミラーが+R方向(外側)へずれたときの概念図。外側にずれるとチェレンコフ角は小さく再構 成されると予測される。
以下に+R方向へミラーの位置を移動させたもののシミュレーション結果を示す。ヒストグラムは縦軸
がncosθc、横軸がミラーのφとなっている。+R方向へ移動させた際はChrenkov角がちいさくなるため、
ncosθcの値は大きくなると予測できる。
図5.5 R方向へ移動させたときのシミュレーション結果
次に、各2次元ヒストグラムの横軸を10分割し各スライスについて縦軸のncosθc分布をそれぞれガウス+
一次関数でフィットした際のピーク値を取ったグラフを示す。
図5.6 各2次元ヒストグラムの横軸を10分割し各スライスについて縦軸のncosθc分布をフィットした 結果のピーク値のグラフ
表5.2 各2次元ヒストグラムの横軸を10分割し各スライスについて縦軸のncosθc分布の、ピーク値を フィットした直線値と誤差
移動 直線と誤差 移動 直線と誤差 0mm 1±7.86∗10−6 3mm 1.001±7.24∗10−6 1mm 1±5.62∗10−6 4mm 1.002±8∗10−6 2mm 1±5.86∗10−6 5mm 1.004±2.39∗10−5
ミラーを+R方向へ移動させた場合φに対する有意な依存性はなく、またncosθcの平均値もミラーを大き く移動させない限りあまり変化がないことがわかった。
また同じ+R方向のシミュレーションで横軸をHAPDへ入射する際の入射角のコサインcosθに変えたシ ミュレーション結果を示す。
図5.7 R方向へ移動させたときのシミュレーション結果
次に、各2次元ヒストグラムの横軸を10分割し各スライスについて縦軸のncosθc分布をそれをガウス+
一次関数でフィットした際のピーク値を取ったグラフを示す。
図5.8 +R方向へ各2次元ヒストグラムの横軸を10分割し各スライスについて縦軸のncosθc分布を、
フィットした結果のピーク値のグラフ
表5.3 傾きと誤差
移動 傾きと誤差 移動 傾きと誤差 0mm (6.24±0.21)∗10−3 3mm (−2.82±0.02)∗10−2 1mm (−6.71±0.20)∗10−3 4mm (−4.95±0.02)∗10−2 2mm (−2.01±0.02)∗10−2 5mm (−5.74±0.02)∗10−2
+R方向へのずれが大きいほど負の傾きが大きい一次関数的にずれることが確認できた。
さらに、各移動量についてCherenkov角分布のσについても確認した。Cherenkov角分布とσの値につい て示す。R方向に位置が4mm程度ずれるとCherenkov角の広がりは正しい位置にある場合の1.8倍を超え る。チェレンコフ角の広がりは粒子識別性能に直接影響するため、数mm程度ミラーがR方向にずれた場合 は位置のアライメントが必要であると考えられる。
図5.9 各移動についてのσCherenkov角分布のFit図
表5.4 移動に対するσの値
移動 σと誤差 σと誤差
1mm (4.55±0.02)∗10−3 4mm (7.79±0.05)∗10−3 2mm (5.04±0.02)∗10−3 5mm (7.61±0.07)∗10−3 3mm (6.26±0.03)∗10−3
次に-Rへのシミュレーション結果を示す。ヒストグラムは縦軸がncosθc、横軸がミラーのφとなってい る。-R方向へ移動させた際はCherenkov角が大きくなるため、ncosθcは小さくなると予測される。
図5.10 -R方向へ移動させたシミュレーション結果
次に、各2次元ヒストグラムの横軸を10分割し各スライスについて縦軸のncosθc分布をそれをガウス+
一次関数でフィットした際のピーク置を取ったグラフを示す。
図5.11 -R方向への各2次元ヒストグラムの横軸を10分割し各スライスについて縦軸のncosθc分布を、
フィットした結果のピーク値のグラフ
表5.5 -R方向への各2次元ヒストグラムの横軸を10分割し各スライスについて縦軸のncosθc分布を、
ピーク値をフィットした直線値と誤差
移動 直線と誤差 移動 直線と誤差 0mm 1±7.86∗10−6 3mm 0.9994±7.98∗10−6 1mm 1±5.76∗10−6 4mm 0.9976±8.61∗10−6 2mm 0.9999±6.43∗10−6 5mm 0.9965±9.46∗10−6
ミラーを-R方向へ移動させた場合φに対する有意な依存性はなく、またncosθcの平均値もミラーを大きく 移動させない限りあまり変化がないことがわかった。
また同じ-R方向のシミュレーションで横軸をHAPDへ入射する際のcosθに変えたシミュレーション結果 を示す。
図5.12 -R方向へ移動させたときのシミュレーション結果
次に、各2次元ヒストグラムの横軸を10分割し各スライスについて縦軸のncosθc分布をそれぞれガウス+
一次関数でフィットした際のピーク値を取ったグラフを示す。
図5.13 -R方向への各2次元ヒストグラムの横軸を10分割し各スライスについて縦軸のncosθc分布を、
フィットした結果のピーク値のグラフ
表5.6 傾きと誤差
移動 傾きと誤差 移動 傾きと誤差 0mm (6.24±0.21)∗10−3 3mm (−2.82±0.02)∗10−2 1mm (−6.71±0.20)∗10−3 4mm (−4.95±0.02)∗10−2 2mm (−2.01±0.02)∗10−2 5mm (−5.74±0.02)∗10−2
さらに、各移動量についてCherenkov角分布のσについても確認した。Cherenkov角分布とσの値につい て示す。-R方向に位置が4mm程度ずれるとCherenkov角の広がりは正しい位置にある場合の1.8倍を超え る。チェレンコフ角の広がりは粒子識別性能に直接影響するため、数mm程度ミラーが-R方向にずれた場合 も位置のアライメントが必要であると考えられる。
図5.14 各移動についてのσCherenkov角分布のFit図
表5.7 移動に対するσの値
回転 σと誤差 σと誤差
1mm (4.60±0.02)∗10−3 4mm (8.18±0.04)∗10−3 2mm (5.53±0.02)∗10−3 5mm (9.31±0.06)∗10−3 3mm (7.17±0.04)∗10−3
各移動に対する傾きをグラフにしたものを図5.15へ示す。
図5.15 R方向への各移動のズレをパラメータ化したグラフ
ミラーがR方向にずれた場合はCherenkov角θc が期待される位置からずれることがわかった。また、
HAPDに対する光子の入射角θをパラメータとして検出できることがわかった。ncosθcの依存性は
ncosθc =αcosθc+const (5.1)
と表される。ここでα=0.00483-0.01219× R[mm]と表され、ncosθcのθ依存性を調べその傾きからミラー のR方向のずれの大き果を見積もることができることがわかった。