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次報告書を発表

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―気候変動が米国のエネルギー生産・利用に与える影響の詳細について―

米国気候変動科学プログラム(Climate Change Science Program: CCSP1)は10月18日、

「気候変動が米国のエネルギー生産および利用に与える影響の詳細について」と題する報 告書を発表した。本報告書は「統合およびアセスメント報告書」(全21回発表予定)の第 3 次報告書にあたる。米国エネルギー省(DOE)が主導した今回の報告書では、米国のエネ ルギー生産とその利用に関し、特に気候変動が影響を及ぼす可能性があるとされる分野に ついて概略を示し、さらに気候変動の影響によって生じる不確実性を研究することで、不 確実性自体が軽減される分野を明示している。

「本報告書は、米国のエネルギー分野に対する気候変動の影響の脆弱性、機会、適応可 能な対応といった諸課題を概観した、初の報告書である」と、主執筆者を務めた DOEオ ークリッジ国立研究所のトーマス・ウィルバンクスは述べる。さらに「気候変動に関心の高 い領域(水資源、農業、人体への影響等)とは違い、エネルギー分野は過去 10 年、気候 の影響に関する議論の的ではなかったことを踏まえると、今回の発表は注目に値する」と の見解を示した。

本報告書は、気候変動が米国のエネルギー分野に与える影響の範囲(米国全体の暖房需 要の減少や冷房需要の増加を含む)を明示した。気候の変化は地域や季節によって異なる が、ほぼ全ての冷房は電力供給である一方、暖房については天然ガスや燃料油等さまざま な熱源があるため、温暖化に伴い電力需要の増加が予想される。しかしながら、エネルギ ー消費に関するそれ以外の影響は、充分な情報が存在しないため、明確な予測は難しい。

エネルギー生産と供給に与える影響には、アラスカ州でのエネルギー探査、生産、輸送 に加え、巨大暴風雨の可能性や水供給の問題も含まれる。特に暴風雨の被害を受けやすい 海岸地域では、気候変動によって深刻な水害の増加がもたらされる事態が考えられる、と 本報告書は述べる。さらに、米国西部の山間部における積雪量の減少は、水力発電に利用 する水量供給の削減につながり、降水量パターンの変化は、火力発電所の冷却用水に影響 が生じる可能性もありうる、と指摘。空気や水は火力発電所の冷却に利用されるため、大 気や河川の温度上昇は冷却要求の増加をもたらし、全体的な発電効率を下げるかもしれな い、と同報告書は続けている。また、海水面の上昇は、海岸沿いの発電所建設に対し長期 的な影響を及ぼす。再生可能な代替エネルギー(太陽エネルギー、風力、バイオエネルギ

1 2002年、ブッシュ大統領によって設立された。13の連邦機関が行っている地球規模の環境変化に 関する研究を統合し、気候変動や環境システムの変化がもたらすリスクと機会に対応すべく科学 的知見を国民に提供することが目的。

ー等)に対して気候変動が将来的に及ぼす影響も、高い関心を集めているが、現状では充 分な知識が不足しており、今回の報告書では本分野での結論は示していない。

気候変動がエネルギー生産および利用に与える間接的な影響を示す研究は、様々なデー タが存在するが、同報告書は、エネルギー関連企業の投資行動におけるリスク管理戦略に も、気候変動が要因となって影響が生じることを示唆している。また、エネルギー資源や 技術の選択、研究開発への投資に対する影響も考えられる。米国のエネルギーシステムに 及ぼすその他の間接的な影響には、エネルギー価格があるが、これはエネルギー関連技術 の進歩に大きく依拠する。さらに、米国のエネルギーシステムと密接な関係をもつ諸外国 にも、影響が生じる可能性があろう。

本報告書の執筆者らは、エネルギー分野は気候変動の影響に対し脆弱であるとしている。

しかし、影響が充分早期に特定された場合、消費者や国内エネルギー需要の充足をめざす エネルギー関連企業にとって、気候変動の対策コストを最終的に低減する戦略を採用する ことで、気候変動の影響に対処していくことが可能だろうと述べている。

報告書の執筆は、いくつかの国立研究所の研究員が担当し、自らの専門知識と外部機関(エ ネルギー企業、電力会社、NGO、コンサルティング企業、州政府および市町村自治体、学 界等)の有する知識基盤を総動員した。他の報告書と同様、本報告書は発表に先立ち、技術 者による度重なる精査を受け、パブリック・コメントの期間を設け、米国気候変動科学プロ グラム省庁間委員会および国家科学技術会議(NSTC)の最終確認を経たものである。

本報告書の発行は、米国気候変動科学プログラムによる第1次、第2次報告書2に続く ものである(そのうち 1 つはエネルギー省が主導)。連邦政府は気候変動に関する科学的 知見を強化するため、残る18の報告書を来年に発表予定である。

出典:Third U.S. Climate Change Science Program Report Issued http://www.energy.gov/news/5636.htm

翻訳:京 希伊子

2 第2次報告書についてはNEDO海外レポート1008号「温室効果ガス安定化シナリオ」参照。

http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/1008/1008-03.pdf

【環境】地球温暖化対策

ドイツにおける気候変動、温暖化問題への取組

今年3月のEU首脳会議と6月のG8サミットで温暖化防止に向けた目標が設定された のに伴い、ドイツ政府は温室効果ガスの排出量を2020年までに1990年比で40%削減す るという独自の目標を設定した。

計画策定の経緯

ただし、この目標を設定するための具体的な施策については、特に経済省と環境省の間 で激しく対立し、なかなかまとまらない状態が続いていた。しかし、8月中旬にこの問題 で経済省、環境省、建設交通省、財務省の事務次官レベルの作業部会で概ね妥協が成立し た。それを経て、ドイツ政府は8月23日、今後2年間の政府の政策について協議する閣 議において今後のエネルギー気候変動計画について合意した。

計画は、エネルギーの効率利用を中心とする全体で29の項目からなるもので、2008年 から気候変動、温暖化問題に対する予算を、全体でこれまでの年間7億ユーロから26億 ユーロに引き上げることを予定している(そのうち、4億ユーロは排出権取引での証書の 売買による収入を想定)。

ガブリエル環境大臣は、今回合意された計画では予算が十分に確保されていないことか ら、40%ではなく、35~36%の削減効果しかないとしている。残りは、州や自治体レベル、

EUレベルの取り組みで削減するほか、2009年から予算をさらに引き上げることで対応す るという。

交通・民生部門にもメス

今回合意された施策で注目されるのは、現在進行している再生可能エネルギーの振興政 策とEU排出権取引を土台にして、これまでなかなか手をつけられなかった交通部門と民 生部門にメスをいれていることである。

交通部門では、自動車税がこれまで自動車に使用されているEU排ガス規格レベルに応 じて課税されていたのが、CO2排出量に応じて課税されるようになる。自家用車では、2012 年までに新車の1km当たりのCO2平均排出量が130gに制限される(現在164g)。また、

バイオ燃料の消費量が2020年までに全体の20%までに引き上げられる(EUの目標設定 に準じたもの)。さらに、これまで排出権取引の対象外となっていた飛行機と船が排出権 取引の対象に算入されるほか、飛行機の空港使用料が飛行機の温室効果ガス排出量に応じ て規定されるようになる。

民生部門では、2008年から新築建屋においてエネルギー効率をこれまでのレベルより 30%引き上げることが要求され、2012年からはさらにもう30%引き上げることが求めら れる。同時に新築建屋では、熱供給の15%を再生可能エネルギーでカバーすることが義務 付けられる。例えば、熱供給にソーラーパネルを利用すると、エネルギー効率の引き上げ

義務が15%に引き下げられる。反対に、熱供給に再生可能エネルギーを利用しないと、エ ネルギー効率の引き上げ義務が45%に引き上げられる。既存建屋では、与えられている条 件に応じてエネルギー効率を引き上げるための改造が求められる。また、夜間電力を利用 する夜間蓄熱暖房器が今後10年間の間に撤廃され、エネルギー効率のいい暖房器と交換 しなければならなくなる。

新たな対策をめぐる各界の動き

発電部門では、再生可能エネルギーによる発電の割合が2020年までに25~30%に引き 上げられる(現行の再生可能エネルギー法では25%)ほか、コージェネレーションシステ ムに対する補助を拡大して発電における割合が2020年までに約25%に引き上げられる。

当初、社用車の減価償却をCO2排出量と連動させる案と環境税の課税が免除されている 企業に対してエネルギー管理システムの導入を義務付ける案が検討されていたが、経済省 の反対で今回は見送られた。

環境省は、今回の計画によって年間80億ユーロ超の負担が発生するが、省エネ効果で 年間160億ユーロ弱の便益があるとしている。ベルリンのドイツ経済研究所は、年間の負 担は30億ユーロで、年間の省エネ効果は55億ユーロと試算している。これに対し、経済 省は今後さらに詳細に費用便益分析を行う必要があるとして、慎重な態度を取っている。

今回合意された計画について、ドイツ工業会(BDI)など経済団体は、費用便益分析を 十分行わないまま決定された政府による統制経済的なものとして強く反発している。また、

環境団体や再生可能エネルギー業界は、合意内容には確定されていない部分が多く、失望 しているとした。

なお、今回の計画は関連省庁毎に立法化していると時間がかかることから、内閣の共同 法案の形で立法化され、国会に提出される。これは、ドイツ政府が今年12月にバリ島で 開催される気候変動枠組条約締約国会議(COP)前に法案を成立させ、ドイツの温暖化問 題に対する姿勢を国際的に明確な形で意思表示しておきたい意向があるものと思われる。

参考資料:

= Bundesregierung schnürt Klimaschutzpaket、ハンデルスブラット紙2007816

= Stadtwerke fordern Bekenntnis zur Kraft-Wärme-Kopplung、ハンデルスブラット紙20078 17

= Wirtschaft hält Klimaprogramm für dirigistisch、ハンデルスブラット紙2007820

= Kabinett setzt auf einen Kompromiss beim Klimaschutzpaket、ハンデルスブラット紙20078 23

= Glos und Gabriel beenden Streit über Klimapolitik、FAZ2007823

= Mühsal der Ebene、FAZ2007823

= Klimapaket enttäuscht Ökoverbände、ターゲスシュピーゲル紙2007823

= Eckpunkte für ein integriertes Energie- und Klimaprogramm 略語:

= BDI:Bundesverband der deutschen Industrie

= COP:Conference of the Parties

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