http://sangakukan.jp/journal/
産学官連携ジャーナル Vol.7 No.8 2011
38
ち早く事業化に結び付けてくれる可能性があると考えている。今後は日本 企業へのマーケティング活動を重視しながらも、グローバルなマーケティ ング活動にも力を入れていく。
さらに、外の大学技術移転機関(TLO)との連携を積極的に進める。
2011 年6月、第1号として、Aalto University(フィンランド:旧ヘルシ ンキ工科大学)との業務提携契約を締結した。この契約は、Aalto Univer-sity の発明を日本企業に紹介するとともに、関西 TLO の提携大学の発明 を Aalto University の有する企業ネットワークを活用して海外企業に紹介 するというものだ。
国内外の TLO と密接に連携することにより、お互いの保有する特許を パッケージ化して企業に紹介することができ、また、お互いの企業ネット ワークを活用することが可能となる。さらに、企業ニーズに対して、提携 先 TLO から関連する発明を探し出し、最適な発明を紹介することができ るようになる。現在、Aalto University のほか、スウェーデン、ニュージー ランド、ハンガリーなどの大学技術移転機関(TLO)と業務提携交渉中で ある。おそらく半年〜1年後には、技術を探している日本企業に――国内 外の提携 TLO を通じて関連する発明をリストアップし――最適な発明を 紹介できるような体制が構築できると考えている。
2.提携大学の拡大
関西 TLO は、現在、京都大学、和歌山大学、京都府立医科大学、奈良 県立医科大学と知的財産マネジメント業務において、独占的な業務受託契 約を締結している。さらに強固な提携関係を構築するために、上記大学に よる関西 TLO への出資(株式取得)等を進める。また、技術移転機関(TLO)
として経営を安定させ、技術移転のプロ集団として生き残るためには、あ る一定数以上の発明を取り扱う必要がある。このため、弊社社員の成長度 合いを鑑みながら、2015 年までにさらに、1〜2大学との独占的な業務 受託契約締結を目指す。
3.人材育成
関西 TLO がこれからさらに拡大、発展していくために最も重要となる のが、「人」である。社員の成長こそが関西 TLO の発展である。これまで の関西 TLO の求める人材は、「すぐ動ける!元気!体育会!ストレス耐 性!」の4拍子のそろった人材であった。これは組織を変革する上で必要 な人材であり、経営変革をする上ではかなり機能した。しかし、今後関西 TLO が真の技術移転プロフェッショナル集団として発展していくために は、気合いと根性はもちろん重要だが、それだけでは限界がある。
今後は国際技術移転ビジネス人材、研究を事業化するビジネスプロ デューサーとなりうる人材が必要となり、技術移転人材の専門化、プロ フェッショナル化が進むと予想している。また近い将来、海外の技術移転 機関(TLO)のように、Ph. D、MBA 取得者がライセンス活動を行うよう になるだろう。
1108-09坂井.indd 38
1108-09坂井.indd 38 2011/08/05 20:07:402011/08/05 20:07:40
プロセスシアン
プロセスシアンプロセスマゼンタプロセスマゼンタプロセスイエロープロセスイエロープロセスブラックプロセスブラック
http://sangakukan.jp/journal/
産学官連携ジャーナル Vol.7 No.8 2011
39
関西 TLO が真の技術移転プロフェッショナル集団として発展していく ためには、私を含め、関西 TLO の社員全員が、常に高い目標に挑戦し続 けなければならない。挑戦し続けることで人は大きく成長し、関西 TLO の発展の原動力になると考えている。これまで、関西 TLO が重視してき た「泥臭く営業する」をベースにしながら、技術移転の専門化、プロフェッ ショナル化を進め、2015 年までに真の技術移転プロフェッショナル集団 に変革する。そのために、できる限り人材育成に投資を行い、社員全員が 生き生きとやりがいを持って技術移転活動を行い、持てる力を最大限に発 揮して成長してくれるような環境をつくっていきたいと考えている。
本連載を執筆するにあたり、2006 年 10 月から実施した経営改革を振 り返り、あらためて自分を省みる機会をいただいた編集部の皆さまに感謝 申し上げます。経営改革に着手したとき、さまざまな問題や困難にぶち当 たり、八方塞がりの状態に何度も陥った。そんなとき多くの人に励まされ、
助けていただいた。関西 TLO の経営改革は、決してわれわれ自身だけで 行ったものではない。色々な方々に助けていただいてここまでくることが できた。経営改革断行から5年が経ち、やっと技術移転機関(TLO)とし てのスタートラインに立てた思いだ。これからは、大学の研究者の先生方、
大学知財本部の皆さん、企業の皆さんから、「関西 TLO と仕事をして本当 に良かった」と心から言っていただける存在になりたいと考えている。
今の関西 TLO は、最高の人材がそろっている。若手、中堅、ベテラン ともに、それぞれ与えられた役割を理解し、志が高く、熱いハートを持っ た素晴らしいチームだ。私はこのチームで技術移転事業を必ず成功させた い。私たちは本気だ。同志社の創立者、新島襄の遺言に、「倜儻不羈(て きとうふき)」という言葉がある。信念と独立心に富み、才気があって常 軌では律しがたいという意味だ。関西 TLO メンバーの個性を十分に発揮 し、型にとらわれず、伸び伸びと自由に思い切ってやる、「倜儻不羈たる TLO」を目指して日々活動していきたい。
(本連載は今回で終わります)
http://sangakukan.jp/journal/
産学官連携ジャーナル Vol.7 No.8 2011
40