第 4 章 時系列行動ネットワークの補完
4.3 欠損行動の推測
4.3.1 ユーザ間の類似度に基づく推測
我々は以下の考えに基づき,震災時におけるユーザ間の類似度を計る.
• 類似ユーザは同様の前後行動を行う可能性が高い.
• 同様のゴール(避難したい,帰宅したいなど)を持つユーザは同様の行動を行う可能 性が高い.
• 震災時に,一定範囲内にいるユーザは同様の行動を行う可能性が高い.
したがって,震災時にユーザ間の類似度を式4.1に示す.ただし,公式内の各要素は以 下の通りである.
• Did({abef ore, lbef ore},{aaf ter, laf ter})は前後行動を行ったか否かを計る関数である.行 った場合は1,行わなかった場合は0になる.
• SameT arget(at, lt)は同様のゴールであるかどうかを判断する関数である.同じ場合
は1になり,異なる場合は0になる.
• SameLocation(l)は同じ場所であるかどうかを判断する関数である.同じ場合は1に
なり,異なる場合は0になる.
• β, γはパラメータであり,05β, γ, β+γ 51を満たす.
S(uj, ua) =βDid({abef ore, lbef ore},{aaf ter, laf ter}) +γSameT arget(at, lt)
+ (1−β−γ)SameLocation(l)
(4.1)
4.3. 欠損行動の推測 55
4.3.2 行動が起こる可能性に基づく推測
実世界の行動は前後の行動,時間,場所,行動間の流れに依存するため,これらの要素 を考慮することが必要である.したがって,行動acttが起こる可能性P(actt) は式4.2で 表わされる.ただし,公式内の要素は以下の通りである.
• F(abef ore→actt)はabef ore →acttの頻度である.
• F(actt→aaf ter)はactt→aaf terの頻度である.
• F(actt, t)は時刻tに行動acttの頻度である.
• F(actt, l)は場所lに行動acttの頻度である.
• ρa, ρtはパラメータであり,05ρa, ρt, ρa+ρt51を満たす.
P(actt) =ρa{F(abef ore→actt) +F(actt→aaf ter)} +ρtF(actt, t) + (1−ρa−ρt)F(actt, l)
(4.2)
4.3.3 実行時間に基づく推測
つぶやかなかった時間
time
time_1
time
time_b
time_t
tjb tab tj1 t tj2 tjf taf
対象ユーザua
類似ユーザuj before action
after action
act1 act2
? before
action after
action
図 4.5: つぶやかなかった時間に複数の行動が行われた場合
実際には,対象ユーザuaはつぶやかなかった時間に複数の行動を行った可能性がある.
例えば,図4.5では,対象ユーザはつぶやかなかった時間に before action (つぶやいた 行動)を除いて,act1とact2を行った可能性がある.このため,対象ユーザuaはつぶや かなかった時間中の任意の時刻tに,まだ before action を行っていたか,又はact1と act2のどれかを行っていたかを推測する必要がある.この課題を解決するためには,類似 ユーザuj の行動とその実行時間を考慮する必要がある.
類似ユーザujが行った before action ,act1とact2の開始時刻はそれぞれ,tjb, tj1,tj2 であるとする.よって, before action の実行時間time bは[tjb, tj1]である.tab〜tまで の時間はtime tとする.我々はact1の実行時間time 1とtime bに基づいて,act1を評価 する.
T(uj, act1) =
time t
time b (diff<0)
1 (0≤diff≤time 1)
time1
dif f (time 1<diff)
(4.3)
where, dif f =time t−time b.
0 ≤ dif f ≤ time 1であると,対象ユーザuaがact1 を行った可能性は最も高い.そし
て,time tとtime bの差が大きいほど,対象ユーザuaがact1を行った可能性は減少する.
具体的には,任意の時刻tにおけるact1の重みは式4.3で評価する.この重みが高いほど,
行動が行われた可能性が高い.
4.3.4 欠損行動の推測式
式4.1,式4.2,式4.3を合わせて,Pua→actt を式4.4で求めることができる.ただし,各 要素は以下の通りである.
• Lは他のユーザの数である.
• ω(uj, actt)は行動acttに対するユーザujの重みである.ユーザujがacttを行った場 合は1になり,行わなかった場合は0になる.
4.3. 欠損行動の推測 57
• αはパラメータであり,05α51を満たす.解決したい課題や行動データによって,
これらのパラメータの値を決める.
Pua→actt =α
∑
j=1,L
ω(uj, actt)∗S(uj, ua)∗T(uj, actt) L
+(1−α)P(actt)
(4.4)