第6章 清見 タンゴールのこはん症
第2節 樹上並びに収穫後の発生
結 果
清見 タンゴール果実の樹上におけるこはん症の 発生と,ヨコバイ類などの昆虫による被害について調 査した結果を第43表に示す.
樹上でのこはん症の発生は1月21日までは認められ なかったが,2月15日に100果中2果に,また,3月 12日では100果中4果についてこはん症が認められた.
一方,ヨコバイ類などの昆虫による吸収痕は,100果 中の3黒から8果について認めることができた.清 見 タンゴールの果実は12月に袋掛けをするため,当 然ながら,これらの吸収痕は12月3日以前につけられ
たものである.
収穫時期の違いとこはん症発生との関係について調 査した結果を第94,95,96図および第97図に示す.ま た,落下衝撃を加えた果実のこはん症の発生を調査し た結果も併せて第94図から第97図に示してある.これ らの図に示す通り,こはん症の発生は,果実を20℃に 保った後,早い場合は7日目から発生したが大部分の 果実では10日目から発生した.そして,こはん症の発 生果数も20果中9果から14果であった.すなわち,
45%から70%の果実にこはん症が発生したことになる.
また,収穫時期が遅い果実ほど斑点の総数は少なくな 収穫日
項目 12月3日 12月28日 1月21日 2月15日 3月12日 こ は ん 症
発 生 果 数 ヨコバイ類 による被害
0
(0)
8
(8)
0
(0)
7
(7)
0
(0)
3
(4)
2
(7)
4
(5)
4
(8)
7
(7)
第43表 清見 果実のこはん症とヨコバイ類による果皮障害の樹上での発生
注:調査果実数 100果
( )内は斑点の総数
第94図 12月3日収穫の 清見 タンゴール果実の20℃でのこはん症の発生
第95図 12月28日収穫の 清見 タンゴール果実の20℃でのこはん症の発生
カンキツ類の果皮障害の発生原因とその防止対策 79
った.しかし,収穫時期の違いとこはん症発生との間 には明らかな関係は認められない.次に,収穫直後に 落下衝撃を加えた果実についても同様の調査を行った が,第94図から第97図に示す通り,落下衝撃を加えな い果実との間に明らかな差は認められなかった.
第98図は収穫後直ちにポリ個包装して5℃で10日間
貯蔵した後,無袋にして20℃へ移した場合の結果を示 し,また第99図はポリ個包装の状態で20℃に移し15日 間保った後,さらに無袋にして20℃に保った果実のこ はん症の発生について調査した結果を示している.す なわち,ポリ個包装から20℃無袋にすると約10日間で こはん症が発生するが,20℃ポリ個包装の状態ではこ 第96図 1月21日収穫の 清見 タンゴール果実の20℃でのこはん症の発生
注:( )内は斑点の総数
第97図 2月15日収穫の 清見 タンゴール果実の20℃でのこはん症の発生 注:( )内は斑点の総数
第98図 清見 タンゴール果実の変温処理とこはん症の発生 注:( )内は斑点の総数
80 近 泉 惣次郎
はん症の発生が認められなかった.しかし,20℃ポリ 個包装果を20℃無袋に移すとこはん症の発生が認めら れた.
果汁の可溶性固形物含量と遊離酸含量の経時的変化 を調査した結果を第100図および第101図に示す.可溶 性固形物含量は12月3日には8.8%であったが,3月 12日には10.6%まで増加した.一方,遊離酸含量は12
月3日には1.51%で,1月21日までは減少したが,そ
れ以降はあまり変化しなかった.収穫時期の違いと果 皮色の変化を測定した結果を第102図に示している.
色差計の a*値は12月3日に6.01であったが,その後 2月15日まで急激に増加し,3月12日には25.92にな った.
ABA含量の経時的変化を測定した結果を第103図に 示す.ABA 含量は1月21日までは増加の傾向を示し たが,それ以降はわずかに減少する傾向を示した.
第99図 清見 タンゴール果実の変温処理とこはん症の発生 注:( )内は斑点の総数
第101図 清見 タンゴール果実の遊離酸含量の経時的変化 注:図中のバーは標準誤差を示す
第100図 清見 タンゴール果実の可溶性固形物含量の経時的変化
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