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検索タスクの説明

3.3 コンテクスト検索エンジンでの効率的な検索行動支援

4.1.2 検索タスクの説明

この項では,4つの検索タスクについて説明を行う.

検索タスク(a)は「年単位で周期的なアイテムの発見」である.野菜の価格や自転車の販売量,

Google検索数など周期性を持つ動向情報がある一方で,乾電池の価格や内閣支持率など周期性の

見られない動向情報がある.周期性を持つ動向情報の特徴は、季節や気候,クリスマスやバレンタ インデーといった定期的な行事のような,周期性を持って発生する要因に影響を受けている点であ る.これらの要因について関心がある場合,周期性を持つ動向情報は価値ある情報であると考えら れている[19].従来のコンテクスト検索エンジンでは複雑なクエリを生成できないので,周期性の あるアイテムのみを検索することは困難であったが,論理演算子を用いることでそのようなアイテ ムを検索することが可能になる.周期性のあるアイテムについて検索を行った検索結果の例を図 13で示す.

図13では,毎年2月にPEAKが発生しているアイテムを検索している.この例では,論理演 算子ANDを用いることで20131月〜20133月,20121月〜20123月,20111

〜20113月の3つの期間で特徴的変動PEAKが発生しているアイテムを検索している.検索 結果のアイテム名を確認すると,「バレンタインデー」,「恵方巻」,「節分」と2月に関連のあるア イテムが上位に来ていることがわかる.また,各アイテムのSparklineを確認すると一定間隔毎に 値が上昇・下降しており周期性があることがわかる.このように,検索クエリの特徴的変動と期間 の月を変えずに,期間の年だけを変えた検索クエリを論理演算子ANDを用いて組み合わせること

で,年単位で周期性のあるアイテムを発見することができる.そこで,実験タスク1では毎年5 に関心が高まっているアイテムを3つ,実験タスク2では毎年6月に関心が高まっているアイテ ムを3つ発見してもらい,それぞれのアイテムについての理由を回答してもらった.

13 毎年2月にPEAKが発生しているアイテムの検索

検索タスク(b)は「複雑な動向を示すアイテムに関連するアイテムの発見」である.従来のコン テクスト検索エンジンでは,時間的変化の観点から関係のあるアイテムを発見するタスクで有効性 が示されている.しかし,データ量の増大によって多数の検索結果が返されるようになり,時間的 変化の観点から関係のあるアイテムであってもその発見が困難になっている.この問題に対し論理 演算機能を導入したコンテクスト検索エンジンでは,複数のクエリを組み合わせることで複雑な動 向情報を表現することが可能になる.アイテム「台風」に関連するアイテムの発見を例に説明を行 う.まず,台風の動向情報を確認することでどの時期にどの特徴的変動が発生したかを理解する.

台風のWikipediaPageViewに関するグラフを図14に示す.

図14で丸で囲まれている箇所は特徴的変動PEAKが発生している期間である.赤い丸の期間 は9月〜10月であり,これは台風が日本に接近することが多い期間と重なっている.この結果か ら,台風が日本に接近する期間に周期的に人々の関心が高まっていることがわかる.青い丸は9

〜10月以外の期間に発生しているPEAKである.これらの非周期的にPEAKが発生している期 間では,台風が時期外れではあるが日本に接近している.例えば,2012年6月にPEAKが発生し

14 台風のWikipediaPageViewの動向を示すグラフ

ているが,この時期に季節外れの台風4号が本州に上陸している*8.このように周期的な変動と非 周期的な変動が組み合わされた複雑な動向情報を持つアイテムも存在する.台風の複雑な動向情報 を表現したクエリで検索した結果を図15で示す.

図15では,4つのクエリを組み合わせて検索を行っている.赤枠で囲われた2つのクエリはど ちらも9月にPEAKが発生しているアイテムを検索しており,台風の周期的な変動を表現してい る.青枠で囲われた2つのクエリは20126月と20147月にPEAKが発生しているアイテ ムを検索しており,台風の非周期的な変動を表現している.このように,周期的な変動・非周期的 な変動を組み合わせたクエリで台風の動向情報を表現している.検索結果を確認すると,「台風」,

「熱帯低気圧」,「温帯低気圧」のような「台風」に関係のあるアイテムが上位に来ていることがわ かる.この検索結果の上位20件のアイテム名を表6で示す.

6 15の検索結果上位20件のアイテム名

台風 熱帯低気圧 温帯低気圧 えなりかずき

台風の目 洞爺丸台風 気象警報 狩野川台風

沖永良部台風 伊東深水 カスリーン台風 ジェーン台風 宮古島台風 キャロル・ベイカー 平成10年台風第7 大植英次

第3宮古島台風 順天中学校・高等学校 ウィリー・ウィリー 平成8年台風第12

表6で赤字のアイテムは台風に関連したものであり,検索結果上位20件のうち15件を占めて いる.この結果から,台風の動向情報を適切にクエリとして表現することで,台風と関連のあるア イテムを発見可能であることがわかる.実験タスク1では「インフルエンザ」の関心が高まってい

15 台風に関連する検索

る時に関心が高まっているアイテムを3つ,実験タスク2では「台風」の関心が高まっている時に 関心が高まっているアイテムを3つ発見してもらい,それぞれのアイテムについての理由を回答し てもらった.「インフルエンザ」は,毎年1月〜2月頃に流行するので,その時期に周期的に関心 が高まっている.しかし,20094月〜5月に新型インフルエンザが世界的に流行しており[37] この時期にも関心が高まっている.このような非周期的な変動と周期的な変動を組み合わせたクエ リを生成することで,「ザナミビル」や「ノイラミニダーゼ阻害薬」のような抗インフルエンザ薬 や「グラクソ・スミスクライン」のような製薬会社を発見することができる.

検索タスク(c)は「時期の異なる同一イベントに関連するアイテムの発見」である.オリンピッ クやワールドカップ等の大きなイベントは様々なアイテムの動向情報に影響を与える.このよう なイベントはその開催・発生時期のみに特徴的変動が発生するためイベントの時期を把握していれ ば,関連するアイテムを発見することができる.従って,提案する論理演算機能によりクエリを組 み合わせることで効率的な探索が期待できる.実験タスク1では2008年,2012年の夏季オリン ピックに2大会連続で出場している選手を3人,実験タスク2では2010年,2014年の冬季オリ ンピックに2大会連続で出場している選手を3人発見してもらった.この時なるべくメダルを獲 得している選手を回答してもらうように指示した.

検索タスク(d)は「周期的ではないアイテムの発見」である.検索タスク(a)では周期性のある アイテムに対する論理演算機能の有効性を検証したが,本タスクでは,非周期性をもつアイテムに

対する論理演算機能の有効性を検証する.非周期性をもつアイテムは,答えが明確ではなく評価が 難しいので,正解を用意するのではなく,発見したアイテムをユーザに評価してもらうこととし た.実験タスク1では2012年に周期的ではなく関心が高まっているアイテムを3つ,実験タスク 2では2013年に周期的ではなく関心が高まっているアイテムを3つ発見してもらい,それぞれの アイテムについての理由を回答してもらった.また,発見したアイテムを実験協力者全員に「アイ テムの意外性」,「理由の正当さ・わかりやすさ」のの観点からそれぞれ5点満点で評価してもらう ことで,タスクの達成度を評価した

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