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鉢 物

4 栄養診断

(1)花きの汁液診断

作物の栄養診断手法として、葉色による診断が行われてきたが、葉色値を基に した窒素濃度の判断が難しいことや最近は簡便な測定器具が開発されたことから、

花きでは主に葉柄搾汁液による診断が試みられている。通常は下記の手順で診断 を行う。

ただし、花きは種類が多く、品種や作型、栽培法など多岐に及ぶので、診断基 準値が確立されているものは少ない。福岡県農業総合試験場では、シクラメンに おける葉柄搾汁液による簡易診断法について報告されている。

ア 診断の手順

(ア)葉柄(茎)を採取する。種類により採取部位を適宜選択する 。 a トルコギキョウ:最上位完全展開葉直下の茎

b デルフィニウム:最上位完全展開葉の葉柄 c ハイドランジア:最上位完全展開葉の葉柄

d シクラメン:下記ウの診断法による

(イ)葉柄を1~2㎝前後に切断し、にんにく絞り器で絞りとり、搾汁液を得る。

または、葉柄を細かく切断し、葉柄の重量を測定後、乳鉢に入れ適量の純水(希 釈率を計算)を加えて磨砕する。

(ウ)搾汁液(磨砕液)に硝酸イオン試験紙を浸し、発色させる。

(エ)1分後に、発色程度を小型反射式光度計(以下、RQフレックス)またはカ ラースケールで読みとる(濃すぎた場合は希釈する)。

イ RQフレックスの使用法 (ア)電源をONにする。

(イ)硝酸イオン測定用のバーコードを挿入する。

(ウ)硝酸イオン試験紙を浸すと同時に、STARTを押す。

(エ)50 秒間待って、試験紙を機器の挿入部に差し込む。

(オ)60 秒後に、硝酸イオン濃度が表示される。

(カ)表示値に 0.226 を掛けた値が硝酸態窒素濃度となる。

ウ シクラメンの簡易栄養診断法

(ア)調査は、当日及び前日が晴天の日に行い、できるだけ若い成熟葉(新生第3

~4葉)の葉柄を採取する。採取時刻は9時から 18 時までの何れでも良い。

(イ)葉柄を1~2㎝前後に切断し、にんにく絞り器で絞り、葉柄搾汁液を得る。

ただし、生育初期(7 月頃)は、葉柄が小さく必要な量が得られないため、 1

柄磨砕液)、中期を 2000~5000ppm で管理するか、または初期を 2000~5000 ppm、中期を 1000~4500ppm で管理し、生育後期を 500~1500ppm で管理する。

表 出荷時における シクラメン の生育・品質と時期別硝酸 イオン濃度(福岡農総試 1997)

「フォルテピンク」

液肥窒素

濃度 葉数 開花

花蕾

株径 葉面

品質 硝酸イオン濃度(ppm)

初期 中期 後期

50-25-100 57 12.5 40 31 79 500> 200~600 400~1500 50-50-75 59 12.5 55 33 91 500> 1000~2500 300~1500 50-50-100 61 12.5 53 32 81 500> 1000~2500 500~1500 50-50-150 45 12.4 43 32 86 × 500> 1000~2500 1000~3100 100-25-50 54 12.5 55 28 61 1000~2500 200~600 500>

100-25-75 59 12.6 51 30 58 1000~2500 200~600 300~1000 100-25-100 72 12.5 60 33 72 1000~2500 200~600 500~1500 100-25-150 56 12.5 51 31 65 1000~2500 200~600 700~3500 100-50-100 62 12.3 68 34 105 × 1000~2500 1000~2500 1000~2000

「ミディ・コーラス 」 液肥窒素

濃度 葉数 開花

花蕾

株径 葉面

品質 硝酸イオン濃度(ppm)

初期 中期 後期

50-25-100 78 11.29 75 30 65 2000~3000 1000~4500 900~1200 50-50-75 62 11.29 68 32 75 2000~3000 2500~6000 100~700 50-50-100 84 11.27 84 32 75 2000~3000 2500~6000 500~1500 50-50-150 84 12.3 82 33 80 2000~3000 2500~6000 1500~3000 100-25-50 73 11.26 66 27 77 2000~5000 1000~4500 200>

100-25-75 81 11.28 84 28 79 2000~5000 1000~4500 200~600 100-25-100 85 11.29 85 32 81 2000~5000 1000~4500 800~1200 100-25-150 86 12.3 86 32 89 2000~5000 1000~4500 1800~2500 100-50-100 96 11.19 100 32 93 2000~5000 3000~6000 1000~2000 注)1.液肥窒素濃度は、初期(6月~7月中旬)-中期(7月下旬~9月中旬)-後期(9月下旬~12 月)。

(2)花きの養分含有率

数種の花きの養分含有率を表 23 に示した。

この数値は診断基準値としての意味は持たないが、葉分析を行って得られた数値 と比較する場合の参考とする。

表 各種花きの養分含有率の事例

乾物当たり%

種 類 窒素 リン酸 カリ 石灰 苦土

カラー 4.58 1.41 6.04 1.82 0.82

カーネーション 2.69 0.84 4.09 2.15 0.85

キク 2.66 0.78 3.87 1.89 0.60

フクシア 2.43 1.04 2.95 2.25 0.59

グロキシニア 1.55 0.66 3.53 2.10 0.54 シクラメン 2.20 0.42 3.62 1.25 0.81 ポインセチア 2.28 0.66 3.09 1.46 0.66

アジサイ 1.79 1.20 2.41 1.46 0.81

アジアンタム 2.30 0.44 2.65 1.42 0.80 アスパラガススプレンゲリー 1.48 0.46 3.69 1.33 0.47 アマリリス 1.33 0.66 3.22 1.39 0.49 ローレンベコニア 1.42 0.22 2.19 1.42 0.60 シベリペジュウムインシグネ 1.45 0.51 1.40 2.01 0.45 ソラナムヘンダーソニー 1.68 0.41 1.69 1.45 0.51

エクメア 0.73 0.18 1.86 2.07 0.69

アザレア 1.59 0.64 0.99 1.51 0.46

エリガクラキリス 0.32 0.20 0.98 0.32 0.33

第5 養液栽培と点滴かん水施肥栽培

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