• 検索結果がありません。

林野火災の延焼拡大予測ヘ向けて

J空

第3節 林野火災の延焼拡大予測ヘ向けて

I 延焼拡大の予測方法

本研究における最終的な目的は林野火災の延焼拡大の予測を可能にすることにあ り、 予測が可能になれば効果的な消防、 防火対策を確立できると考える。 本研究で は、 この目的を達成するために種々、 実験あるいは解析等を行ったが、 延焼拡大の 予測がすべて可能になったわけではなく、 むしろ、 予測法の確立へ向けての一歩を 踏み出した段階といえる。 そこで、 林野火災延焼拡大の予測方法についての基本的 な考え方をここで整理して、 予測法確立ヘ向けての方向づけをしたい。

林野火災延焼拡大予測のフローチャートを図-4-20に示している。 延焼拡大 の予測に対する基本的な考え方は、 ある時点の延焼地域の形状、 風向・風速、 地形

(傾斜5。 区分)、 林床可燃物(燃料)の状態等のデータより、 任意の次の時点の 延焼地域の形状を予測し、 この作業を繰り返すというのが最も実用的であると考え る。 また、 延焼地域の形状予測に関しては、 火災の燃焼速度を基礎とし、 燃焼速度 の算定に必要なデータは、 図-4-20にも示しているように、 最終的には、 風向

・風速、 燃料に関する諸データおよび火の進行方向である。 この中で風向・風速は

|

現時点-

損範

囲|

(バックグラウンド:片面燃焼からの風向・風速の推定)

lHωOl

(修正Rotherrnel式の提案)

|

次時点・ 焼損範囲推定

|

林野火災延焼拡大予測フローチャート

( )内は本研究の位置づけあるいは成果の概要

図-4-20

- 131

-延焼地域周辺で計測される主風向・主風速ばかりではなく、 実際に延焼地域内で吹 いていると推定される風向・風速データが特に重要である。

ある時点における焼損範囲を推定し、 後にその時点の笑際の焼損範囲が現地で計 測された場合は、 推定された焼損範囲との比較を行い、 両者に誤差があるときは次 の時点の計算を行う前に焼損範囲を修正するとともに、 燃焼速度の計算に戻り、 各 パラメータ等のチェックを行って次の計算に備える。

E 延焼拡大予測における本研究の位置づけ

本研究は、 すべて最終的には林野火災延焼拡大予測へとつながるものである。 延 焼拡大予測のシステムにおいて、 本研究で何がどこまで明らかになったのかを明示 し、 本研究の位置づけをするとともに、 今後の研究の方向性の一つの示唆にしたい と考え、 以下に整理する。

1 )林野火災の延焼拡大予測の基礎となる燃焼速度の算出については、 アメリカ

で提案されたRothermelの燃焼速度式について、 風洞実験等を通じて、 風速因子に関 する部分に修正が必要であることがわかり、 Rothermel式を修正した。 Rothermel式 に修正が必要となったのは風向・風速データがいわゆる主風向・主風速データを用 いていたためであり、 延焼地域内の風向・風速を推定し、 これを用いている修正さ れたRothermel式では精度よく燃焼速度を算定することが可能となった。

燃焼速度が推定できれば、 延焼方向、 地形、 風向・風速等の因子によって延焼の 形状を予測することができる。

風向・風速以外のパラメータはRothermel式をそのまま利用するため、 実測あるい は実験式で求めることが可能であるが、 火災中にこのようなデータを得ることは困 難であると考えられる。 したがって、 アメリカで実用化されている林野火災危険度 予測システムに見られるような、 林野の林床あるいは下層植生の状態の類型化を急

ぎ、 基礎的なデータを把握しておくことが必要であろう。

- 132

-2 )風向 ・風速データの推定に関して、 本研究では、 樹木の片面燃焼からその木

が燃焼したときの風速の推定式を提案し、 精度よく推定できることを検証した。 し かしながら、 樹木の片面燃焼からの風向・風速の推定は、 火災後の樹木を調査する ことによって初めて可能となるため、 このことが延焼拡大予測に直結するわけでは ない。 そこで、 本研究の成果を活かすためには、 多くの火災跡地の調査を行い、 火 災の燃焼動態、 主風向・主風速、 地形等の因子の諸条件に対して、 延焼地域内の風 向・風速がどのようになるのか、 推定法を決定しておく必要がある。 主風速が大き くなれば局地風よりも主風の影響の方が卓越するようであり、 さらに局地風が斜面 の傾斜に影響されているようであるので、 それらの詳細な関連が明らかになれば、

風向 ・風速の推定が可能である。 このように、 本研究において、 これまで不明であ った局地風の推定方法を示したことによって、 実用的な延焼拡大予測が可能になっ ていくものと思われる。

また、 ある地域において、 出火地点と風向・風速等の気象条件を与えることによ って、 火災の延焼拡大のシミュレーションが可能となり、 林野火災に対する危険度 判定ならびに防火帯等の効果的な設置場所等についての知見が得られるであろう。

133

関連したドキュメント