第 3 章 計算結果と考察
3.6 束縛エネルギーの磁場依存性
電子の飛び移り積分の値を としたときの1電子のエネルギースペクトルを 表し、横軸は磁場の強さを表す。これらの図はフラクタルな構造をもち、バタフ ライダイヤグラムと呼ばれている。励起子状態は、伝導帯下端と価電子帯上端の 状態に強く依存する。そこで、各格子系における伝導帯下端(価電子帯上端)付 近の状態数(!の磁場による変化を計算した。ただし、系の大きさは の有限系で、状態数(!は、 としたときの伝導帯下端から のエネ ルギー幅内にある状態数とする。カゴメ格子、三角格子、正方格子の(! の計算結果をそれぞれ図3.17 3.19に示す。この結果と各格子系のバタフライ ダイヤグラムを比較すると、最低エネルギー準位の大きさが極大値をとるときに 状態数(!も極大値をとっている。さらに、図3.13と図3.17 3.19を比 較すると、各格子系において、バンド端の状態数(!の磁場による増減と、
励起子の束縛エネルギーの磁場による増減は全く同じであることが分かる。これ より、磁場による励起子の束縛エネルギーの増減は、バンド端の状態数の増減、
即ち、バンド端の縮退度の増減のためと考えられる。また、三角格子のバンド端 の状態数(!は磁場の強さが約Tのとき、Tでのカゴメ格子の状態数
(
!フラットバンドの縮退度よりも大きな値をとる。にもかかわらず、
Tのときの三角格子における励起子の束縛エネルギーは、Tのときのカゴメ 格子のそれよりも小さい。これは、カゴメ格子のフラットバンド状態が局在固有 状態をもつためと考えられる。
図3.13: 様々な格子に生じる励起子の束縛エネルギーの磁場による変化。上部の 挿入図は、左から順に磁場の強さが-3.7T、0T、3.7Tの時のカゴメ格子のバンド の模式図である。
図3.14: カゴメ格子のバタフライダイヤグラム。縦軸は電子の飛び移り積分の
値を とした時のカゴメ格子中の1電子のエネルギースペクトル。横軸の0 0.5 1は、磁場の強さ-3.7T 0T 3.7Tに対応する。([6]より。)
図3.15: 三角格子のバタフライダイヤグラム。縦軸は電子の飛び移り積分の値 を とした時の三角格子中の1電子のエネルギースペクトル。横軸の0 1
2は、磁場の強さ-3.7T 0T 3.7Tに対応する。([11]より。)
図3.16: 正方格子のバタフライダイヤグラム。縦軸は電子の飛び移り積分の値
を とした時の正方格子中の1電子のエネルギースペクトル。横軸の0 1 が、磁場の強さ0T 3.7Tに対応する。([11]より。)
図3.17: カゴメ格子の伝導帯下端(価電子帯上端)付近の状態数。
図3.18: 三角格子の伝導帯下端(価電子帯上端)付近の状態数。
図3.19: 正方格子の伝導帯下端(価電子帯上端)付近の状態数。