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札幌市における工業団地造成実施判断のために考慮すべき要素の整理と現状

10-1 近年の立地ニーズの把握

・工場立地動向調査等から明らかなように、工場が地方に分散する時代は終わり、

北関東を含む大東京圏から静岡、愛知、大阪、兵庫にいたる大都市圏地域に立 地が集中する傾向が強まっている。

・関東臨海や近畿臨海での増加が停滞している点をみると、臨海部では立地制約 が働いている。また、東日本大震災以降、震災リスクを回避するため、内陸部 で需要は高まることが推察される。

・用地選択の理由としては、親会社、関連会社との連携が重要であり、札幌圏へ 道外企業を誘致するには厳しい環境にある。札幌圏全体の既存工業団地の分譲 促進を視野に入れた判断が必要である。

・市内の工業団地への誘導を勘案する必要がある。札幌市の「札幌圏都市計画」

においては、工業需要への対応は、現在整備中の工業地が基本であるとしてい る。現在、東雁来第2土地区画整理事業地内に工業地(計画面積約 30ha)を 整備しており、工業の需要への対応は、工業地の整備を行っている地区を基本 に、既に造成した工業団地へ誘導することとしている。

・振興が期待される業種は、立地件数の動向より、食料・飲料、一般機械、輸送 用機械、化学、金属製品などがある。また、研究施設については、年間の立地 件数が全国で10件程度と非常に少ないことを踏まえる必要がある。

・メガソーラー施設など、再生可能エネルギーの関連施設の立地も見逃せない状 況となっている。

10-2 工業団地造成の用地分類と事業主体

潜在的な工業用地はとしては、①土地保有者が工業用途に造成して売却する工業団地、

②その他の用地(臨港地区における工業港区、工場跡地、農地・山林、造成宅地等)に分 類可能である。

工業団地の主な整備主体は、地域整備振興公団、住都公団(現都市再生機構)、自治体及 び土地開発公社,民間企業などである。工業団地開発は原則として独立採算事業として行 われるが、公的機関による造成の場合は補助金が設けられるケースも多い。用地取得の方 法は先行取得事業と土地区画整理事業があり、造成方法は先行造成に加え、近年は企業の 立地決定後に造成を行うケース(オーダーメイド造成)が増加している。

オーダーメイド造成については、需要者のニーズに即した区画を整備することができる が一括工事が出来ないため、工事費総体が高くなる可能性もあり、一概にメリットがある とは断定できない。

地域振興整備公団の事業についてもう少し詳しく述べる。地域振興整備公団は産炭地域 振興整備公団を前身としており、その事業は現在、中小機構と都市再生機構に引き継がれ ている。

地域振興整備公団の工業団地整備事業は、財政投融資資金を活用するほか、国の一般会 計からの補助金も給付されている。事業は公団が単独で行うものの他、自治体(または土 地開発公社)との共同出資により整備を行う場合もある。ここで地域振興整備公団の工業 団地整備に関わる事業の種類と、整備された工業団地の主な分類は次の通りである。(①~

③は中小機構、④は都市再生機構が現在引き継いでいる)

①産炭地域振興事業:産炭地域事業用地

②工業再配置等業務:中核工業団地

③特定事業集積促進事業:リサーチパーク等

④地方都市開発整備等事業

10-3 適地選定の方法・判断基準

工業団地の適地選定は、一般的には次の方法によって行なう。

①不適地の除外

次の条件に一つでも該当する地区は工業団地としては不適であるため除外する。国 土交通省の地図データ(LUCKY)を活用することが考えられる。

・既成市街地(DID区域、既存施設立地地区、計画的市街地開発事業進行地区)

・災害履歴地区並びに宅地造成困難地区(急傾斜地、地すべり、活断層、軟弱地盤、

浸水危険地区)

・自然・歴史・文化保全地区(自然公園地区、保安林、風致地区、鳥獣保護句、埋 蔵文化財包蔵地、その他の景観・歴史・文化保全地区)

・優良農地(農用地、優良農地)

②一団地としてのまとまりによる絞込み

札幌市は、「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(区域マス)」、「市街化区域 と市街化調整区域の区分(区域区分)」において、市街化区域・市街化調整区域の区 分見直しの本市方針を示している。

ここでは、

・人口や産業の規模の拡大に対応し、新たな市街地を整備するための市街化 区域の拡大は行わない。

・開発許可等により、市街化区域と同等な都市基盤が整備された区域は、市街 化区域に編入する(既成市街地)。

としている。

①不適地の除外

②一団としてのまとまりによる絞込み

③上記によらない特殊候補地の追加

④開発優位性評価によるランク付け