第 3 章 空間認識能力に応じたユーザカテゴライ ズ手法
3.1 本章の目的
第 3 章 空間認識能力に応じたユーザカテゴライ
すい認知地図と対応した地図を提示することがナビゲーションに有効であると考えら れる.
サーベイマップとルートマップの表現を用いた地図サービスはこれまでに多数開発 されているが,どれもユーザの認知地図の型に応じて地図をユーザに提示していない ため,ユーザが保持しやすい認知地図の型の構築に役立っていない.
したがって筆者は,ユーザの認知地図のパターンを判断し,サーベイマップとルー トマップを切り替えながら地図提示をすることで,ユーザが保持しやすい形の認知地 図の構築に貢献できると考察する.
3.2.2 ノースアップとヘディングアップ
ユーザの嗜好により,ノースアップとヘディングアップを自由に切り替えられる地 図サービスとして,Googleマップや,カーナビゲーションシステムが挙げられる.し かしどれもユーザによって自由に選定できるため,ユーザの自己判断による地図の向 きと,認知地図の向きが合致しなかった場合,ユーザの認知地図に応じた地図を提示 することができない.
2章では,サーベイマップの提示時にはノースアップ,ルートマップの提示時にはヘ ディングアップとなるようシステムを設計したが,ユーザの認知地図のパターンによっ ても切り替えるべきであると考える.
3.2.3 方向感覚質問紙簡易版(SDQ-S)
2章の実証実験の際にも用いたが,方向感覚の良し悪しを判断する指標として,
SDQ-Sがある[48][49].SDQ-Sの質問は,「地図上で,自分のいる位置をすぐに見つけること
ができる」,「特に車で右・左折を繰り返して目的地に着いたとき,帰り道はどこでどう 曲がったらよいか分からない」など,空間を俯瞰的に認識できているかに関する内容 や,「知らない土地へ行くと,途端に東西南北が分からなくなる」,「道順を教えてもらう 時,『右・左』で指示してもらうことが分かるが『東西南北』で指示されるとわからな い」など,東西南北を認識できているかに関する内容が含まれる.これより,SDQ-S による質問への回答結果と,ユーザの認知地図の型は,対応させることができると考 えられる.質問の回答結果と,認知地図の型の分類の相関が測られれば,SDQ-Sの質
図3.1: 閉路法の閉路区域
問内容は,ルートマップ型とサーベイマップ型の判別と,ノースアップ型とヘディン グアップ型の判別に利用することができると推測する.
3.2.4 閉路法による認知地図の分析
頭の中に描いている空間イメージを描画したスケッチマップは,認知地図の外在化 であるため,ユーザが持つ認知地図の分析に利用できる.スケッチマップの分析手法 の1つに閉路法[53]がある.本手法を用いることで,スケッチマップがサーベイマッ プ型かルートマップ型かを分析することが可能である.スケッチマップに描かれた道 路網のうち,周囲を道路で囲まれている部分(閉路区域)(図3.1)を数える方法であ り,閉路区域があると,面的に空間の拡がりを捉えていると判断できるため,サーベ イマップ型であり,閉路区域がない場合は,線的に捉えているため,ルートマップ型 であると分析できる.
よって閉路法を本研究に利用し,ユーザが持つ認知地図の分析に役立てることとする.