第 5 章 結論
5.2 本研究の問題点と課題
5.2.1 本研究の問題点
本研究で、上級者レベル向けのビジネス日本語学習であるから、言語的知識より も言語以外の知識、或いは「暗黙的スキル」の獲得に注目したのである。非言語的 な面の知識の獲得を前提とする言語学習を行なうような知識科学の視点を導入し たことは、従来の研究になかったことであるが、本論の全般で理論的分析が多くて、
ビジネス日本語の実例分析の量が比較的に少なかったことが
1
つに問題点だと考 える。また、ビジネス日本語における実例分析は話し言葉を中心に行なっていて、書面 の言葉使いは提示していない。実務的表現として、書面形式の言葉使いといった幅 広い面からの実例を収集し、分析することによって、ビジネス日本語の学習法を十 全にしていかなければならないだろう。
5.2.2 今後の課題
以上に述べた問題点を踏まえて、今後の課題の
1
つとしては、話し言葉に限らな い、幅広い実務的例文の収集と分析を増やすことである。そして、本研究で確立したビジネス日本語の学習法はその実践的効果に対する評 価まで行かなかったことが、もう
1
つの課題として残っている。学習法の効果に対 する検証は次のように考えている。ターゲットは、日本企業の新入社員である中国系の人にする。日本語を用いて日 本のビジネス場で働くことができると認められるなら、言語レベルとしては、すで に日本語能力試験
1
級またはそれと同等以上の能力を持つことになるからである。それに、ビジネス現場という新しい環境の中は、様々な異なった状況に会う可能性 が多く、その場その場の状況にふさわしい言葉使いが障害なくできるとは限らない。
ということで、新入社員研修期間中の中国系の社員を検証の対象とし、
2
つのグ ループ分けをする。1
つのグループでは本研究で打ち出した方法論を基に教育を行 ない、もう1
つのグループには従来の教育方針に従って教育を行なう。研修期間が 終わった時点で2
つのグループを比較してみて、言語以外の「暗黙的知識」がどれ ぐらい言語の使用に影響を与えるかを検証する。付録:
待遇表現の定義 77
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