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6-1 調査の基本方針と期待される効果

現在オマーンには主要商業港は、計画中のデュクム港を入れて 6 港あるが、それぞれの 港湾の果たすべき役割が明確でなく、開発計画も個々の事情で決定されている状況にある。

また各港の管理運営制度も統一されたものではなく港毎に異なっている。

一方で、オマーンに輸入される貨物のうち約 5 割はドバイ港等の外国の港を通じて陸路 により輸送されている状況にある。このような中、今年初めより湾岸諸国の関税同盟が試 行されており、港湾間の競争が激しさを増す中で、湾岸地域におけるオマーン国の港湾の 競争力強化が重要な課題となっている。

また、オマーン国の経済政策として、産業の多様化と雇用機会の創出が重要の柱となっ ており、その具体的施策としてソハール港の背後の工業団地開発やサラーラ港の背後の FTZ が取り組まれている。さらに、オマーンが湾岸諸国の玄関口に存在しかつ世界の主要 貿易ルートから至近距離にあるという地理的優位性を活かした、ロジスティックセンター としての開発も構想されている。

このように、今後のオマーンの経済発展を考えるに当たって港湾が重要な役割を果たし ていくことが求められている一方で、全国的な港湾開発・運営に対する明確なビジョンが 存在せず、オマーンの発展にとって貴重な資源である港湾が十分に活用されているとは言 えない状況にある。

本調査は、そのような状況を打破し、オマーン国の発展のため港湾の果たすべき役割を 明確にするとともに、全国的に整合性の取れた港湾開発・運営計画を策定するものであり、

その重要性は非常に高いものと思われる。

6-2 調査の内容と範囲

本調査は、全国的な港湾開発及び管理・運営のあり方に関するマスタープランを作成す るものであり、個々の港湾の開発に関する F/S を行うものでなく、具体的な施設整備計画 を作成するものでもない。調査の対象はオマーン国全域とするが、本調査により選定され た戦略港湾の整備・管理/運営方針と地方港湾の今後のあり方に重点を置く。

調査の目的は、港湾網整備に係わる 2025 年を目標とする全国港湾網戦略的開発 M/P を 作成するものである。全国港湾網戦略的開発 M/P では、2025 年を目標に港湾施設開発、港 湾管理運営、港湾財務スキームの3つの長期開発戦略を構築すると共に、2010 年度を目途 に短期の港湾開発戦略を立案し、オマーン国第 7 次 5 ヵ年計画(2006 年-2010 年)の港 湾部門の計画に組み込むことである。

長期開発戦略では、地域開発や国際競争を考慮し、港湾の役割・必要性、立地条件を踏 まえ、全国的な港湾網の検討を行うとともに、それを踏まえた港湾の分類及び港格の設定、

戦略投資港湾の選定を行う。また、港湾管理運営の効率化策、港湾の開発、管理・運営面 での国と地方の役割、民間参入の指針を定める。

次期 5 ヵ年開発計画のオマーン政府部内の調整が 2005 年早々から始まることが見込ま れている。本調査の中で提案する 5 ヵ年計画のガイドラインはそれに間に合うように作成 する必要があり、遅くとも 2005 年1月までには当該ガイドライン案をオマーン側に提出 する必要がある。また 2004 年 1 月から JICA 全国道路網開発調査がスタートする予定であ り、それと調整を図りつつ本調査を実施する必要があることから、できるだけ早期に本調 査が実施される必要がある。

本件調査は 2003 年度案件として実施されるが、環境社会配慮調査の内容については、

2004 年 4 月より施行される新 JICA 環境社会配慮ガイドラインの基本方針を可能な限り反 映する方向で計画するものとする。

6-3 調査工程及び要員構成

(1)調査工程

調査スケジュールは、事前調査 2 で政策調査を実施し、本格調査は、S/W 協議での合意 の内容に基づき実施し、具体的には以下の 2 段階の進め方が適当である。

表 6.3.1 調査工程表

(2)事前調査2(政策調査)

1) 第一次国内作業では、事前調査1で入手した情報・資料のレビューを行い、調査の基

12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 事前調査1

S/W協議

事前調査2

政策調査

本格調査

現地調査 国内作業

報告書

平成15年度 平成16年度 平成17年度

IC/R P/R

第一年次

IT/R F/R

第二年次 時期

事項

DF/R 今年度 次年度

事前調査報告書 (政策調査)

2) 第一次現地作業では、オマーン国の港湾現地踏査を実施後、各々の港湾の問題点を抽 出するとともに、社会経済状況・港湾の状況等に関する現状分析を実施し、以下の検討を 行う。

・ GCC, Indian-subcontinent とオマーンの立地優位性再検討

・ 産業別開発需要の概略見通しと港湾関連産業立地需要一次見直し

・ 国際トランシップメント、クルーズ旅客新規開発ポテンシャル分析

・ 地域別開発方向と港湾別機能分担代替案作成

・ インフラ、上物投資必要規模、港湾収入の概略検討

・ 港湾制度リフォームの基本的方向と検討手順の提案

・ 港湾整備長期政策・5 ヵ年計画案策定手順と本格調査の港湾開発戦略の骨子作成 3) 第二次国内作業では、政策調査の概要報告書と本格調査の港湾開発戦略の骨子を策定 する。

(3)本格調査

1) 第一次国内作業では、事前調査2で入手した情報・資料のレビューを行い、調査の詳 細実施計画の策定と長期政策の基本方向を検討し、インセプション・レポートを作成 する。

2) 第一次現地作業において、港湾現地補足踏査と社会経済状況、港湾状況の補足調査、

主要港の環境現況調査(概念図作成)とステークホルダー分析を実施する。この際、

現地再委託による当該港湾についての補足的な貨物・旅客流動調査、国境間の物流調 査を実施する。また、近隣諸国の競合港の第三国調査を実施する。それらの現状調査 より長期政策にかかる各種動向の予測し長期港湾政策を策定する。これに基づき、戦 略開発港湾の初期環境調査としてスコーピングを実施する。スコーピングのための基 礎情報・特別な専門項目の調査は、現地再委託調査により実施する。さらに主要港湾 整備段階開発計画を策定し、5 ヵ年計画優先プロジェクトを検討し、プログレス・レ ポートを作成し相手政府と協議・決定する。

3) 第二次国内作業において、長期港湾整備計画の社会・経済効果分析を行うとともに 5 ヵ年計画のガイドライン、初期環境評価と EIA が必要な優先プロジェクトの EIA フレ ームワーク案の作成、港湾セクターの計画立案を行い、インテリム・レポートを作成 する。

4) 第二次現地作業において、5 ヵ年計画のガイドライン、港湾セクターの計画を相手政府 と協議・決定する。5 ヵ年計画での短期整備プロジェクトの経済分析、法制度上の改 善策、初期環境評価の策定をする。初期環境評価についてステークホルダーと協議し、

計画と環境社会配慮内容について合意形成を図る。また、影響の重大さが想定される 優先プロジェクトについては、環境容量の予備的評価と、EIA 実施方法のフレームワ ークを策定する。

5) 第三次国内作業では、戦略港湾の形成に向けての総括的な提言・アクションプランを とりまとめる。

6) 第三次現地作業においてドラフト・ファイナル・レポートを相手政府に提出し協議す る。影響の重大さが想定される優先プロジェクトについて策定された環境社会配慮内 容について、ステークホルダーと協議し、合意形成する。

7) 第四次国内作業では、相手政府の意見を盛り込みファイナル・レポートを作成する。

8) セミナーをステアリングコミッティに参加する関係機関などと 3 回開催する。開始時 期はそれぞれインセプション・レポート、インテリム・レポート、ドラフト・ファイ ナル・レポートの提出時期とする。

9) ワークショップを関係機関や地方政府、船会社などの民間事業者も交え、3 回開催する。

開始時期はそれぞれインセプション・レポート、インテリム・レポート、ドラフト・

ファイナル・レポートの提出時期とする。

(4)本格調査団の構成

本格調査を実施するために必要な団員として以下の構成が考えられる。

総括/港湾政策 ・ 調査業務全体の総括

・ 港湾政策全般

・ 開発基本戦略の方針策定 港湾計画 ・ 港湾関連計画のレビュー

・ 現行の港湾配置の現状と問題点の抽出・整理

・ 港湾整備の現状と問題点の抽出・整理

・ 全国港湾網の検討

・ 港湾ヒエラルキーの策定

・ 戦略港湾の開発規模と必要投資額の検討

・ 地方港湾の開発方針の策定

・ 優先プロジェクトの選定と開発計画策定 航行安全 ・ 航路及び航行援助施設の現状分析と課題の抽出

・ 港内航路・泊地(航行援助施設を含む)整備のあり方の 検討

地域開発計画 ・ 関連する地域開発計画、工業団地計画、FTZ 計画のレビ ュー

・ 道路と空港インフラの整備状況と将来計画の把握

・ 港湾の地域経済における役割の評価と将来展望の検討

・ オマーンでの港港背後圏の産業構造/流通動向の分析

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