3 コンテンツ市場の動向
3.1 映像系
3.1.2 映画市場
日本映画製作者連盟の全国映画概況(図表 3-5)によれば、2006年(1月~12月)の映画市場では、
邦画の興行収入が21年ぶりに洋画を上回り、洋画の落ち込みを補う形で好調であった。邦画の興行収 入は興行収入2,029億円(前年比2.4%増)のうち1,079億円(前年比32%増)で、53.2%を占めてい る。公開本数も前年比17.1%増の417本と、洋画の404本(前年比7.7%増)を上回った。映画館数(ス クリーン数)も、図表 3-6のとおり、シネマコンプレックスの増加を背景に、136 スクリーン増加し ている。
興行収入10億円以上の邦画の上位10作品は、図表 3-7のとおり、『ゲド戦記』『LIMIT OF LOVE海 猿』『THE有頂天ホテル』『日本沈没』『デスノートthe Last name』『男たちの大和/YAMATO』『劇場版 ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ポケモンレンジャーと蒼海の王子マナフィ』『ド ラえもん のび太の恐竜 2006』『涙そうそう』『名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)』で あり、東宝配給作品が上位を占めているのが特徴的である。
このうち『劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ポケモンレンジャーと蒼海 の王子マナフィ』『ドラえもん のび太の恐竜2006』『名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)』
はシリーズもののアニメーション作品であり、依然として根強い人気を保っている。
『名探偵コナン』や『デスノート』などのように、雑誌、映画、テレビ間でのクロスメディア型の ビジネスは着実に定着しつつある。クロスメディア型ビジネスでは、例えば、マンガ週刊誌に掲載さ れている作品を映画化したり、テレビドラマ化したりといった事例が挙げられる。これまで、雑誌掲 載作品の映画化やテレビドラマ化が各々に行われていたのに対し、現在では、同一原作作品の映画化
27
やテレビドラマ化が盛んに進められるようになっている。これに伴い、映画化とテレビドラマ化、DVD 化までのサイクルが短縮化する動きもみせている。
この他、『日本沈没』のようなリメイク作品のヒットも目立った動きとして挙げられる。図表 3-7に 含まれていないが、『どろろ』のように、過去の人気マンガ作品の実写リメイクに取り組んでいる映画 も登場しており、今後、こうしたリメイク作品が人気を集める可能性が高い。
洋画の興行収入10億円以上の上位10作品は、図表 3-8のとおり、『ハリー・ポッターと炎のゴブレ ット』『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』『ダ・ヴィンチ・コード』『ナルニ ア国物語 第一章:ライオンと魔女』『M:i:III』『Mr. & Mrs.スミス』『フライトプラン』『チキン・リト ル』『ワールド・トレード・センター』『キングコング』であり、邦画と同様にシリーズものが上位を 占める一方で、『ダ・ヴィンチ・コード』のヒットが目立つ。
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』や『ダ・ヴィンチ・コード』は書籍も出版されており、ク ロスメディア型ビジネスが成功した例といえる。
『キングコング』は1933年の同名作品のリメイクである。現在ハリウッドでは、旧作のリメイクの みならず、日本映画や韓国映画のリメイク権を取得し、映画化する動きが活発になっている。制作費 が巨額化するとともに、冒険的な原作の採用や若手制作スタッフの登用が次第に難しくなり、低リス クでの映画制作が主流となったため、洋画の企画力が低下しているとみる向きもある。『The Ring』や
『The Grudge』、『Shall we Dance? シャル・ウィ・ダンス?』のように、日本映画をリメイクして大 ヒットとなった作品もあることから、今後も日本映画のリメイクが続くことが予想される。
邦画市場においては、テレビ局が製作委員会に参加(製作費に出資)するのみならず、テレビ局主 導による映画製作が目立つ状況となっており、媒体力を生かした宣伝効果から数々のヒットを連発し ている。邦画市場の好調の背景として、洋画の企画力の低下、邦画の制作力、企画力が年々上がって いる等が挙げられるが、公開本数の増加は日本映画のバブルともいわれており、2007年の動向が注目 される。
主要映画会社の興行では、直営の映画館を閉鎖しシネマコンプレックスへと転換する動きが強まっ ている。シネマコンプレックスは、比較的小規模な映画館が複数集まって形成されている複合型の施 設であり、邦画・洋画を問わず、公開されている作品を1ヵ所で楽しめるという利点を持っている。
また、ショッピングセンターや娯楽施設が併設されていることが多く、買い物ついでに映画を楽しむ ことが可能となっている。今後も、主要映画会社の興行におけるシネマコンプレックス化が続くと予 想される。
28
図表 3-5 2006年(平成18年)全国映画概況(日本映画製作者連盟調べ)
区分 平成18年 前年比 平成17年 入場人員 164,585 千人 102.6% 160,453 千人
全体 202,934 百万円 102.4% 198,160 百万円 邦画 107,944 53.2% 132.0% 81,780 41.3%
興行収入
洋画 94,990 46.8% 81.6% 116,380 58.7%
平均入場料金 1,233 円 99.8% 1,235 円
全体 821 本 731 本
邦画 417 本 356 本
公開本数
洋画 404 本 375 本
映画館数 3,062 スクリーン 2,926 スクリーン
図表 3-6 全国映画統計(日本映画製作者連盟調べ)
2004年 2005年 2006年
区分 単位
数値 前年比
(単位:%) 数値 前年比
(単位:%) 数値 前年比
(単位:%)
邦画専門館 213 92.2 191 89.7 152 79.6 洋画専門館 387 84.5 328 84.8 200 61.0 邦洋混映館 2,225 111.7 2,407 108.2 2,710 112.6 映画館数
合計 館
2,825 105.4 2,926 103.6 3,062 104.6
邦画 310 108.0 356 114.8 417 117.1
洋画 339 101.2 375 110.6 404 107.7
公開本数
合計 本
649 104.3 731 112.6 821 112.3 入場者数 千人 170,092 104.8 160,453 94.3 164,585 102.6 興行収入 百万円 210,914 103.8 198,160 94.0 202,934 102.4 成 績
平均入場料金 円 1,240 99.0 1,235 99.6 1,233 99.8
29
図表 3-7 2006年(平成18年) 興行収入10億円以上の邦画(日本映画製作者連盟調べ)
順位 公開月 作品名 興収
(単位:億円) 配給会社
1 7月 ゲド戦記 76.5 東宝
2 5月 LIMIT OF LOVE海猿 71 東宝
3 1月 THE有頂天ホテル 60.8 東宝
4 7月 日本沈没 53.4 東宝
5 11月 デスノートthe Last name 52 WB
6 05/12月 男たちの大和/YAMATO 50.9 東映
7 7月 劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーシ
ョン ポケモンレンジャーと蒼海の王子マナフィ 34 東宝 8 3月 ドラえもん のび太の恐竜2006 32.8 東宝
9 9月 涙そうそう 31 東宝
10 4月 名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌(レクイエム) 30.3 東宝
11 6月 デスノート 前編 28.5 WB
12 5月 明日の記憶 22 東映
13 6月 トリック-劇場版2- 21 東宝
14 2月 県庁の星 20.8 東宝
15 7月 ブレイブ ストーリー 20 WB
16 05/12月 あらしのよるに 18.8 東宝
17 10月 木更津キャッツアイ ワールドシリーズ 18 アスミックエース
18 3月 子ぎつねヘレン 17.8 松竹
19 9月 フラガール 14 シネカノン
20 4月 映画 クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ踊れ!アミー
ゴ! 13.8 東宝
21 8月 UDON 13.6 東宝
22 5月 嫌われ松子の一生 13.1 東宝
23 9月 永遠の法 12.5 東映
24 1月 博士の愛した数式 12 アスミックエース
24 6月 バルトの楽園 12 東映
24 11月 手紙 12 GAGA
27 4月 チェケラッチョ!! 10.8 東宝
28 6月 タイヨウのうた 10.5 松竹
30
図表 3-8 2006年(平成18年) 興行収入10億円以上の洋画(日本映画製作者連盟調べ)
順位 公開月 作品名 興収
(単位:億円) 配給会社
1 05/11月 ハリー・ポッターと炎のゴブレット 110 WB
2 7月 パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェ
スト 100.2 BV
3 5月 ダ・ヴィンチ・コード 90.5 SPE
4 3月 ナルニア国物語 第一章:ライオンと魔女 68.6 BV
5 7月 M:i:III 51.5 UIP
6 05/12月 Mr. & Mrs.スミス 46.5 東宝東和
7 1月 フライトプラン 31.2 BV
8 05/12月 チキン・リトル 26.8 BV
9 10月 ワールド・トレード・センター 24 UIP
10 05/12月 キングコング 23.5 UIP
11 7月 カーズ 22.3 BV
12 10月 父親たちの星条旗 17 WB
12 11月 プラダを着た悪魔 17 FOX
14 05/12月 SAYURI 15.5 松竹/BV
15 9月 X-MEN:ファイナル ディシジョン 15.3 FOX
16 8月 スーパーマン リターンズ 15 WB
17 6月 ポセイドン 14 WB
18 8月 森のリトルギャング 11 アスミックエース
18 9月 イルマーレ 11 WB
20 4月 Vフォー・ヴェンデッタ 10 WB
20 4月 プロデューサーズ 10 SPE
20 9月 ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT 10 UIP