第 5 章 実験例
5.3 映画の編集パターンとの比較
表5.3:映画 妻よ薔薇のやうに の模擬映像の撮影で用いたショット
s1:シーンの全景 s2:テーブル上のアッ プショット
s3:人物Aのクロース アップ
s4:人物Bのクロース アップ
s5:人物 Aの OTS(肩 越し)ショット
s6:人物 B の OTS(肩 越し)ショット
s7:人物Aを上から見 下ろしたショット
s8:人物Bを下から見 上げたショット
表5.4:映画 妻よ薔薇のやうに の模擬映像の編集で使用したイベント イベント イベントの内容
e1(t) 人物Aの発話
e2(t) 人物Bの発話
e3(t) 手元作業を表すキーワードの発話 e4(t) 人物Aの上半身を動かす動作 e5(t) 人物Bの上半身を動かす動作 e6(t) 人物Aの表情の変化
e7(t) 人物Bの表情の変化
表5.5:映画 妻よ薔薇のやうに の模擬映像の編集で使用した評価関数と制約 評価関数や制約 効果
o1A(t) [0,0,0,0,20e1(t),20e2(t),0,0]
o1B(t) [0,0,20e1(t),20e2(t),0,0,0,0]
o1C(t) [0,0,0,0,0,0,20e1(t),20e2(t)]
o2(t) [0,0,0,0,20e1(t+ 1),20e2(t+ 1),0,0]
o3(t) [0,0,0,0,20e1(t−1),20e2(t−1),0,0]
o4(t) [0,100e3(t−1),0,0,0,0,0,0]
o5(t) (t ¡ 3でのみ)[100,0,0,0,0,0,0,0]
o6A(t) [0,0,0,0,30e4(t),30e5(t),0,0]
o6B(t) [0,0,30e4(t),30e5(t),0,0,0,0]
o6C(t) [0,0,0,0,0,0,30e4(t),30e5(t)]
o7(t) (40 ¡ tでのみ)[50,0,0,0,0,0,0,0]
o8(t) [0,0,0,0,50e6(t),50e7(t),0,0]
o8B(t) [0,0,50e6(t),50e7(t),0,0,0,0]
o8C(t) [0,0,0,0,0,0,50e6(t),50e7(t)]
o9(t) 何もイベントが起きてない時刻では前のセグメントと同じショットを持つ解に5点加算 c1 一つのショットは最低3セグメントは連続する
c2 一つのショットは最低3セグメントは連続する(t <0,35 < tでのみ)
表5.6:映画 妻よ薔薇のやうに の模擬映像の編集で使用した評価関数と制約の組み合わせ 編集例 使用した制約と評価関数
edit1 o1A,o4,o5,o6A,o7,o8A,o9,c2 edit2 o1A,o4,o5,o6A,o7,o8A,o9,c1 edit3 o2,o4,o5,o6A,o7,o8A,o9,c1 edit4 o3,o4,o5,o6A,o7,o8A,o9,c1
edit5 o1B,o4,o5,o6B,o7,o8B,o9,c1
edit6 o1C,o4,o5,o6C,o7,o8C,o9,c1
表5.7:映画 妻よ薔薇のやうに の模擬映像の編集結果とイベント生起表(横軸は時刻) 各編集例 編集結果
edit1 111555555555566655556666111111256656111111111111111 edit2 111555555555566655556666111111222666111111111111111 edit3 111555555555566666555666111111222666111111111111111 edit4 111555555556666555666655511111222666111111111111111 edit5 111333333333344433344444111111234434111111111111111 edit6 111777777777788877788888111111278878111111111111111 e1 001111111111000011100000100000010010000011110000000 e2 110000000000111100011111000001001000000000001111000 e3 000000000000000000000000000001000000000000000000000 e4 000000000000000000000000011111000001111111111111111 e5 000000000000000000000000000000000000000000000000000 e6 000000000000000000000000000001000000000000000000000 e7 000000000000000000000000000000000000000000000000000 イベント 生起状況
ンの最初から,途中でドリーショットが用いられるまでの約1分程のシーンである.
オリジナルの映像を模擬して編集した映像の評価関数の設定を表5.12のedit1として示す.
このシーンは二人が交互に発話する典型的な2人の会話シーンだが,ショット切り替えの回数 が少なく,初話者をその人物だけに特化したショットで映されるのも最初の一回目の発話時だ けである.よって,両者とも最初の一回目の発話に対してのみ,その人物のクロースショット にスコアをつける評価関数o1を使用した.加えて各人物のクロースアップに2回目に切り替 えた場合,その解のスコアを0として強制的に解候補から外す後評価関数o8を使用した.そ の後も両者の言葉のやりとりは続けられるが,途中二人が足下でじゃれあった時に足下をアッ プで映したショットが含まれるだけで,あとは全てシーン全体が映るロングショットで映され る.そのため,足下でじゃれあう動作をイベントe7として定義し,そのイベントが生起した 時のみ足下のショットが使われるように評価を行う評価関数o7を使用した.それ以外はロン グショットで映されるため,無条件にロングショットに小さなスコアを与える評価関数o7Aを 使用した.これによって各人物の最初の発話時と足下でじゃれあう時以外はロングショットが 選ばれ,オリジナルと同様の編集パターンを得ることができた.実際にオリジナルとオリジ ナルに似せて模擬映像を編集したものとを比較したものを表5.14として示す.
次にオリジナルの映像で全体ショットが長く使用されていることに注目し,足下のアップ ショットが使われる前と後で全体を映すショットを変えたら見る者はどのような印象を受け るか考察した.edit2,edit3,edit4ではedit1で使われていた評価関数の(o4A,o5A,o7A)を それぞれ(o4B,o5B,o7B),(o4C,o5C,o7C),(o4D,o5D,o7D)に変更した.それに伴って,
表5.8:映画 妻よ薔薇のやうに の模擬映像との比較 オリジナルの映画
のシーン
模擬して撮影した
シーン 主な台詞
娘:母さん,いい歌できて?
母:素敵よ,いいかい?「はるくれば・・・
娘:いいわね.よくわかんないけど
母:お前はこういう方面はだめなのね
娘:母さんの歌と似たようなもので今日は 私,傑作があるのよ
娘:これよ
母:・・・
娘:ぬた
母:もうばか言って
母:お前,お勝手までするの骨だろ
表5.9:映画 お引越し の模擬映像の撮影で用いたショット
s1:シーンのロングシ ョット
s2:足下のショット s3:人物Aのクロース アップ
s4:人物Bのクロース アップ
s5:s1とイマジナリラ インを挟んで180逆 から撮影したショット
s6:s1 を撮ったカメラ 位置の少し上から撮 影したショット
s7:s1を撮ったカメラ 位置の少し右から撮 影したショット
s8:s1を撮ったカメラ 位置の少し左から撮 影したショット t= 13 ∼26で全体をショットs1で映して,その後足下のショットs2を使用した後,t= 35 から使用されるショットがそれぞれs5,s6,s7に変更された.s6,s7はs1との構図の大きな 違いがないため,edit3,edit4は特に違和感は感じなかったが,edit2はs1と構図が180度違 うs5が使用されて人物の位置が左右逆になるために非常に大きな違和感を感じた.おそらく 2つの構図が似ているショットでもそれらを直接はつながず,途中で一つ違うショットを挟む 場合は問題はないが,構図が似ていて,更にイマジナリラインを越えてしまうと,途端に見 にくい映像になるのではないかと感じた.
同様に,edit5,edit6,edit7はt= 21で突然ショットを変更したら見るものはどのような印 象を受けるか確かめた.こちらは先ほどのedit2〜4とは違い,足下のショットを挟まずに,突 然構図の似ている別のショット,もしくは180度逆の構図をもつショットに入れ替わる.edit7
はedit4と同様に方向が完全に逆になるため,edit2と同様の理由で大きな違和感を受け,見
にくい映像になった.それに対してedit5,edit6は似ているがわずかに違うショットに変わる ため,何かが動いたような印象を受け,非常に見にくい映像になった.これから直接,似て いる構図のショットをつなぐことにより,本来何もなかったシーンで何かが起きた,動いたか のような誤解を見る者が受けてしまうことが確認できた.
表5.10:映画 お引越し の模擬映像の編集で使用したイベント イベント イベントの内容
e1(t) 人物Aの発話 e2(t) 人物Bの発話 e3(t) 人物Aの笑い e4(t) 人物Bの笑い
e5(t) 人物Aのジェスチャ動作 e6(t) 人物Bのジェスチャ動作 e7(t) 足でいたずらをする動作