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①簡易調査結果

対象施設全体に対して簡易調査(簡易項目及び重点項目)により老朽化の程度を把 握し、老朽化度及び健全度の評価を行った。表-2.4及び表-2.5に老朽化度及び健全度 の評価結果並びに簡易調査結果の考察を示す。本施設の健全度は「C」であった。本 施設の機能保全レベルは「タイプ

3」であるため、現時点では機能保全対策の必要はな

いと考えられる。

表-2.4 老朽化度・健全度の評価結果

No.1 No.2 ・・・ No.15 a 本体の一部がマウンドから外れ

ている。

b 隣接ケーソンとの間に側壁厚程 度(40~50cm)のずれがある。

c 小規模な移動がある。

d 老朽化なし。

a 目視でも著しい沈下(1m程度) が確認できる。

b 隣接ケーソンとの間に数十cm程 度の段差がある。

c 隣接ケーソンとの間に数cm程度 の段差がある。

d 老朽化なし。

a 防波堤の性能に影響を及ぼす程 度の欠損がある。

幅1cm以上のひび割れがある。

小規模な欠損がる。

c 幅1cm未満のひび割れがある。

d 老朽化なし。

a 中詰材等が流出するような穴開 き、ひび割れ、欠損がある。

複数方向に幅1mm程度のひび割 れがある。

広範囲に亘り鉄筋が露出してい る。

一方向に幅1mm程度のひび割れ がある。

局所的に鉄筋が露出している。

d 老朽化なし。

本体工

老朽化度

d D

b

c

d

c C b

コンクリート の劣化、損傷 目視

・ひび割れ、剥離、損 傷、欠損

・鉄筋露出

・劣化の兆候など

d 上部工 コンクリート

の劣化、損傷 目視

・ひび割れ、損傷、欠

・劣化の兆候など

c

d

c

d C

沈下 ・目地ずれ、段差 d c

健全度の評価

施設全体 移動

目視(メジャー 等による計 測を含む、

以下同じ)

・水平移動量 d c

調査位置 調査項目 調査方法 変状 確認される変状の程度 スパン毎の老朽化度の評価

C

様式9に記載 簡易項目(重点項目)の結果を示す スパン毎の評価結果 施設全体の評価結果

表-2.5 簡易調査結果の考察

・施設の老朽化の程度、老朽化度の評価結 果を記入する。

調 調査結果・考察等

施設全体

移動 水平移動量

隣接ブロックとの間に小規模な移動が確認された。最大で

10cm

程度(c 判定)の移動であり、施設の機能にかかわる老朽化では ないが、継続して観察する必要がある。

沈下 目地ずれ、

段差

隣接ブロックとの間に段差が確認された。最大で

8cm

程度(c 定)の段差であり、施設の機能にかかわる老朽化ではないが、継 続して観察する必要がある。

上部工 コンクリートの 表面にゲル状物質の析出と最大で幅

0.8mm

程度(c判定)の網目

②詳細調査結果

簡易調査の結果は「健全度C」で、現時点では機能保全対策が必要な状態ではない。

しかし、上部工の表面に網目状ひび割れやゲル状物質の析出が見られアルカリシリカ 反応による老朽化が疑われることから、コンクリート強度の確認とアルカリシリカ反 応の進行の有無を確認するため、詳細調査としてコンクリートの圧縮強度試験、粉末

X

線回折(骨材の反応性確認)及び残存膨張量の測定(膨張の可能性確認)を行った。

それぞれの試験に用いるコアサンプリングは、当該施設の中で建設年次が古く、か つ、ひび割れ幅が大きいことにより、最も老朽化が進行していると考えられるスパン

No.1

の中で、ひび割れのない健全な部分(調査位置

A)から採取した(図-2.3)。

No.1 No.2 No.3 No.15

西防波堤

L=300m

10m 290m

調査位置

A

図-2.3 コアサンプリング位置

a. 圧縮強度試験

圧縮強度試験結果を表-2.6 に示す。コンクリートの圧縮強度試験結果は、圧縮強度 試験計基準強度

18N/mm

2に対し、平均圧縮強度で

22.3 N/mm

2と大きく上回ったものの、

ヤング率は圧縮強度

22N/m

2のコンクリートで得られる一般的な値より低く、アルカリ シリカ反応が疑われる結果となった。

表-2.6 圧縮強度試験結果 調査位置 供試体

No.

圧縮強度

(N/mm

2

)

平均圧縮強度

(N/mm

2

)

設計基 準強度

(N/mm

2

)

判定

調査位置A

A-1 21.7

22.3 18.0

A-2 20.8 A-3 24.5

b. アルカリシリカ反応に対する試験結果

粉末

X

線回折の結果を表-2.7 に示す。アルミネート系水和物、水酸化カルシウム等 のアルカリ反応性鉱物が確認された。検出量は、X線回折結果より定性的に評価した。

表-2.7 アルカリシリカ反応に対する試験結果

セメント鉱物 調査位置A

エトリンガイト

3CaO・Al

2

O

3・3CaSO4・32H2

O

△ アルミネート系水和物

4CaO・Al

2

O

3・13H2

O

○ 水酸化カルシウム

Ca(OH)

2注)検出量の多さ ◎:大、○:中、△:小

c.残存膨張量の測定

次に、残存膨張量の測定結果を図-2.4に示す。試験開始後

14

日が経過した時点 において、膨張率が

0.2%を超えており、残存膨張性がありという判断結果となり、

今後もアルカリシリカ反応が進行することが懸念される。

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50

0 7 14 21 28 35

張率

(%)

材齢(日) コンクリート・コア促進膨張試験結果

調査位置A

図-2.4 促進膨張試験結果

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