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「新大学院獣医学研究科」構想

ドキュメント内 唐木A報告書冊子_すべて).PDF (ページ 193-200)

配置 下記の4センターを適地に設置する。研究テーマや教育内容等に適合する場合は、そ の場所で教育・研究にあたる。各センターは、複数の地域に分散させることも考えられる。

(例)

国 際 疫 学 講 座 を 中心

として構成 病態解析学講座

中心として構成

附属動物医 療

教育研究セ ン

ター

保 全 生 物 学 講 座 を中

心として構成

人獣共通伝 染

病教育研究 セ

ンター

機能回復学講座

中心として構成

共同利用施 設

共同利用施 設

産業動物臨 床

教育研究セ ン

ター

獣医保全生 物

学教育研究 センター

資料2

東大自助努力案概要

現在進められている獣医学教育の再編過程で、東京大学はこれまでいわゆる自助努力校 という位置づけで検討を進めてきた。しかし、1校の改組のみで獣医学教育のニーズに 答え、且つ高度の研究・教育水準を維持することは、非常に困難である。こうした状況 をふまえた上で、これまでの経緯に着いて概要を述べる。

I)東京大学の獣医学教育の目指すもの:東京大学に対する社会的要請と本大学の独自 性をふまえたうえで、21世紀の社会的ニーズに対応する獣医学領域の指導的役割を果 たす人材の育成及び大学院大学として応用動物生命科学研究を推進することを目的と する。そのため具体的には以下の項目について検討を進めてきた。

1, 獣医学学部教育の充実

2, 先端医療等、高度獣医療の専門家の育成

3, 公衆衛生学、環境科学等学際的社会獣医学の専門家の育成

4, 大学院大学として、基礎獣医学を含む応用動物科学の基盤研究の推進

II)上記項目について学内及び学内外のメンバーからなる委員会等を組織して検討を進 めて、答申を得た。

項目1については、あしかけ2年間にわたる委員会の検討を経て一応の結論を得ている。

自助努力目標として、より充実した獣医学学部教育を行うためには概ね臨床系が13分 野、非臨床系が17分野の合計30専門分野が必要である。組織の規模については教官 としては90名、学生としては60名程度が妥当であると思われる。また教育コースと しては2年間の教養課程、5年次までの獣医学教育、6年次での選択コースからなる。

  カリキュラムとしては、1)疾病予防と制御、治療に必要な獣医医療、2)動物由来 感染症、食品衛生等の獣医公衆衛生、3)応用動物生命科学に関する基盤研究、4)国 内外の獣医畜産行政対応及び野生動物を対象とした環境科学に関する教育を行う。学部 教育で完結出来ない専門領域に関しては大学院の他に、以下の項目で述べる専門家育成 スクールを卒後コースとして設置する。

項目2については、6年次の臨床コースを終了後、2年間の獣医臨床専門家育成スクー ルを新設する(ディプローマ制)。獣医学の基幹講座、協力講座の他に連携併任講座を 新設し、外部からの併任ポストも利用し充実を図る。スクール設置後は臨床獣医学専門 科目を履修し専門医としての資格を修得する、大学院博士課程に進学する、就職する等 の選択が可能になる。

項目3については、外部委員も入れ現在検討中である。社会獣医学専門大学院として高 度な公衆衛生行政に適応出来る人材等の育成を目指す。特に国際的行政対応、危機管理 学、疫学、コストパーフォーマンスなど幅広い学際的対応の実学教育を実践する。既に 獣医師として活躍している社会人を対象にし、柔軟な教育制度を利用して教育する(年 限は最低2年、最長5年の在学で総単位を取得可、産官学から連携併任、非常勤等で実 学経験を有するスタッフを招聘する)。また外部の機関との単位互換等も積極的に考え る(ディプローマ制)。

項目4については、基礎獣医学専攻および応用動物科学専攻を中心に、応用動物生命科 学の基盤研究を推進するための組織構築を検討している。前述の臨床獣医学、社会獣医 学部門との連携のあり方、動物病院・牧場等の付属施設のあり方についても検討を進め ている。

       (文責  東大獣医専攻長  吉川泰弘  )

資料3

大阪府立大学の改革案      (注:  図表一部割愛)

1.  獣医学専攻・学科の改革の目的・趣旨

緊急課題としての獣医学教育の高度化

獣医学は、生物学を基盤とする応用科学であり、ヒトと動物の生命科学を通じて社会福 祉に貢献することを目的とし、これを達成するための学理の探求と技術の開発を行うもの である。わが国の獣医学教育は、これまで動物性蛋白の供給を目的とした畜産動物の疾病 予防・治療や伴侶動物の治療・健康管理等を中心に行われてきた。最近、北米や欧州にお ける獣医師養成教育の国際標準化が進む中で、わが国の獣医学教育の高度化が国内外から 強く求められるようになってきた。わが国の獣医学教育研究体制を欧米諸国と比較したと き、基礎獣医学領域の整備状況に比して、応用及び臨床獣医学領域における不十分さは明 らかであり、その改善は緊急の課題となっている。

「大阪の健康」を支えるための貢献

大阪府立大学農学部獣医学科は明治16年に開校された獣医講習所を母体とし、これまで 100年以上にわたって、大阪を含む近畿圏はもとより、わが国の獣医学教育・研究の先導的 役割を果すとともに、有為な人材を数多く社会に送りだしてきた。日本有数の商工業地帯 である大阪は、わが国の産業構造の変化に伴い展開を繰り返してきたが、近年の急速な技 術革新や開発途上国の発展、さらには高齢化社会の形成にともなって大阪地域の伝統産業 である医薬、化学、食品産業もかつての活力は衰退しつつある。人口過密都市、大阪にお いては、交通・流通技術革新にともなう国内外からのヒトおよび物流の大規模な移動がお こなわれ、これに起因する伝染性疾患や中毒が短期間にかつ広範囲に拡大する危険性を作 りだしており、また人口過密による環境汚染問題などの社会生活の混乱を招いている。「食」

に関連して、遺伝子組換えを含むバイオテクノロジーの脅威的発展が食品素材にも及び、

食品自体の安全性の確保がこれまでになく求められるようになってきている。家畜や伴侶 動物の医療から発展した獣医学は、現在では世界的視野に立ったヒトの健康にも密着した 高度な獣医学教育・研究を行うことが求められている。

さらにアジア諸国における熱帯雨林の急激な開発は、新興・再興感染症の発生を引き起 こしており、また、地球的規模の温暖化により、熱帯地域に限局していた重篤な感染症発 生地域が北進することも危惧され、とくにアジアのハブ都市を目指す大阪には、ヒトと動 物間で移行しうる感染症の進入に対する防疫体制の整備が緊急の課題となりつつある。こ れらの感染症の制圧体制の整備はわが国のみでは完結し得ないものであり、国際協力を通 じて各国間の幅広い情報交換や人的交流が必須である。

獣医療を通じた貢献

近年、動物福祉精神の広がりにより、人々は「愛玩動物」とされてきた小動物を「伴侶 動物」として捉えるようになり、その診療に対し、極めて高度なものが要求されるように なってきている。例えばイヌはヒトの伴侶動物としての高い地位を占める一方、その優れ た特質を利用して警察犬、麻薬探知犬および災害救助犬などとして幅広く活躍し、その実 績が広く社会に認知されるようになってきた。盲導犬や聴導犬をはじめとする介護犬も含 めて、これらの高度に訓練された優秀な伴侶動物に対する先端的な診断・治療の要望も確 実に増加し、これまでの産業動物主体の経済性に重点をおいた獣医学に加えて、高度診断 治療のための教育体系の変革が強く求められている。そのためには先端的な機器診断法の 確立や動物のみならずヒトの医療にも適用可能な新素材の開発・応用のための研究体制の 整備が必要である。さらに、近年の環境保護に対する関心の高まりや輸入動物の多様化に より、獣医学が取り扱う動物の種類も著しく増加し、その疾病の診断治療法の開発ととも に、これらの動物と従来の飼育動物やヒト間で移行しうる感染症の制御方法についての教 育研究も新たな重要な課題である。

基礎獣医学と臨床獣医学の連携による研究教育体制の強化

  生命科学分野で広く用いられている分子生物学的手法は革新的な研究の展開をもたらし たが、獣医学においても研究はますます先鋭化し細分化される傾向にある。しかしながら、

獣医学分野では、分子レベルの病態解析のための研究体制の整備は未だ限定的であり、研 究者の数も十分とはいえない状況である。獣医学の将来を展望するとき、遺伝子診断およ び遺伝子治療を視野に入れた教育研究体制の充実は重要な課題であり、そのためには、分 子病態に関する豊かな知識と能力を有する臨床研究者の養成が強く望まれる。分子レベル の異常は、機能細胞の失調を惹起し、個体の疾患をもたらす。したがって、細胞の機能的 失調の道筋を解明し、この知見をもとにその診断治療法を開発しようとする細胞病態学は、

将来の獣医療の発展のため不可欠の研究領域であると考えられる。このためには、基礎生 命科学と獣医学との強力な連携をはかりながら新たなコンセプトを持った研究教育体制を 確立する必要がある。

新時代の要請に応えられる人材の養成

獣医学は、上述のような社会や時代の変化によって生み出される新たな諸問題に常に機 動的に、かつ、柔軟に対処していくためには、他の専門領域との連携を強化し、グローバ ルスタンダードを満たし、新時代の要請に的確に応えられる人材の養成をめざした教育目 標と研究体制の確立が必要になっている。本専攻においては、上述のような獣医学教育研 究に求められる環境の急速な変化に積極的に対応すべく,教育体系の高度化と、それを支 えるための教育研究組織の再編計画を農学部将来計画委員会に提出し、本委員会において

ドキュメント内 唐木A報告書冊子_すべて).PDF (ページ 193-200)