第 2 章 幼稚園、小学校低学年用の人権トピック
A. 新しい国を作ろう
人間が住める新たな陸地が発見されたことにします。ここには、まだだれも住んだことが ありません。だから、法律も歴史もありません。クラスの全員がここで暮らすことになり ました。この新しい国での権利を示す一覧表を作るため、少人数のグループが指名されま した。ただし、この新しい国で、だれがどんな地位に就くかはわかりません。
生徒は少人数に分かれて、この国に名前を付け、全員が合意できる 10 の権利を決めます。
それぞれのグループが権利のリストを持ち寄り、すべての権利を含めた「クラスの一覧表」
を作ります。このクラスの一覧表について話し合いましょう(いくつかの権利が取り除か れたらどうなるか、何か大事な権利が忘れられていないか、この一覧表とクラスのルール ではどこが違うか、など)。
(UDHR第13、21、26条;CRC第12、13条)
B. 「世界人権宣言」入門
世界人権宣言について紹介し、それが世界の人々全員の権利を書き出したものであること を説明します。そして、簡略版を朗読します(付録1を参照)。クラスの一覧表と同じよう な条文が出てきたら、この条文の番号を権利の横に書き込みます。
読み終わったら、結果について話し合いましょう。
z 人権宣言にある権利の中で、クラスの一覧表に入っていないものはありますか。生徒 は何か新たな権利をリストに加えたいと思うようになりましたか。
z クラスの一覧表にある権利の中で、人権宣言に入っていないものはありますか。
z 人権宣言には権利だけでなく、責任も含まれていますか。
「児童の権利に関する条約」の要約版を使って、同じようなことをするのもよいでし ょう。
(UDHR第21、26条;CRC第29条)
子どもの権利の初歩
A. 子どもの権利とは何か
人間全体としてではなく、特に子どもである自分たちに当てはまる権利や責任があるかど うか、生徒に聞いてみましょう。たまたまある時点で「子ども」だからという理由で、そ の人にしてはならないこと、あるいは、しなくてはならないこととは何でしょうか。
「児童の権利に関する条約」を紹介し、子どもが健康、安全かつ幸せに育ち、コミュニテ ィの中でよい市民になるために必要なものが保証されていることを説明します。子どもが 必要と権利との関係を理解できるよう、手伝ってください。
次のことについて話し合いましょう。
z 国連が子どもの人権だけを取り扱った文書を採択したのはなぜだと思いますか。子ど もに必要なことは大人に必要なこととどう違うでしょうか。
z 子どもに特別の保護が必要なのはなぜですか。例をあげてみましょう。
z 子どもの福祉に特別の規定が必要なのはなぜですか。子どもの生存、幸福、発育には 何が必要でしょうか。
z 子どもがコミュニティに参加する必要があるのはなぜですか。例をあげてみましょう。
z 子どもの権利尊重を確保するのは、だれの責任でしょうか(親、教員、他の大人、他 の子ども、政府など)。
B. 欲しいものと必要なもの
子どもを少人数のグループに分け、子どもが幸せになるために必要なものを、各自10枚の カードに書かせてください。古雑誌からの切り抜きを使っても、絵を描いても構いません。
カードに表題を付けるのを手伝ってあげてください。それぞれのグループがカードについ て説明し、それを「必要なもの」という見出しの下に貼ります。
次に、政府が変わり、必要なもの全部は出せなくなったため、グループは「必要なもの」
一覧の中から10個の項目を消さなければならなくなったことを告げます。選んだカードを 外して、これを「欲しいもの」という見出しの下に貼ります。
さらに、もう一度消去が必要になったことを告げ、グループに再び10の項目を削らせ、同 じことを繰り返します。
最後に、この活動について話し合いましょう。
z 最初に削られたものは何ですか。それはなぜですか。
z 欲しいものと必要なものはどう違いますか。
z 欲しいものと必要なものは人によって違いますか。
z クラスに必要なものを減らし続けなければならないとしたら、どうなるでしょうか。
最後に、子どもの権利は、すべての子どもが健康で幸せな生活を送り、責任ある市民へと 成長するために必要なものに基づいていることを説明してください。「児童の権利に関する 条約」を手がかりに、すべての子どもがこうした権利を持てるよう努めましょう(上記の
「子どもの権利とは何か」を参照)。小学生なら、条約の要約版(付録2を参照)を朗読し、
自分たちが作った欲しいものと必要なものの一覧表と比べることもできるでしょう8。
C. 子どもに必要なもの
生徒を少人数のグループに分けて、1人の子ども(あるいは生徒のだれか)の輪郭を描かせ、
その子どもに名前を付けます。それから、この理想的な子どもが大人になったときに期待 する心理的、身体的、精神的、人格的な資質(健康、ユーモア、優しさなど)を決めさせ、
こうした資質を輪郭の内側に書き込みます。理想的な資質を示すために、輪郭線やその周 囲にシンボル(教育を表す本など)を描いてもよいでしょう。輪郭の外側には、こうした 資質を実現するために、子どもが必要とする人材や資材を書き入れます(例えば、子ども が健康でいるためには、食糧と保健医療が必要)。それぞれのグループはそこで、新しい仲 間をみんなに「紹介」し、その子のために選んだものについて説明します。
8 Susan Fountain, It’s Only Right! A Practical Guide to Learning about the Convention on the Rights of the Child (UNICEF, 1993) を基に作成。
「児童の権利に関する条約」を紹介しましょう(上記の活動「子どもの権利とは何か」を 参照)。そして、条約の要約版(付録 2)を朗読しましょう。自分たちが選んだ必要なもの を子どもに保証する条文が出てきたら、その番号を項目の横に書き入れます。クラスが必 要なものとしながら、条約に出てこないものがあったら、丸を付けましょう。
D. 子どもの権利推進
国によっては、子どもの権利が新聞、ラジオ、テレビの広報で紹介されています。生徒を 少人数のグループに分け、「児童の権利に関する条約」の具体的条文について、広報資料(ポ スター、スキット、歌などの形で)を作らせましょう。それぞれのグループに、アイデア をクラスの前で披露するよう指示してください。