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文献既知の方法による 62c と 69c の合成

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素化された中間体を K2CO3水溶液で処理することにより、何らかの予期せぬ反応機構 を経て、目的の62cだけでなく、62cと同様の構造を持つ化合物が生成していることが 示唆された。これら2種の化合物について、HMBCやNOESYといった2次元NMRを 用いて構造を詳細に検討した結果、目的の62cとは異なる生成物の構造は、Figure 8に 示した69cであると示唆された。46 この酸化的閉環反応で得られた62c69cの構造に ついては、文献既知の方法で合成した62c69cとスペクトルデータが一致することに より確認することができた (Scheme 30)。41, 47

Figure 8. 69cの構造決定

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として収率50%で得られ、62dの生成は痕跡量に止まった (p54, Table 14, entry 4)。次に、

異なる位置にトリフルオロメチル基を持つ3種の1-(ピリジン-2イル)グアニジンに対し て本反応を適用した。3-CF3基を持つ67eは、62eを収率44%、69eを収率20%で与えた (entry 5)。一方、4-CF3基と5-CF3基を持つ基質では、69が主生成物となった。67f52f を収率52%で与え (entry 6)、67gは69gを収率50%で与えた (entry 7)。意外なことに、

2位にフッ素原子を持つ67hからは、62hも69hも得られなかった (entry 8)。67hの塩 素化は進行したものの、K2CO3水溶液を添加すると反応液が濃紫色の溶液となり、数種 類の構造不明の化合物の生成が確認された。3位に塩素原子と5位にCF3基という2つ の置換基を持つ67iについては、収率57%で62iを主生成物として与えた (entry 9)。

本反応を、2環性化合物である1-(キノリン-2-イル)グアニジン67jと、1-(イソキノリ ン-1-イル)グアニジン67kにも適用した。67jと67kはNCSと反応させることでいずれ も塩素化を受け、K2CO3水溶液を添加すると三環性化合物を与えた。67j については、

69jが主生成物として得られた (39%, entry 10)。一方、67kについては62kが主生成物 として収率35%で得られた (entry 11)。期待に反して、1-(ベンゾ[d]オキサゾール-2-イル) グアニジン67mを基質とした場合には、環化生成物は得られなかった (entry 12)。

第4項 酸化的閉環反応の反応機構に関する考察

Table 14に示した通り、ピリジン環の3位に電子求引基を持つ化合物 (67b、67c、67e)

を基質とした反応では、62が主生成物として得られた。一方、5位に電子求引基を持つ 67d67fの反応では、69が主生成物となったが、強い電子求引基であるニトロ基を5 位に持つ 67aの反応では、62a のみが得られた。また、5 位に CF3基を持つ化合物 67f は主に69fを与えたが、5位にCF3基、3位に塩素原子を持つ化合物67iは、62iを主生 成物として与えた。これらの結果からは、置換基の種類、位置、数が反応機構に大きく 関与していることが示唆されるが、2位のグアニジル基に対して誘起効果、共鳴効果を 介して、より効率的に電子求引基として働く置換基を持つ基質では、62 が主生成物と なる傾向が認められる。

第 1 項に述べた通り、1-(ピリジン-2-イル)グアニジン 67 を酸化して、塩基で閉環さ せる反応についてはこれまでに報告例がない。一方、文献によると、アミジン 73

NaOCl、もしくはNaOBr水溶液で処理すると、3-ハロ-3置換ジアジリン79が興味深い

メカニズムで生成することが報告されている (Scheme 31)。48 最初にGrahamによって 報告されたこのジアジリンの生成では、N-クロロアミジン74N,N'-ジクロロアミジン 75 以外の生成物は直接観察されていない。49 したがって、窒素アニオンが窒素原子を 直接攻撃してジアジリンが生成しているのか、イミノナイトレンを経由してジアジリン が生成しているかは分かっていない。Moss らは、本反応について詳細な研究を行い、

N-クロロアミジン74N,N',N'-トリクロロアミジンはジアジリンを与えず、N,N'-ジクロ

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ロアミジン75の生成が、ジアジリンの生成に不可欠であると報告している。50 おそら く、末端のアミノ基で2度目の塩素化が起こることにより、塩素原子が電子求引基とし て働いて、NHプロトンの塩基による脱プロトン化を促進しているものと考えられる。

Scheme 31. Grahamの方法による3-ハロ-3-置換ジアジリン79の生成

以上の文献を参考にして、反応機構について以下の考察を行った (Scheme 32)。67を 基質とした反応では、電子不足のピリジン環が、隣接するNHプロトンの酸性度を向上 させ、これが塩基による80を経由した、ジアジリン81の生成を促進していると考えら れる (Scheme 32 (a))。81の開環反応は、2種の経路を通るものと推測される。ピリジン 環の窒素原子が、ジアジリンの窒素原子を攻撃すると、N-N結合の開裂を伴って62が 得られると考えられる (path A)。一方、ピリジン環の窒素原子が、ジアジリンのCN二 重結合の炭素原子を攻撃すると、C-N結合の開裂を伴って69 が得られると考えられる (path B)。

もうひとつ考えられる反応機構は、ナイトレンを経由するものである (Scheme 32 (b))。

アニオン80が、塩素原子の脱離を伴ってナイトレン82となり、これがそのまま閉環す ると62を与える (path C)。一方、ナイトレン82がナイトレン83に異性化し、クルチ ウス転位と同様の反応機構で、カルボジイミド84を与える可能性も考えられる。51, 52 ピ リジン環の窒素原子が、カルボジイミド84の炭素原子を攻撃すると、69が生成するこ とになる (path D)。

この他に、アニオン80の負電荷が、電子不足のピリジン環上に非局在化し、生成し たアニオン85がグアニジンの窒素原子を攻撃することで、62を与える経路も考えられ る (Scheme 32 (c), path E)。前述の通り、2位のグアニジル基に対して誘起効果、共鳴効 果を介して、より効率的に電子求引基として働く置換基を持つ基質では、62 が主生成 物となる傾向が認められる。これは、ジアジリン81やナイトレン82が形成するよりも 速く、電子求引基の効果によって負電荷がピリジン環上に非局在化して85 を与え、閉 環して62が生成するのではないかと推測される。

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