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表 4-1 回帰分析の検定結果
重決定係数𝑅2 自由度調整済み決定係数𝑅𝑓2 𝑝値
𝑝𝑐1 0.74 0.64 0.0049
𝑝𝑐2 0.71 0.60 0.0071
𝑝𝑐3 0.63 0.41 0.038
𝑝𝑐4 0.69 0.56 0.027
有意水準を𝑝 < 0.05とすると,表 4-1より式(4-1)から式(4-4)の危険率 は5%以下で有意であることが確認できる。また,式(4-1)から式(4-4)に基 づいて,印象の主成分に対する物理特徴の影響について以下の(1)から(4)
に示す。
(1)読みやすさ(𝑝𝑐1)
文字の読みやすさを増やすには,線を濃くして,丸みを減らし,文字サイズを 大きくすればよいことがわかる。
(2)汎用さ(𝑝𝑐2)
文字の汎用さを増やすには,線を薄くして,文字サイズを小さくすればよいこ とがわかる。
(3)開放感(𝑝𝑐3)
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開放感を増やすには,線を太くし,縦横比を横長にすればよいことがわかる。
(4)丸み感(𝑝𝑐4)
丸み感を上げるには,線を薄くして,文字の丸みを上げ(角を減らし),文字 バランスを均一にすればよいことがわかる。
グループごとの物理特徴量の平均
Group1~3(丁寧に文字を執筆したグループと乱雑に文字を執筆したグルー
プ)における物理特徴量の大まかな特性を見るために,画像処理を用いて計算し た物理特徴量を標準化し,グループごとにその平均値を出したものをそれぞれ 図 4-1から図 4-3に示す。
図 4-1 Group 1の標準化物理特徴量(平均)
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図 4-1より,Group 1は全体的にやや角が多く,線が細い物理特徴をもつグ ループであると言える。
図 4-2 Group 2の標準化物理特徴量(平均)
図 4-2より,Group 2は全体的に線が薄く,角が少なく線が細い物理特徴を もつグループであると言える。
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図 4-3 Group 3の標準化物理特徴量(平均)
図 4-3より,Group 3は全体的に角が多く,文字サイズが大きく,文字バラ ンスの良い物理特徴をもつグループであると言える。
手書き文字が読者に与える印象に関する考察
丁寧・乱雑に執筆した文字が与える印象に関する考察
丁寧に執筆された手書き文字と乱雑に執筆された手書き文字が読者に与える
印象について考察するため,以下の 3 グループの平均印象量𝑝̅𝑘をプロットした グラフを図 4-4に示す。ただし,解釈を容易にするため図 4-4では形容詞対(表 2-2)の順序は印象の主成分(表 3-3)に基づいて並び替えた。
⚫ Group 1:一人の書道経験者が丁寧に執筆した文字(図 3-2(a))
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⚫ Group 2:複数の書道未経験者が乱雑に執筆した文字(図 3-2(b))
⚫ Group 3:複数の書道未経験者が丁寧に執筆した文字(図 3-2(c))
また,説明の簡単化のため,あるGroup AとGroup Bの平均印象量𝑝̅𝑘の差を 𝑑𝐴𝐵 = |𝑝̅A−𝑝̅B|で表す。また,丁寧に執筆したグループ(Group 1及びGroup 3)
をまとめてGroup Pと呼ぶ。
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図 4-4 丁寧及び乱雑な文字から受ける印象
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(1)読みやすさにおけるGroup PとGroup 2間の比較
図 4-4より,Group PとGroup 2の差𝑑𝑃2が特に大きく表出された印象は安
定感,素直さといった読みやすさ(𝑝𝑐1)に関わる印象であった。これは,Group
PとGroup 2の物理特徴の違いとして図 4-1から図 4-3より線の濃さや角の多
さが挙げられ,式(4-1)によりこれらが読みやすさに影響した結果であると考え られる。
フォント文字が与える印象 [12]においても「読みやすさ」に近い印象である
「素直さ」が主成分の1つとして挙げられた。しかしながら,手書き文字から受 ける印象は執筆者の存在の想像することにより感じられるため,同じ「読みやす さ」の印象でもその性質は異なると考える。例えば,白岩ら [15]や大江ら [24]
は手書き文字の手紙を受け取ったときに嬉しさを感じる要因として文字の丁寧 さを挙げた。これは,読みやすい印象の手書き文字を読者が目にしたとき,その 執筆者が丁寧に執筆したことを想像し嬉しさを感じるためだと考えられる。
この結果より,書道経験者(Group 1)でなくとも,線を濃くする,角をしっ かり書くといったことに気をつければ読者に読みやすい印象を与えることが示 唆されており,手紙などのコミュニケーションにおいて相手に嬉しさを与える ことができると考える。
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(2)その他の印象におけるGroup PとGroup 2間の比較
読みやすさに関する印象以外で,𝑑𝑃2= 1以上となった印象は「明るさ」「開
放感」などであった。これは,丁寧に執筆された文字は,物理特徴の傾向として 線が太いため,式(4-3)より線の太さが影響し乱雑に執筆された文字に比べて明 るく開放的な印象を与えると考えられる。
文字の持つ文脈効果による物理特徴の影響の確認
文脈効果のある単語に対しても,文字の持つ物理特徴が読者に感性印象をも
たらすかについて確認する。図 4-5に 2 パターンで執筆した「固い」という手 書き文字を示す。図 4-5(a)(b)の2単語から読者が受けた印象の平均値を一部 抜粋して表 4-2に示す。
図 4-5 2パターンで執筆した「固い」
表 4-2 図 4-5に対する平均印象量(一部抜粋)
印象 図 4-5(a) 図 4-5(b)
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軽い-重い 3.54 2.38 暗い-明るい 2.79 3.74
また,本研究の主観評価実験では用いていない「柔らかい-固い」という形容
詞対で,図 4-5に対し大学院生 7 名にアンケート調査を行ったところ,その平 均印象量は図 4-5(a):4.21,図 4-5(b):3.36となり,文脈効果を強く持つ文字 に対しても文字の物理特徴が読者の印象に変化を与えていることが確認できた。
フォント文字と手書き文字の違いの確認
フォント文字と手書き文字が読者へ与える印象の違いについて述べる。図
4-6に2パターンで執筆した手書き文字「あ」と2種類のフォント文字「あ」(図 4-6左:明朝体,図 4-6 右:あずき文字)を示す。図 4-6 の4 文字を見たとき の印象量を一部抜粋して表 4-3に示す。
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図 4-6 手書き文字とフォント文字
表 4-3 図 4-6の文字に対する印象量の平均(1~5)
読みやすさ 目立ち度 魅力感
手書き1 4.22 3.67 3.37
手書き2 2.42 4.15 3.75
フォント1 4.31 2.25 1.83
フォント2 3.25 2.83 2.91
(1)手書き文字とフォント文字の与える印象の差異
表 4-3 より,可読性は明朝体などのフォント文字が高いことがわかる。しか
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しながら目立ち度や魅力感は手書き文字の方が高いことが確認できた。フォン ト文字が読者に与える印象については井上ら [12]が示している。
(2)執筆道具が与える印象
手書き 1 と手書き 2に印象の違いが生じた原因は,鉛筆で書くか筆やペンで 書くかといった執筆に用いた道具の違いがもたらす物理特徴の差が大きく起因 していると考えられる。本研究では主に鉛筆で執筆した文字を対象に印象調査 を行ったが,筆で執筆された文字が与える印象の要因として本研究で用いた物 理特徴では説明しきれないデザイン的な要素も鉛筆文字よりも多く現れると考 えられる。
(3)手書き文字風フォントが与える印象
魅力感や目立ち度などは他の手書き文字に比べて低くなっている。これは,手 書き文字風フォントで執筆された手紙は受け取ったときの嬉しさや温かみに欠 けるという報告もされている [25]ように,手書き文字風フォントは手書き文字 と字形は似ているものの,その時々で表出されるものが異なるという手書き文 字の特性を持っていないためだと考えられる。
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