• 検索結果がありません。

整形外科領域への適用

本章の実験においてはIRB の承認を得て、事前に書面で被験者の同意を得たうえで測定を おこなった。

6-1 整形外科領域で求められるもの

整形外科領域での医用応用として以下のものが挙げられる。

• 骨格筋の弾性評価による診断

• 筋組織のリハビリテーション効果の判定

• 薬液の有効性評価

• 運動時の筋肉の変化、筋の持続性の評価

また、測定部位の工学的特徴としては以下のものが挙げられる。

• 弾性率が比較的一様である

• 異方性が大きく、繊維方向とそれと直行する方向で伝搬速度の差は2倍以上になる こともある(Fig. 6-1-1)

Fig. 6-1-1 筋繊維方向とせん断波伝搬速度1

以上のことから、整形外科領域では実時間で定量性を重視した画像技術が求められてい る。

37 6-2 僧帽筋での映像化実験

実験条件は以下のとおりである。

[実験条件]

超音波映像装置 EUB-8500 (日立メディコ)

超音波中心周波数 6.5M[Hz]

超音波パルス繰り返し周波数 365[Hz]

加振周波数 276.5[Hz]

[実験方法]

① 加振器先端を生体表面で振動させ、生体内部にせん断波を励起させ、筋繊維と平行に 超音波プローブを当てた。

② カラーフロー画像を取得し、画像処理を施すことで位相、伝播速度マップ、伝播方向 マップを取得し、伝播速度推定を行った。

測定箇所の写真をFig. 6-1-2に示す。

Fig. 6-1-2測定箇所写真

[実験結果]

実験で得られた測定結果の例としてカラーフロー画像をFig. 6-1-2に、位相、伝播方向マ ップ、伝播速度マップをFig. 6-1-3に示す。

38

Fig. 6-1-2 僧帽筋カラーフロー画像

Fig. 6-1-3 僧帽筋の位相、伝播方向マップ、伝播速度マップ このとき、僧帽筋の平均伝搬速度は4.22m/sであった。

39 6-3 僧帽筋での再現性の評価

(1)伝播速度測定における領域選択の必要性

僧帽筋の測定において、加振位置によってはせん断波の屈折、反射、媒質の異方性等によ り波面が乱れ、伝搬速度推定値に誤差を生じさせてしまう。加振位置の違いによる波面の変 化の様子をFig. 6-3-1に示す。

Fig. 6-3-1 加振位置による波面の乱れ

したがって、波面の乱れた領域を除いて伝搬速度を推定する必要がある。

(2)伝播速度推定における領域選択方法

以下の Fig. 6-3-2 に示す方法によって、ほぼ一様にせん断波が伝搬している領域を選択す

る。

40

Fig. 6-3-2 伝播速度推定における領域選択方法

この方法により、波面の乱れた領域の伝搬速度推定を除外する。

(3)再現性の評価

再現性を評価するために17人の健常な被験者の僧帽筋において加振実験を行った。同一 測定者で測定を、時間をおいて二度おこない、領域選択の有無で再現性の比較をした。実験 条件は以下のとおりである。

[実験条件]

超音波映像装置 EUB-7500 (日立メディコ)

超音波中心周波数 6.5M[Hz]

超音波パルス繰り返し周波数 365[Hz]

加振周波数 275.8[Hz]

波面の乱れが生じた実験例の位相、伝搬速度、伝搬方向マップと領域選択をした伝搬速度マ ップをFig. 6-3-3に示す。

41

Fig. 6-3-3波面の乱れと領域選択による伝搬速度推定

測定結果をFig. 6-3-4に示す。

Fig. 6-3-4 僧帽筋測定における再現性

二度の測定間の相関係数は領域選択なしで0.40、領域選択ありで0.83であった。領域選 択によって高い再現性を得られた。

42

関連したドキュメント